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第一の果実 ブラッドオレンジ P2

背中に手を回され、果実の皮を丁寧にめくっていく。



その皮は男の手により空高く舞い上がった。なぜ放り投げるのか。



だが、自分の身につけていた皮が、宙を舞う姿は得もいわれぬ恥ずかしさがある。見透かしたような微笑みで羞恥心を煽られる。



露わになった実を見られるのが恥ずかしいのか、心を見透かされているのが恥ずかしいのか。



おそらくどちらもそう。



男の手が伸びる。



一番敏感な房にはまだ触れないように、周りから査察が入る。



最初は触れるか触れないかの距離を行ったり来たり。



急に鷲掴みにされた果実は原型を失う。



舌で糖分を確認するように張りついてくる。



甘味成分に誘われて、唾液が果実を伝う。



房には一度も触れない。焦らされるとどうなるかこの男は熟知している。


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