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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
四章・策略の求婚者
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狂気なる王

「見張り代わるぜ」


野営をするということで、ハヤトも見張りに出ていたところ、代わりの兵士がやってくる。


「悪いな」


「一応あんたは客人なのに見張りまでやってもらって、それはこっちのセリフだぜ」


ああいう王の元にもこういう男はいるのだと、この国に対しての認識を改める。

そして当の王はといえば…。


「ハヤトくん。いっしょに飲まないか」


呑気に鹿肉と酒を両手にこの堕落振りだ。


酒付き合いも仕事のうちとか、誰かがいってたような気がするので、誘いに乗ることにした。

これもあくまで仕事だ。


「一杯どうだい」


酒瓶を出して酌をするそぶりを見せる。

が、ハヤトは酒など飲んだことも、親が酒を飲んでいるところをみたこともないので、酒の飲み方もしらないのでとりあえず遠慮した。


「そうかい?じゃあ水もあるけど」


最初からそっちだせ。


水があるならそっちを出せよと思い切り怒りたくなったが、これでも一応国王であるのですんでのところで押しとどまった。


ハヤトは水を杯に入れはするが、口はつけずにおいた。

どうもこの男はきな臭くて信用ならない。


「鹿肉もなかなかに美味い。君が狩った鹿だ食べるといいよ」


鹿肉の丸焼きを頬張りながら、別の肉を差し出してくる。


誰のせいだと思っているんだ、こいつは。


自分で狩った鹿とはいえ、とても口にできないでいるのにこいつは平然と食べている。許しがたい。とてつもない悪だ。

ハヤトのフォーゲイザーへの認識は、要注意人物へと変わった。


「どうした?具合でも悪いのか」


「別に...腹減ってねえだけだ」


本当なら空腹で倒れそうだが、今は食欲の逆の、食べることへの激しい嫌悪感しかない。


「残念だね。せっかくの肉なのに」


といいつつも次々頬張っていく。よく太らないものだと関心するところだろうが、そこは変に高めの新陳代謝のせいだろう。


「俺は寝るぞ」


「ん?そうかい。また明日だ」


ハヤトは馬車の中で仮眠をとることにした。そう、あくまで仮眠だ。






「やつは?」


「完全に眠ったようです」


「よし。全員武器を取れ!!」


フォーゲイザーの号令で武器をとって立ち上がる兵士たち。

そして、ハヤトが寝ているはずのテントへと足を潜めて向かう。


ハンドシグナルでフォーゲイザーが『行け』と命令を出す。

テントにまず二人が入る。

中には眠ったままのハヤトがいる。


「悪いな。お前の命はもらったっ!!!」


____ザクッ。


二人でハヤトに向かって剣を突き刺す。


「こ、これでこいつは...」


そのときハヤトから白い煙が出る。

そして、テントが煙でいっぱいになったときに、ハヤトの体から無数の刃の破片が飛び出す。

これは、クナイを砕いてさらに鋭利に削ったものだ。

剣を突き刺したまま、煙のせいで前が見えずに、立ち尽くしていた二人はまともに喰らって、血を出して倒れる。


外で様子を見ていたフォーゲイザーは何事かと、動揺を見せる。


「どうなっている。誰か見て来いっ!!」


「無理です!煙で前が」


「くそっ!なんなんだこれは」


「なんだろうな」


不意に聞こえるはずの無い声が聞こえてくる。

その声の方向に即座に振り向く。


「貴様なぜ生きている!!」


「心外だな。俺は幽霊じゃないぞ、足はついてる」


足を叩いておちょくるような仕草をする。


「やっぱりな。お前はなんか怪しいと思ってたんだよ。

やけに食い物や酒を勧めてくるから、なんかあると思ってたんだよな~」


腕を組んで一人でうんうんと頷いて、余裕の態度を見せる。


「お前は確かに寝ていたはずだっ!!」


「寝てたのは俺の分身、しかもクナイの破片入りのな」


自分の作戦がことごとく破られて、悔しそうな顔を浮かべるフォーゲイザー。


「大方、俺の杯の底には睡眠薬、もしくは痺れ薬が入ってて、眠るか痺れで感覚が麻痺したところを殺ろうと思ったけど、中々飲まないんで寝込みを襲って殺そうとか思ったんだろ?」


すべて的を射ていた。というか作戦の全容そのものだった。


「黙れぇ!!貴様さえいなくなれば僕はトゥーナを手に入れてウィリアナも手にできるんだ!!!邪魔をするなぁッ!!!!」


「煩悩の神様だな。かかってこいよ、相手してやる」


今こそ今までの怒りを晴らすときだと、ハヤトはアドレナリンが溢れ出しているように、凄まじくやる気がみなぎっていた。


「いけえ!!!討ち取れば褒美はなんでもくれてやる!!!」


この一言に兵士がそろって向かってくる。


「口寄せの術・朧」


口寄せにより巨躯を誇る龍を呼び出す。


____GRAAAAAAAAAAAAAAAAAA


ただの咆哮。ただそれだけで兵士の何十人かは体を空中へと放り出される。


「どうしたこんな時間に呼び出しやがって」


「悪いな。あのクソ野郎を倒さなきゃならないんでな」


「任せろ」


意気揚々と朧は歩いていく。その間何人も向かっていくが、象はアリがなにをしようと気にもしないように、ズンズンと進んでいく。


「全員僕を守れ!!!」


なんと自己中な王であろうか。さすがに朧でさえも呆れる。


そしてついに朧の腕がフォーゲイザーに届きかけたそのとき…。


______タァンッ!!!!


一発の銃声が鳴り響く。そしてその標的は。


「くそっ...たれ...」


ハヤトの脇腹を弾丸が深く抉っている。

油断した。普通なら気配で気づけそうだが、今のハヤトは少々頭に血が上っていた。


「ハヤトッ!!!」


朧の体が粒子と消える。朧はハヤトを媒介に呼び出されているので、媒介が戦闘不能になれば、自動的に消える。


「な、なんだよ脅かしやがって…こいつを谷にでも捨てて来い」


ハヤトは数人の兵士の手によって、谷へと投げ捨てられた。






「よくやったスコープ」


「いえ私は何も」


スコープと呼ばれた者は森の影から顔を出して、ただ獲物を撃った感触を確かめて、無機質で無表情な顔をしてハヤトを見つめていた。


「全軍!!ウィリアナへ!!」

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