第1話 面白いことの始まり。
朝日が昇りまだ明るくなり始めた時間に僕は目覚め、いつものように家の庭へ出ると、前々世からの日課である木刀の素振りを始めた。
そう、前々世からの日課なのだ。僕こと櫻井優斗は転生者である。僕は前世の世界に転生するときに貰った幾つかの能力の中の1つで、来世に転生する世界を面白いことが起きる世界という条件で転生をした。面白いことが何なのかはわからないが、何が起きても大丈夫なように、今世でもちゃんと体を鍛えている。
素振りを終え、シャワーを浴びたあと自室に戻り、制服に着替えてからリビングに向かうと、今世の双子の妹である櫻井麻奈がキッチンで朝食を作っていた。
「おはよう、麻奈」
「おはようございます。兄さん」
双子の妹である麻奈は、僕が凪沙である時の姿に瓜二つで、とても可愛らしい姿をしている。そして性格もよく、僕が前世で貰った能力のおかげで規格外だった僕の双子のためか、麻奈も普通の人より優れている。頭も良く、運動も本気を出せばプロを超えられるほどだ。しかし麻奈は僕と同じで部活には入っていないため、そのことを知っている人はほぼいない。
あとは麻奈は昔から勘が鋭い。麻奈の勘は基本的に外れないのだ。恐らく何かしらの能力なのだろう。
そして麻奈の作った朝食も食べ終わり、食器を片付けた後は、麻奈と二人で、今年の4月から通っている学校である檜山高等学校に向かった。
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高校に向かうために乗るバス停に向かうと、幼馴染である二人が先にバス停で待っていた。
「おはよう、二人とも」
「おはようございます。優奈ちゃん、悠姫ちゃん」
「おはよー。優斗と麻奈」
「……優斗、麻奈、おはよう」
バス停で待っていた内の片方、如月優奈は、僕と同じ前々世からの記憶がある転生者である。前世では結婚もしていた。なぜ今世にもいるのかというと、僕がこの世界に転生した能力で一緒に転生したからだ。優奈も僕と同じで、今世ではかなり規格外な人間なのだが、天然で少しバカっぽいのであまり目立たない。容姿は茶髪の髪をいつもポニーテールにしていて、身長157cmと平均だが、かなり可愛らしい顔をしているのでかなりの男子からモテている。親同士が同じ職場で働いていたため、小さい頃から一緒だ。
もう片方は神崎悠姫で、容姿は少し全体的に小さく、身長も145cmで胸も真っ平ではないが、控えめなサイズで、黒髪をセミロングほどの長さにしている。悠姫の両親も職場が同じで、親が仕事の間は一緒にいることが多かった。頭はかなり良く天才レベルなのだが、少し運動神経悪い。
バス停で会話をしていたが、檜山高校の前まで行けるバスに乗り学校へ向かった。
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学校にも着き教室に向かうと、小学1年生からずっと幼馴染の、景山耕太と小鳥遊いろはが既に教室にきていた。ちなみにこの二人は高校入学と共に付き合い始めた。
「おはよう、耕太、いろは」
「おはようございます。耕太君、いろはちゃん」
「おはよー、耕太といろは」
「……おはよう……耕太、いろは」
「優斗達か、おはよう」
「4人ともおはよー」
2人に挨拶したあと、世間話をしていたが、HRの時間になった。
そして担任のお話と出席をとったあと1時限目の授業のために担任は教室から出て行った。教室から担任が出ていきしばらく経たず、教室の床に大きな魔法陣のようなものが現れた。
「なんだよこれ!」「足が動かない!」
何人かがこの事態に騒いでいるうちに、それがどんどん光り輝いていき、教室を真っ白に染めるほど光り、光りが収まると同時に、咄嗟に目を隠していた手を退け周りを見渡すと、床も壁も真っ白な教会のような場所の、足元に書かれた大きな魔法陣の中にクラス全員が立っていた。
そして目の前には1人の豪華な服装をした女の子が立っていて、その女の子の後ろには数人の騎士のような人達が控えていた。
クラスメイト達が困惑していると、豪華そうな服装をしていた女の子が話しかけてきた。
