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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
六章・戦王の鍵
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戦王の鍵を求めて

ハヤトたちのいるウィリアナからは少し離れた国、カイル。

今この国は戦乱とか言う言葉よりも暴動というほうが正しいような惨状に陥っていた。


街は燃え、城は崩壊し、子供が泣き叫ぶも助けるものは誰ひとりとしていない。

むしろ自分を助けてくれともがく状況だ。


「鍵はどこだ」


覆面にマントの集団は、口を揃えてこの言葉を口にする。


「し、知らない。鍵なんてしらねえぞっ!!」


「では戦王の名の元に」


そういって次々と人々を殺していく。

まるで命を命とも思わないように、あっさりと躊躇なく。


「戦王の名の元に告げるっ!!鍵を差し出せっ!!そうすれば皆救われるっ!!」


とこうして世界各国をこのように触れ回り、潰してはまた次へとしらみ潰しに探しているのだ。

戦王復活の鍵を。


「戦王復活のときは来たっ!!今こそ我らが神の顕現するときであるっ!!!」


_____オオオオオオオオオオオオオーーーーー!!!!!


総勢幾千にもなる軍勢が、男の言葉に呼応して雄たけびをあげる。


そしてカイルの国は、およそ一時間という短い時間の間に滅んだ。






「姫様っ!!」


いつもどおりに執務室の扉を、勢いよく開けて入ってきたのはフローラだ。


「フローラっ!!もっと静かにしてっていつも言ってるでしょう」


と怒るのも毎回のこと。無駄とわかっても言わなければずっとやりそうなので、毎回怒る。


「カイルの国が滅びました」


「近いわね...いつくらい?」


「ちょうど二時間前と思われます」


「今すぐ軍略会議よ。ハヤトを呼んで」


会議とは言うが、結局のところはトゥーナとハヤトの二人で、今度をどうするか話合うだけなので、名ばかりである。

そんなことになる理由は、ウィリアナには武将や将軍などといったものはおらず、

トゥーナ自ら戦線に立つことが多かったためだ。


最近はハヤトが矢面に立つおかげで、そんなことも少なくなってはいるが。

それでも軍隊は訓練を続けているのは、褒めるべき点の一つだろう。


「はいわかりました」


フローラは今ばれていないとか思っているだろうが、若干声が弾んでいたことに、ちゃんとトゥーナは気づいていた。


「フローラ」


「はい」


「余計なことしなくていいからね」


一応釘は刺した。が、どこまで食い込んだかは定かではない。







「パパ。ご飯できましたよ」


「おっ?今日は何かな?」


と今から昼食をとるハヤト一家の様子である。


「パパの好きな料理と聞いたので『はんばーがー』を作ってみました。どうですか?」


と皿に載せられているのは、ハンバーガというよりはホットドッグに近しい形状の何かだったが、いたいけな少女が作ったものを、無碍に違うともいえないだろう。


「ゼロナは料理上手だな。絶対将来はいい奥さんになってると思うぞ」


と、とりあえずは褒める。内容は特に考えて話したわけではない。


「何言ってるんですかパパ。私はどこも行きませんよ、ずっとパパのお世話してあげます」


ずっと娘に世話される親というのも複雑なものだなと、ハヤトは苦笑いを浮かべる。


「でもお前俺がいなくなったらどうするんだ?」


「後を追います」


ほぼ0タイムだった。どれだけ覚悟を持ってハヤトと接しているかわかる。


「アホ。お前はちゃんと誰かと結婚しろ」


呆れたようにハヤトはそういうと、ハンバーガーもといホットドッグにかぶりつく。


「パパの意地悪...」


ゼロナもなぞの呟きのあとに、ハンバーガーにかじりつく。


味はというとはっきりいうと悪くない。おそらくこれが、ハンバーガーと言われて出されたなら少し味は変わっただろうが

実際のハンバーガーを知っているために、少々違和感を感じる。


それでもちゃんと食べられるレベルだった。


「どうですか?」


「美味いよ」


「よかったです」


この満面の笑みだけで、もう腹いっぱいと言いたいハヤトだった。

しかしまあロリコンでもなんでもないので、すぐに陶酔から覚める。


すると窓に止まった鳥に目がいく。


「またお呼び出しか」


「パパいくんですか?」


「行かんとうるさいんでな」


呼び出されるたびに、面倒だなと思うのはどうにか心のうちに仕舞っていくことにしている。

これだけでも少しは成長したかと思う。


「パパ辛くないですか?」


「辛くないよ」


「だったらいいです。頑張ってください、夕食でも考えて待ってます」


ゼロナはいいとは言ったが、やはり少なからずの心配はしているのだ。

それでも追求せずに、いつもの調子を戻しただけマシだ。


「いや、今日は俺が作ろうかな。適当に食材を買って来ておいてくれ」


「はいパパ」


「いい子だ」


ハヤトはくしゃくしゃと、ゼロナのつやつやの髪を撫でた。


「パパ、私パパのこと好きです」


「俺も好きだぞ」


このときのゼロナの好きは、異性としての好きで、ハヤトの好きは娘としてということだが、ハヤトはこの『好き』に込められた意味を、十分には理解してはおらず。

ゼロナをぬか喜びさせる結果となる。


「それじゃあパパ、お仕事頑張ってください。くれぐれもトゥーナさんと変なことにならないように」


最後のは余計だった気はするが、応援は受け取っておくことにして、ハヤトは城へと屋根伝いに飛び出していった。


「さ、私も買い物いかないと」


意外と主婦業もこなせる十歳ゼロナだった。


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