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日常3


八代さんは美人で気さくで人気者。

だからこそ、こうやって八代さんの迷惑になる行動をしてたりすると、影で女子から呼び出されることもあるらしい。





少しだけ心配になって、渡に声をかける。



「先月もなんか因縁つけられてたよな。大丈夫かよ」




するとちょっとだけ嫌そうな顔をした後、渡は



「いやあ、それも毎回何故か八代さんと席が近いお前が悪い」



と謎の責任転嫁をしてきた。




「いや、それはおかしい。僕は僕の席に座ってるだけだし」




と、言っても無駄のような反論をしてみるも、




「それをいうなら、八代さんと毎回席が近くて妬ましいということも含めてお前が悪い」




とさらに予想の斜め上からの反撃をもらう。






なんやかんやウマが合ってぎゃーすぎゃーすと言い合っているうちに、話題の八代さんが登校してきたようで、女子の「八代さんおはよー」という黄色い声が飛び交う。






毎回思うのだが、なんでおはよの「おはよう」はあんなにハイトーンボイスなのだろうか。

あの甲高い声は武士がつばぜり合いの最中にお互いを認め合うのと同じだと随分前にネットで見た気がするが、本当なのだろうか。





などとわけわからんことで脳内が埋め尽くされているうちに、八代さん集団がこっちの席へと近づいてきた。



ずいぶんと席に近づいてきた段階で、その集団の中でも勝気そうな顔の女の子が声を荒げる。




「渡、どきなさいよ!恭子ちゃんの迷惑でしょー!」




この元気な女の子の名前は花沢香奈さんで、あの「おはよー」合戦の中でも群を抜いた「おはよー」を繰り出す猛者である。※僕調べ





渡は鬱陶しそうに顔をしかめ、「あいあいわかったよー」と気の無い返事をして席を立とうとする。




そんな会話の中、八代さんが




「気にしなくていいよー、バックだけ置かせてね」




と天使のようなことを言い出す。天使かよ。




「恭子ちゃんは優しすぎるんだよー、こんな熊には優しさなんて必要ないよ。食べられちゃうよ。猟銃が必要だよ」




と花沢さんが天然なのか計算なのか突拍子も無いことを言い出すので、たまらず少し吹き出してしまう。




「ぷふふっ…渡、早くどかないと猟銃で仕留められちゃうぞ」




と女子の集団に加勢をしてあげたところ、渡が少しだけ恥ずかしそうに席を立ち、「あとでぶっとばす」といつもの捨て台詞を吐いて自分の席へ戻って行った。





「もう香奈ちゃん。別に大丈夫だったのに」



「あの熊に優しくしちゃダメ!つけ込まれるよ!」




と謎に不穏な会話をして、八代さんは席へ座った。花沢さんたちはまだきゃーきゃーとしゃべっている。女3人寄ればかしましいといかいうよなーなんて、現実逃避をしていると、




「高瀬くん、おはよう」




と八代さんの話の流れが終わりそうなところで、八代さんから挨拶してきた。いきなり現実に引き戻された僕は平静を装って、




「あっあのや…やしろさん、おおおおおはよう」




ちょっと耐性がないだけなんだ。ちょっとだけだ。


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