「私はレイネシア王国の王女、アウリア=レアリード=レイネシアと申します。勇者様がたも突然このような場所に呼ばれ、混乱しているでしょうが、別の部屋にて説明をするので私についてきてください」
そう言われた僕達は王女様について行った。
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ついて行った先の大部屋で王女様からこの世界についての話をされた。
まずこの世界には人族の他に魔族がいるらしい。魔族には破壊願望があるらしく世界を破壊しようとしているらしい。そして手始めに人族を滅ぼそうとしたところから始まったらしいが、それを阻止したい神様から100年前に、この世界の神様からこの国の王族が異世界から勇者を呼ぶ魔法を授かったらしい。
そして魔王を100年前の勇者が倒して元の世界に帰還したらしいが、魔王は一番強いものがなるらしく、その後も勇者を呼び魔王を打ち取っていったが、魔族の人族への攻撃は変わらないので危険な魔族を滅ぼすために、今回は勇者だけでなく他の異世界人も呼んだらしい。今までに9人の勇者が呼ばれたらしいが、5人目の勇者の時に勇者召喚に巻き込まれた者が2人いたらしく、その2人も勇者ほどではないが圧倒的な強さだったらしい。なので今回は勇者だけでなく他にも異世界人をたくさん呼び出すようにしたそうだ。
ある程度話すと質問タイムになった。
「俺たちは元の世界に帰れるんですか?」
「帰ることはできますが、勇者召喚に使った魔法陣に繋がっている龍脈が回復しないといけませんので、最低でも1年先ということになります。それに帰還の際は、この世界に来た時の時間に戻りますので問題ありません。元の世界に帰ると1年前の体に戻るそうです」
他にも魔法があるのかと聞いている人もいた。
そして質問が終わった後、王女様がこの世界にはステータスプレートと呼ばれるものがあると教えられた。ステータスプレートは自身の能力値であったり、技能や称号、そして天職とレベルがあるらしい。
天職は生まれたときに決まっていて、天職によって能力値の上がり方が決まるらしい。上昇値は個人差があるらしいが、異世界人の天職は戦闘系の天職になるため、勇者でなくても能力値はかなり高くなり、以前呼ばれた異世界人の人たちはこの世界のトップクラスの人を簡単に倒していたそうだ。
突然変異と言われている人たちのステータスは普通の人よりはるかに高く、人によっては異世界人に届くらしい。
レベルの方は、生き物を殺すことが一番早くレベルが上がるらしいが、訓練をしたり、天職によっては天職に合った行動をとれば上がっていくらしく、一般人でも最低レベル5はあるそうだ。最高が100らしいが到達したものはいないらしく、レベル50を超えれば英雄になれるレベルで、初代勇者のレベル90が残っている記録の中での最高値だそうだ。
技能のほとんどはどの職業でも適性があれば手に入るが、技能によっては決まった天職でしか手に入らないものがあるらしい。
称号はあるだけらしく、能力値が上がったりもしないそうだ。
その話が終わると王女と一緒にいた、騎士の一人が僕たちにステータスプレートを配ってきた。
僕は騎士に配られたステータスプレートに自身のステータスを表示されると――
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名前:櫻井優斗 年齢:15? 性別:男?
天職:魔法剣士 レベル:1
体力:50
魔力:50050
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:50
技能:言語理解 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 光魔法
無詠唱 魔力消費減少 魔力高速回復 剣術 縮地 短剣術 格闘術 身体強化Ⅱ 錬金術
神速 上位隠蔽 気配察知 気配遮断 隠密 魔力察知 金剛力 魔力支配 隠密
魔力感知 宝物庫 ??? ??? ??? ??? ???
