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日常4


噛み噛みな僕の挨拶も、八代さんは楽しそうに笑ってくれてる。天使かよ。



「ちょっと高瀬!あんたにも猟銃が必要なようね!」



おい待て、熊と一緒にすんな。



「ちょっと待ってくれ、猟銃は熊だけで十分だろう。なんで僕まで脅されるんだよ」



「あんたが恭子ちゃんに色目を使うから!」



そう言って、花沢さんが机を少しどけて後ろから八代さんへ抱きつく。八代さんのめっちゃ驚いてんじゃん。天使かよ。



もうそろそろ天使のテンドンも飽きて来たなーなんてぼうっと考えていたら、始業の鐘がなった。



花沢さんたちは「そろそろ先生来るからまた休み時間にねー」なんて言いながら自分たちの席へ戻っていく。




どうせ先生が来たところで、問題集の切り抜きのような小テスト配ってまた30分くらい放置されるだけなのだから、そんな律儀に席へ戻らなくても…なんて思いながら、先ほどの音楽を探す作業に戻る。




「いつも朝は携帯いじってるよね。ゲーム?」




前から八代さんが何の気なしに聞いて来る。

今度こそ平静を保つために、僕は心の中で一回深呼吸をしてから答えた。




「ううん。あんまりゲームはしてないかな。基本的には音楽聴いてるー」




おし!普通に返せたはず。まあ緊張して顔は見れないんだけど。




八代さんは「へー」なんて言いながら、顔をこちらに近づけてくる。



「ちょっとどんなの聴いてるのか気になるなー。見せてよー」




なんだこれ、ボーナスステージかよ!



なんて心の中では喜びながら、八代さんと携帯を一緒に見る形でプレイリストを眺めた。




「うわあ、英語いっぱい。海外のアーティストが好きなの?」




八代さんが不思議そうな顔をして、僕の顔を覗き込んでくる。なんだこいつは。これをナチュラルに繰り出してくるなんてもうこれは天使じゃなくて悪魔の領域だよ。




「いや、時間あるときにいっぱい試聴して気に入ったやつを買ってる。だからあんまりアーティストがどんな人かとは知らないんだよ」




またも八代さんが「へー」なんて言いながら、プレイリストを見ている。

遠くの方でなんかかギラついてると思ったら、花沢さんだ。あ、これ休み時間に猟銃で狩られるパターンのやつだ。




休み時間にどういう言い訳をしようかなんて必死に考えていたとき、先生のハイヒールの音が遠くから響いてくる。



「あ、やべ。さすがにこんなおおっぴらに携帯触ってたら怒られる。また見せてあげるよ」



なんて自分史上最高にチャラいなと思った言葉を吐きながら、携帯をしまった。

八代さんは笑顔で「またいいのあったら教えてね」なんて言ってくれた。ほ、ほれてまうやろ…




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