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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
五章・ゼロの暗殺者
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運命の選択

ハヤトとゼロナはほぼ同時に駆け出した。


「デッドフルバーストッ!!!」


両手に持ったアサルトライフルの弾丸すべてを、ハヤトを蜂の巣に変えるために撃ち出す。

まるで、霧のように撒き散らされたその弾丸たちは、ハヤトの視界を弾幕で埋め尽くした。


「土遁...」


「さっきのはもう効きませんよっ!」


ゼロナの言うとおり、土返しではチタニウム製の弾丸を防ぐことはできず、土竜の術を使ったところでタネのばれた技では一蹴されてしまうだろう。

周りは弾丸の霧、下も前も後ろも横もダメ。

となるとハヤトの選択肢は。


「土遁・岩山鉄塔の術」


ハヤトが出現させたのは巨大な天にそびえる塔。その頂にハヤトは仁王立ちで立っている。

残った選択肢は、高い塔で第二発を阻止した上で自分が安全な場所を造る。

これだった。


「これでお前の弾はもう効かない」


現にゼロナの撃った弾は、逸れるか塔に当たって地面に落ちるかのどちらかである。

なお、下から撃ったとして、当たる保障はどこにもない。

ただゼロナは、なにもできない状況を、歯噛みしているしかなかった。


均衡が訪れるかと思われたが、それはいとも簡単に崩れ去る。


「砕けろ」


ハヤトがつぶやいた瞬間に、土の塔は倒壊。高く高く聳え立った塔は、多量の瓦礫となってゼロナに降りかかる。


「こ、こんなことって!!」


ゼロナもここで死ぬわけにはいかないと、必死に逃げる。

だがゼロナの逃げ道を潰すように、瓦礫が押し寄せてくる。


「止めだ。火遁・崩天槍」


ハヤトの手から放たれた炎の槍が、ゼロナに降ってきていた瓦礫さえも燃やして、地面に突き刺さり、ハヤトの見える世界を焦土と変える。

と言っても上から見ているので、ほぼ見渡す限り焼き尽くしたというのが正しい表現だが。


そしてここで着地、ゼロナの元へと歩いていく。

側まで来たところで、動かないゼロナに対して剣を突き立てる。


「立てよ、まだ死んじゃいねえだろ」


「...うぐっ」


ゼロナの指がピクリと動く。まだかすかに息はあるようだ。


「私の...負けです...好きにしてください...どうせ...居場所がなく...どこかで...死ぬ命です...」


「そうか...ならお前はただでは殺さない

口寄せの術」


ハヤトは口寄せで烏を呼び出す。


「これはどういうことだ?」


「見ての通りだ、暗殺を企てた奴を俺が瀕死にした」


ハヤトの声と目はひどく冷たかった。家でゼロナと笑っていたときとは別人と見紛うほどに。


「主っ!いや、ハヤトッ!!」


烏もこれには怒った。普段であれば絶対に名前で呼んだりはしない烏は、今ハヤトを名前で呼び捨てにするほどに憤慨している。


「うるさい。そんなことよりこいつに裁きを」


「裁き?ハヤト、お前はこんな少女に夜刀の審判を下そうというのか」


何も答えずただ目で語った。


「そうか、そこまで堕ちたかハヤト。ならばいいだろう。自分が如何に愚かな選択をしたかその目で見て実感しろ幻術・裁き」


視界が暗くなる。視界だけでなく世界そのものが暗くなる。

その暗い世界へとゼロナ、ハヤト、烏は飲み込まれた。





「ここは...」


目を覚ましたゼロナが見たのは、どこを見ても真っ暗な世界、上も下も右も左もすべては真っ暗な闇。

自分がどこにいるのか、なにをしているのかさえわからない。


「さぁ。裁きの時間だ(It's judgement time)」


闇の中からハヤトが現れる。


「ハヤトさん...ここは」


「ここは大幻術、裁きの中だ。お前は今から二つの選択を迫られる」


ゼロナの喉元に、何か刃物のようなものが当てられる。


「それは死神、この世界の番人だ」


その番人は大きな鎌に、黒いマントの巨大な影、体は何者よりも大きく、顔は骸骨でできた、この世のものではない風貌をしていた。


(デッド)を、(ブラッド)を、(ソウル)を寄越せ】


「さあ選べ」


死神はゼロナに突きつけた刃をじわじわと深く喉に寄せていく。


「選べ。でなければあるのは死だけだ」


「何を...がっ...くっ...」


「さあ選べ」


どんどんと刃が迫ってくる。


「運命はお前次第」


ついに刃が当たり、首から血が出る。


「選べ。でなければ死」


(デッド)を、(ブラッド)を、(ソウル)を』


死神からはうごめく魂が溢れ出る。

その魂はそれぞれに怨嗟の呻きをあげる。


「死ぬぞ」


「私に...何を...選べと...」


「生きるか死ぬかだ…」


いやだ。まだ死にたくない、私は。


ゼロナは無意識のうちに、死神の鎌を掴んでいた。


「私はこんなところで死にたくない」


(ジャッジ)きを下す』


死神はすっと鎌を降ろす。


「よく言った」


ハヤトはゼロナをそっと抱き止める。

最初から、自分で生きるという希望を与えるためにこの幻術を仕掛けたのだ。


「もうお前は戦場(あそこ)じゃなくても生きられるだろ?」


「はい」


闇は晴れた。






「参りました」


「とりあえずトゥーナのところにいくか」


「この食わせ者が」


烏は精一杯の皮肉で賞賛を送った。








お久しぶりです皆様。

予定を変更して第47話です。


これから色々色々してまぁまぁな終わり方で次の章へと足を進めようと思います。


ちなみにゼロナを抱き止めたシーンで何故ハヤトが何もなかったのかというと、端的に言えば幼女は対象外。


それだけです。

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