称号:転生者 完全記憶能力保持 如月優奈の元夫 規格外 変幻自在 転移者 シスコン
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……なんか色々表示がおかしい。年齢と性別の横に?が付いている。恐らく前世があったり、女にもなれるからなんだろう。そして魔力だけ桁が違った。恐らく前世から引き継いでいるからなのだろう。技能の欄は数も多いが、???と表示されているのが5つある。前世で手に入れた能力だと思う。そして称号の欄。元夫とか……なんでこんなのが表示されているんだろうか。
とりあえずこのままだとマズいので、技能の上位隠蔽を使った。
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名前:櫻井優斗 年齢:15 性別:男
天職:魔法剣士 レベル:1
体力:50
魔力:50
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:50
技能:言語理解 火魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 詠唱破棄 魔力消費減少 魔力操作
剣術 身体強化 直感 宝物庫
称号:転移者 シスコン
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これならほかの人とあまり変わらないだろう。僕と同じでヤバそうな優奈に念話を繋げてみた。
『優奈。聞こえる?』
『大丈夫、聞こえてるよ。念話してきた理由ってやっぱステータスプレートのこと?』
『そうだよ。僕のステータスは色々ヤバかったからね。魔力とか技能の数とかね』
『私のほうもそうだったよ。すぐに上位隠蔽を使って隠したけど』
『優奈もちゃんと隠したのか。こういう時の頭の回転はホント早いよね』
『そうかな? それで念話の内容はその確認だけ?』
『いや、時間があるなら麻奈達4人も呼んで本当のステータスでも見せようかと思ってたんだ』
『本当のステータス見せちゃうの?』
『おそらくこっちの世界にいる間は一緒にいる時間が多いと思うからね。まぁ後で話しかけるよ』
『わかった』
優奈も色々ヤバかったみたいだが、ちゃんと隠したようだ。
念話で話している間に勇者が見つかったらしいが、どうやら正に主人公といった感じで、好意にすごく鈍感な無自覚ハーレム野郎の光崎光希が勇者だったらしい。
光崎のやつのステータスは勇者だからなのか、他より明らかに高く――
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名前:光崎光希 年齢:16 性別:男
天職:勇者 レベル:1
体力:150
魔力:150
筋力:150
敏捷:150
耐久:150
知力:150
技能:言語理解 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 光魔法
全魔法強化 光魔法超強化 詠唱破棄 魔力回復 魔力消費減少 魔力操作
剣術 全属性耐性 状態異常耐性 宝物庫
称号:転移者 勇者
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ステータスがほかの人より高いだけでなく、技能の方も規格外な感じだった。そのステータスプレートを見た王女様が光崎に話しかけていた。
「あなたが勇者様ですか! 私たちの世界のために魔王たちを倒していただけませんか?」
「わかりました。僕たちが必ず魔王たち魔族と倒しましょう!」
王女と光崎のやつはテンプレのようなセリフを言っていた。皆がステータスを確認していたが、非戦闘職の人はいなかったようだ。
全員がステータスを確認をしたら次は王様との謁見らしく、豪華な玉座のある謁見の間に連れていかれかれた。
「よく来てくれた。私がこの国の国王、ワルド=レアリード=レイネシアだ。異世界人の君たちをこちらの世界に呼んでしまって、本当にすまない。しかし我々だけでは魔族に対抗できないのだ。どうか魔族を倒してくれないか……」
王様は僕たちに頭を下げていたが、そこに勇者の光崎が王様に返事をしていた。
「任せてください! 僕たちが必ず魔族たちを倒しましょう!」
いかにもなテンプレなセリフを光崎は言っていた。
「今日は色々あって混乱しているだろう。 明日からこの世界の勉強や訓練などを手配するから、今日は自由にしてくれていい。食事の際は食堂に案内するメイドを各々の部屋に向かわせるので、食事の時間帯は出来るだけこれから案内される自身の部屋にいてほしい」
そう王様に言われ謁見の間を出た僕たちは各々の部屋に案内された後、僕の部屋に5人に話があると説明して集まってもらった。
「なぁ優斗。これから何を話すんだ?」
「そうだね、これから元の世界に戻るまで何をするかとか、後はステータスプレートを見せ合いかな?」
「これから何をするかって……魔族を倒すんじゃないの?」
僕の答えを聞いたいろははそう答えてきた。
「勇者の光崎は魔王を倒さなきゃいけないけど、僕たちにはあまり関係ない話だろう? だから元の世界に帰れるようになるまで旅でもしようと思ってね」
「旅か……俺はいいぜ。どうせなら異世界を満喫しないとな!」
「耕太が行くならあたしも行くわ」
「私は優斗についてくだけだしね」
「私もです」
「……私も」
「そうか、なら城での訓練の後は旅に決定だな。次はステータスプレートを見せ合うか。ちょっと僕と優奈は最後に見せるけど」
「なんか理由があるのか? ……まぁいいか。これが俺のステータスだ」
