日常5
結局、言い訳は思いつかず。
休み時間開始を知らせるベルが鳴り終わる頃にはもう教室を出ていた。
花沢さん怖いもの。
うちの学校は授業の一コマが長い分、休み時間が20分ほど設定されていて、生徒は喋る食べる寝る等自由に過ごす。休み時間ならば携帯を使っていても怒られないし、校則はゆるい方なのだろう。
特に行くアテもなく彷徨う。
そのうち階段に差し掛かり、何の気なしに屋上へ行ってみよう。という気になった。
そうだ、屋上へ行こう。
ずいぶん昔には屋上から愛や秘密を叫ぶようなテレビ番組もあったらしいが、最近の学校では屋上が締め切られているところが多いと聞く。
うちも多分にもれず屋上への扉は南京錠で締められていたため、僕はしょうがなく階段に座って音楽を聴き始めた。
階段は半分登って踊り場があり、180度折り返して次の回へ向かう構造になっているため、僕の座ってる位置は下の階からは全く見えない。
ヤンキーの溜まり場になっていたらどうしよう。など、とりとめもない考えが巡るが「ま、なんくるないさー」と思考と止めて音楽へ集中する。
僕はゆったりとしたリズムの女の人の綺麗な高い声の曲を好んで聴いている。それがこの騒がしい学校内でも特にひっそりとした場所に合っている気がして、嬉しいというかなんというか。自然と笑みがこぼれてしまう。
僕も遅咲きの厨二病患者かーなんて思いながら音楽を聴いていると、目の前に見知った顔の人が突然現れた。