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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
三章・狂乱の竜王
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襲い来る龍軍

「ごが~!!!...ぐが~!!!...」


一週間にも及ぶ戦場暮らしから帰ってきたハヤトは疲れきって豪快ないびきを掻きながら三日間の眠りについていた。


「んあ~...」


そして起床。


「起きたか主」


寝起きに合わせて烏が肩に飛んでくる。

なんだかんだでハヤトの肩がお気に入りなのだろう。


「どうした」


「伝令役の烏から昨日手紙が来てたぞ」


伝令役は一匹しかいないので差出人はもう予想がつく。


「あいつか...休みくらい放っといてほしいもんだな」


「そもそもお前休みあるのか?」


とうとう烏までブラック企業の従業員と化してきた。

これが伝染すればウィリアナはブラック企業国として悪名を轟かせるだろうとかハヤトは本気で思ってたり思わなかったり。


「なんでも、起きたらこい。だと」


「勝手に中身読むな。あと行動パターン読まれてるのどういうことだよ」


といったときの烏の顔はわずかだがあさっての方向を向いていた。


「ちっ。まあいい、しょうがねえから行ってやるか」


「わしも行こう」


「もう肩乗っていく気満々じゃねえか」


そんなこんなでトゥーナの元へ。






「よう。来てやったぞ」


窓の外から姿も見えない相手に声をかけられたトゥーナはびくりと体を跳ね上がらせる。


「びっくりした~...来るなら来るっていいなさいよね」


「来る」


「もう遅いわ!!」


かなりレアな姫様ツッコミである。

ツッコミ役はいつでも反転する関係にあるのがこの二人である。

案外いいコンビ...かも。


「なんだよ呼び出しておいて…用件言え。じゃないと帰るぞ」


「主に向かって口の聞き方がなってないわね。調教してあげるからこっちいらっしゃい」


そうでもないかも。


「いいから用件言えよ。寝起きのところ来てやったんだから」


「はぁ...。貴方『ドラゴン』って知ってる?」


「知ってるこの前会ってきた」


しかも討伐して素材をいただいたのは内緒の話。


「えっ!?会ってきたの?」


「なんでお前が驚いてんだよ」


「どんなのだった?」


トゥーナの声は大人の面白話を聞く子供のように多少弾んでいる。

どうやらドラゴンをみたことがないようだ。


実のところトゥーナは国の事情にもあまり詳しくない。

幼いころからとにかく城の中、もしくは戦場にいたので同年代の友達、もしくは恋人など一切いない。

城下町に出たことさえないのだ。

よって国の外にいるドラゴンなど知る由もない。


「う~ん。たぶんお前が思ってるほどかっこよくないぞ」


ハヤトが会ったグラレムは正直歪なフォルムのドラゴンでお世辞にも美形とはいえない風貌だった。


「そうなの?」


「そんなことはどうでもいいんだろ?ドラゴンがどうしたんだよ」


「あっ忘れてた」


「おい」


トゥーナは常識に乏しくて人の話を聞くのが大好きなのだ。

たまに話の本分を見失うことがあるが。


「実はね、最近近隣諸国でドラゴンの咆哮を聞いたって報告が相次いでるのよ」


「普通じゃね?」


ドラゴンが吼えただけなら普通の現象で話は終わるだろう。


「それがいくつも重なった咆哮だっていうのよ」


本来ドラゴンは群れない。それは自身が孤高にして、高位の次元に位置する生物の王であると本能的に自負しているからに他ならない。

そしてドラゴン同士が出会えば、縄張り争いのために殺し合いが始まる。

まさに生態系の頂点に君臨する絶対王者。


「それで?」


「もしかしたらこっちに進行してくるかもしれないから、いつでも戦闘準備しといてね」


「いやおいちょっと待て」


ハヤトが反論する。


「誰がドラゴンとやるって?」


「もちろん貴方に決まってるでしょう」


何をいまさらといった口調で返してくる。


「馬鹿なの?お前がいけ馬鹿。ドラゴンとなんて...

最強のトカゲVS人類最強の男じゃねえか」


なぜかハヤトの脳内で自分が美化されていた。


「なんで私がいくのよ。あと美化しすぎ」


当然の返答だ。


「だいたいお前俺に働かせすぎなんだよ。勤務日週8当たり前って休みねえじゃねえか」


「三日も休んでおいてよく言うわね」


「三日?少なすぎる。せめて一ヶ月だ」


「はぁ?馬鹿じゃないの?せいぜい週14ぐらい働きなさい」


ブラック企業の社長の本領発揮、二週間以上休みなく働けといってくる。

これだからブラックはっておばちゃんとかが噂してそうだが今はまったく関係ない。


「お前ら電磁砲(レールガン)とかないの?」


ライフルとかがあるのだからレールガンあっても不思議ではない。


「なにそれおいしいの?」


「ふざけてんのか?」


どうやらレールガンなどという近未来武器は存在しなかったようだ。おそらく電気を弾丸として打ち出す概念が思いつかなかったのだろう。


「じゃあ自動車」


「それ食べ物?」


「違えわ!乗り物だっ」


この世界の科学力はあまりいい方向には向かっていないようだ。


「乗り物?馬車みたいなの?」


「似たようなもんだが馬車よりは確実に早いぞ」


「えっ?ほんと。それ詳しく聞かせて」


こういう話にはガンガン食いついてくるのがトゥーナなのだ。

興味深々で壁に耳をつけて話をきくぐらいだ。

それを感じて手ごろな紙に適当な図面を書いて渡してやる。


「これが自動車?」


「そっ。動力はいろいろ使えるぞ」


「これ面白そうね。さっそく作らせてみるわ

あとひとつ分からないのは『れーるがん』だっけ?」


またハヤトは思いつく限りのイメージでレールガンのモデルイラストを描いていく。色がつかないのが非常に残念だが、ハヤト的にはうまく描けたほうだと思う。


「これがレールガン?」


「これさえあればたぶんドラゴンも倒せる」


「そんなすごい武器を思いつくなんてすごいわハヤト」


思いついたの俺じゃねえけど。


「これでドラゴンがきても...」


______GYAOOOOOOOOOOOOOOOOO


耳を劈くような咆哮があたりに鳴り響き、建物や生物を揺らす。

それもいくつも何重にも重なって聞こえる。


「ねえハヤト...」


「ど、どうした」


「ド、ドラゴンって知ってる?」


「今ここに向かってるやつ」

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