そう言って耕太は皆に見えるように自身のステータスを見せてきた。
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名前:景山耕太 年齢:15 性別:男
天職:格闘家 レベル:1
体力:80
魔力:30
筋力:80
敏捷:50
耐久:50
知力:30
技能:言語理解 火魔法 土魔法 雷魔法 魔力操作 格闘術 先読 体力回復
剛力 身体強化 宝物庫
称号:転移者
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なんていうか脳筋のような感じだ。
「耕太にピッタリな感じだな」
「そうか? まぁ確かに俺には合ってると思うが」
「次はあたしね」
2番目はいろはが見せてきた。
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名前:小鳥遊いろは 年齢:15 性別:女
天職:結界師 レベル:1
体力:30
魔力:100
筋力:30
敏捷:30
耐久:30
知力:100
技能:言語理解 土魔法 風魔法 氷魔法 光魔法 結界術 防御魔法強化
詠唱破棄 魔力消費減少 魔力操作 宝物庫
称号:転移者
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「いろはのステータスは後衛型だね」
「そうね、どうせあたしじゃ近接戦闘は出来なさそうだし、妥当なところかしら?」
「次は私のステータスですね」
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名前:櫻井麻奈 年齢:15 性別:女
天職:巫女 レベル:1
体力:30
魔力:100
筋力:30
敏捷:30
耐久:30
知力:100
技能:言語理解 水魔法 風魔法 氷魔法 光魔法 未来視 超直感 詠唱破棄
魔力操作 魔力回復 回復魔法強化 宝物庫
称号:転移者 ブラコン
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麻奈にピッタリな感じだった。それとやはりブラコンがあった。
「……やっぱり」
「やっぱりって何がやっぱり?」
優奈がそう聞いてきた。
「技能のとこの超直感と称号のブラコンのことだよ。麻奈は昔からすごい勘が鋭かったからね。それとブラコンのほうは、僕にシスコンがあったから麻奈にもあるんじゃないかと思っててね」
「シスコンとブラコンて……」
僕にシスコンがあったと聞いて喜んでいる麻奈以外は皆呆れていた。
「……次は私」
悠姫のステータスプレート見せてきたが、これは……
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名前:神崎悠姫 年齢:15 性別:女
天職:大魔法師 レベル:1
体力:20
魔力:150
筋力:20
敏捷:20
耐久:20
知力:150
技能:言語理解 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 光魔法
詠唱破棄 全魔法強化 魔力回復 魔力消費減少 魔力操作 魔力感知 宝物庫
称号:転移者 大魔法使い
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明らかに一緒に召喚されたクラスメイトとは違った。
「これって勇者の次ぐらいに強くなりそうな職業だね」
「……でも私があまり運動ができないからか、魔法に関係しないとこは幹並低い……」
「勇者って称号のとこにあった光崎みたいに大魔法使いってあるから相当レアな天職なのかな?」
4人のステータスプレートを見せてもらい、ついに僕と優奈を見せる番になった。
「僕たち2人のは、ちょっと色々ヤバいから見せるのが躊躇われるんだよねぇ……」
「そんなにヤバいのか?」
「まぁね……」
耕太に聞かれ僕は苦笑い気味に答えた。
「まぁ僕と優奈のは同時に見せようか」
「そうだね。その方がいいかも」
そう言って僕たちはステータスプレートを皆に見せた。
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名前:櫻井優斗 年齢:15? 性別:男?
天職:魔法剣士 レベル:1
体力:50
魔力:50050
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:50
技能:言語理解 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 光魔法
無詠唱 魔力消費減少 魔力高速回復 剣術 縮地 短剣術 格闘術 身体強化Ⅱ
錬金術 神速 上位隠蔽 気配察知 気配遮断 隠密 金剛力 直感 心眼
魔力支配 隠密 魔力感知 宝物庫 ??? ??? ??? ??? ???
称号:転生者 完全記憶能力保持 如月優奈の元夫 規格外 変幻自在 転移者 シスコン
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名前:如月優奈 年齢:15? 性別:女
天職:魔法剣士 レベル:1
体力:50
魔力:50050
筋力:50
敏捷:50
耐久:50
知力:50
技能:言語理解 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 雷魔法 氷魔法 光魔法
無詠唱 魔力消費減少 魔力高速回復 魔力支配 気配察知 剣術 直感 縮地
身体強化Ⅱ 上位隠蔽 心眼 魔力感知 気配遮断 隠密 宝物庫 ???
??? ??? ??? ???
