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日常8


待ち遠しいイベントがあると日々が早く過ぎるのか、気づけば臨海学校の当日となっていた。今週はどの地方でも最高気温となり、テレビでは熱中症に気をつけてくださいとのアナウンスで溢れている。



学校へ着くと、蒸し暑い気温以上に熱気を放つ存在を見つけた。あの熊、遠目で見ても暑苦しいな。




「よっしゃ、やっときたぜ臨海学校!青い空と青い海、未来の彼女が俺を待ってるぜー」




隣の熊はこの暑い気温をさらに上げるかのように熱気を振りまいている。僕はといえばここ最近の暑さにやられてしまって、行く前からグロッキーである。




「ああ、もう。騒ぐなよ。ただでさえ気分が優れないのに」




渡はこのイベントに関わる会話においての恒例となっている、信じられないというような顔をしている。僕はと心底うんざりとして「この気温でそこまでテンションあげれるのは天才だよ」と皮肉を最大限に込めて褒めてあげた。





「それにしても、夜の肝試しのペア分けってどうなってるんだろうな。しおりにも時に記載はなかったし」





と何の気なしに渡に話しかける。すると渡はぱあっと顔を輝かせてマシンガンのように喋り始めた。





「おお!やっぱ気になるんじゃねえか。このむっつりさんめ。だがそんな嘘をつききれない性格だから友達やってるんだけどな!そうそう、肝試しに関しては、毎年恒例でかなり手も混んでるから、本当にダメな人は行く前からギブアップする制度もあってかなり直前にならないと正確なペア分けは出てこないみたいだぜ。噂くらいなら出回ってたりもするらしいんだけどな」





こいつは本当に後半の情報だけを喋れないのだろうか。なぜ、一回僕がむっつりであることを経由しなければ話が進まないのか。と、すこしむっとしながらも「へー」と気の無い返事を返す。





海での講習や集団行動を終え、夜になる。そろそろ肝試しのペア分けが発表されるとあって、なんだか周りのみんながそわそわしているようだった。




どこからか「講堂にペア分けが貼り出されてたぞー」と声が響くと、みんながぞろぞろと講堂へ向かい始めた。




講堂は一学年の生徒が入ってもまだ余裕があるほどに広く、体育館と何が違うのだろうというくらい機材も整っていた。先に着いたみんなは、貼り出されたペア分けの紙を見て一喜一憂している。

僕も僕とペアになる人はどんな人なのだろう、頼むから隣の熊だけはやめてくれといった思いを抱きながら紙に書かれている無数の名前の中から自分の名前を探した。





あった。




全身の毛が粟立つような、ゾクゾクとした感覚。





高瀬 涼 ー 八代恭子



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