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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
五章・ゼロの暗殺者
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来訪者は突然に

鎮魂祭も終わり、町は一旦また静けさを取り戻す、そしてこの男、ハヤトもまた静けさというより鎮火したように横になって、いや横たわっていた。


「主、もう昼だが」


「いい...今日休み...」


一ヶ月の休みをいいことに寝呆けていた。

この自堕落ぶりに烏も黙ってはいられなかった。


「たまには修行でもしてきたらどうだっ!」


珍しくキレる。


「修行?なんの?」


と言われると、烏は忍びの修行のひとつも知らないので黙りこんでしまう。結果、ハヤトが二度寝することになる。


「はぁ...」


こんな男の補佐をやっている自分が、情けなくなって一旦拠点としているツリーハウスから外へと出ようとする。

すると入り口で。


「こんにちは」


少女が立っていた。

こんなところに人がくるはずもない。そう思っていた烏は虚を突かれる、しかし一瞬でわれに帰る。


「なんのようだ?ここにはだらけまくった主以外誰もいないぞ」


「その主さんに用があってきたんですけど」


その少女はハヤトに用があってきた。つまりはあのだらけ主を起こさねばならない。

烏は意を決して起こしにかかる。


「主、客だ」

 

「客?...追い返せ」


にべもない。


「お前に用があるそうだが」


「俺は用がない」


当たり前だ。ハヤトの方に用があったのなら、いろいろ訳のわからないことになるだろう。


「いいから起きろ」


「やだ...寝る」


こうなってはもう意地でも寝る気だ。

烏も負けじと起こしにかかる。


「起きろ」


「もちっと寝かせて」


起きる気はないようだ。

ちょっとイライラしてきたのか、烏は嘴で突き始めた。


__ツンツン。


まだ起きる気配はない。

今度はさらに早くする。


___ツンツン。


それでも起きる様子はない。

ちょっとダイレクトに痛いところをやってみる。


__ツンツン。


これでもかというぐらいやったが、まったく効いていない。


これにもうついに烏がブチキレた。


___ツンツンツンドスドスドスドスドスドス。


途中から突き刺さったような音しかしていない。そしてハヤトも、さすがにこれは効いたのか、ようやっと目を覚ます。


「うるせぇええええええええええええ!!!!!」


森に響くほどの大絶叫。こんな木でできた家では、反響というより振動がすごかった。


しかしハヤトはおかまいなし。


「っせーんだよっ!どんだけ突けば気がすむんだよっ?お前は俺を蜂の巣にでもしたいのかっ?」


一日寝ようとしていたハヤトは、眠りを邪魔されたのだ。不快というだけでは気持ちは収まらないだろう。

しかし烏も反撃に出る。


「お前はあんな少女を、一日中入り口に立たせる気かっ」


「知るかんなもんっ!!」


「この鬼畜がっ!!」


「黙れゴミアサリっ!!!」


一応八咫烏にとっては禁句の一言である。なんでも現代のゴミ箱をあさる鳥と、神話の神聖なる鳥をいっしょにするなということらしい。


「なんじゃこらぁ!!!やんのかこのなまけ忍者がっ!!!」


もうキャラとかかなぐり捨てて、ハヤトとガチ喧嘩を始めていた。

鳥と人だから鳥が不利だろうと思うだろうが、烏は上空を飛びまわってフンを落としまくって、ものすごい優勢である。


「てめっ!それ掃除すんの誰だと思ってんだ」


「その権利を貴様に譲ってやるわ」


「てめえっ焼き鳥にしてやるっ!火遁・火走り」


とこんな調子で小一時間ほど鳥と人の戦いは続いた。





一時間後...


「て、てめえこら...さっさと...焼き鳥に...なりやがれ...」


「と、ところで主よ...何か...忘れて...おらぬか」


「あっ...」


いまごろになって客の存在を思い出す。


「プフ...アハハハハ!!!」


その場にいた誰かが思わず笑い出してしまった。

それはハヤトでも烏でもなく「客」だった。

そしてその客を、ハヤトは今一度よく見ると、それは不思議で神出鬼没な少女ゼロナだった。


「ゼロナ?」


「ハヤトさん面白い人ですね。笑っちゃいましたすみません」


目に涙を浮かべるぐらい笑っていたようで、目を擦りながら言う。


「なんだ客ってゼロナか」


「今頃ですか。もう一時間くらい立ちっぱなしです」


「あ~なんか悪い」


ポリポリと頭を掻いて謝るハヤト。


「今日何しに来たんだ?」


「ウィリアナに来たんですけど、どこいったらいいかわからなくて、とりあえず知ってる人のところに来ました」


「それで俺のとこか。他に知ってる人とかいないのか」


「いません」


首を横に振りながら言う。

そのとき....。


____BMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO。


「あの声はっ!!」


ハヤトはゼロナを放って外へと飛び出す。


「ハヤトさんっ!?」


ゼロナも追って飛び出す。

飛び出した先にいたのは、というよりこちらに向かってくるものは、ハヤトの主食たるギガントヴァッカだった。


「肉...肉...飯...」


「ちょっとハヤトさん目が血走ってますよ」


ハヤトはこうして、あの牛が走ってきたところを捕まえるぐらいしか、食料を得る機会がないので、これはなんとしても捕まえなければならない食料(もの)なのだ。


___BMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO


地鳴りとともにギガントヴァッカが走ってくる。


「ハヤトさんっ」


「ねりゃああああああああああ!!!」


ゼロナの心配をよそに、ハヤトは一撃で巨躯を誇る牛を殴り倒してしまった。

牛は例のごとくズシンと音を立てて倒れる。

その様子をみたゼロナは、空いた口が塞がらないという状態だった。


「さ、飯にしようぜ」


「ハヤトさん」


「ん?」


「その牛さん食べれませんよ」


「えっ?」


今頃人に言われて、食べられないことを知る。



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