称号:転生者 完全記憶能力保持 柊優斗の元妻 限界無き者 転移者
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「なんだこの魔力量!?」
「技能の数も色々おかしいわよ!」
「……幾つか技能が表示されてない……なんで?」
「私としては称号の所の元夫と元妻が気になるんですが……」
僕たちのステータスを見た皆は、ものすごく驚いていた。
「色々聞きたいことがあるだろうし質問に答えていこう。まずは何が聞きたい?」
そう聞いた僕に、まずは耕太が質問してきた。
「称号の転生者ってどういう事だ?」
「そのままの意味だよ。僕と優奈は前世と前々世の記憶を持ってるからね」
「なんで前世やらの記憶を持ってるんだ?」
「私たちって一度、よく2次創作だったりにある神様転生を経験したからだよ」
「その時に僕たち転生者は特典として能力とか貰ったんだけど、僕が異世界移動や転生なんかを出来る特典を貰っててね。その力で転生して4歳の時に記憶が戻るようにしてたわけ」
「それじゃ、魔力が多いのは?」
いろはが魔力について聞いてきた。
「魔力が多いのは恐らく前世で増やした魔力量そのままだからかな?」
「前世には魔法があったの?」
「前世は物語の世界だったからね。僕たちの前々世にもあったけど、今世の世界にもあったはずだよ。魔法○女リ○カル○のはってアニメの世界」
僕が前世の世界の作品名を言っても耕太もいろはも麻奈もわからないようだったが、悠姫は知っていたらしい。
「? 知らないな?いつ頃のアニメだ?」
「……20年近く前のアニメ」
「そんな昔のやつかよ……。よく悠姫は知ってたな?」
「……ん。今でもまだ人気がある作品……再放送とかでやってたりする」
「まぁ、その世界で魔力量を増やしたんだけど、その魔力が引き継がれてるんだよ」
次に麻奈が質問してきた。
「兄さんと優奈ちゃんの年齢の所の?は前世とかのせいでおかしくなってるのはわかったんですけど、兄さんの性別の所と、技能の?はなんですか?」
「僕のとこの性別の?はたぶん女の子にもなれるからかな? 前世の時に踏み台転生者がいて相手にするのは嫌だったから、神様に貰った能力で、大学卒業までは女の子で暮らしてたし。双子だからなのか、僕の女の子としての姿って麻奈と瓜二つなんだよね」
「何故か私たちって親に似るんじゃなくて、自分に似た親の所に生まれたから顔とか変わってないんだよね。それと技能の方は、神様に貰った能力のほとんどは?になってるね」
僕の言葉を引き継いで優奈が答えた。
「……前世では優斗と優奈は結婚してたの?」
「そうだね。前世は僕の親は死んでたり、優奈は捨て子だったりしたから、小さいときからほとんど2人暮らししてたからね。そのまま付き合って、大人になったら結婚したよ……まぁ、ほとんど女の子として暮らしてたんだけど」
「ふ、二人の前世はなかなかハードだったのね」
僕の言葉を聞いたいろはは口を引きつらせていた。
「まぁ前世はお金は山ほどあったし、僕はハードではなかったよ。優奈は家すらなかったけど」
「あの時はホントヤバかったね。優斗に拾われなかったらどうなってたか……」
僕が見つけた時点で道で倒れてたからな。ヤバい人とかだったらそのまま連れてかれてたかもしれなかった。
「まぁ僕たちの話はこれくらいにして、これからのことでも話そうか」
「これからのことって?」
「実は元の世界に帰るだけならいつでもできるんだよね」
「どうゆうことだよ優斗!」
僕の能力を知らない優奈以外は驚いていた。
「僕が貰った能力の中に異世界転生とか転移とかできる能力があるんだよ」
「じゃあそれを使えば帰れるんですか?」
「でも、これは今は使わず帰れなかった場合にだけ使用したいんだよね」
「なぜ? それで帰れるんでしょ?」
「時間軸設定もできるからこの能力で帰れるんだけど、王女様が言ってた帰還方法のほうがいいと思うんだよね。帰還の際に元の時間と姿に戻るって言ってたし、記憶が消えるか、ここに呼ばれた一番最初に戻ると思うんだよ。向こうじゃ魔法なんか使ったらどうなるか判らないしね」
「それもそうね」
「それじゃ、今日の話し合いはこれぐらいにしようか」
僕は、この話し合いを終わらせた。話し合いが終わった後、みんな自身の部屋に戻っていったので、僕は明日から始まる勉強や訓練に遅れないように、今日はもう寝ることにした。