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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
三章・狂乱の竜王
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動き出す龍

ハヤトは一週間の戦場生活を終えてウィリアナへと帰還した。


「た...だいま...」


トゥーナの部屋にたどり着くなり中で倒れてしまった。


「は、ハヤト!?どうしたのよ」


「俺はこの数日で命の尊さを知ったよ...」


精神崩壊を通り越して悟りを開いたようだ。


「ちょっと何があったのよ!?」


「わしが話そう」


動けないハヤトの代わりにと烏が説明する。


ハヤトは一週間いろんな戦場を回って人の死を見すぎた。もちろん自分の殺した人間も含めて。

平和な日本国民だったハヤトにしてみれば戦場での一週間、しかも戦場を丸ごと終わらせるような戦死者をみれば精神崩壊するのは目に見えている。

それでもハヤトが命令を完遂したのはさすがの使命感といえる。


「ごめんハヤト~!!!そんなつもりはなかったの。ただ貴方が行ったらちゃっちゃと終わるかなって」


「このまま寝かせて...」


と、目を開けたまま死んだ魚のような状態で寝てしまった。


それしてもトゥーナの部屋に入ってもなにも感じないとは、もはや思考機能は停止しているのではなかろうか。

そしてトゥーナはこれがチャンスとハヤトを膝枕していっしょに寝てしまった。


そのまま五時間後...。


「...ん?そういえば俺は...」


目覚めたハヤトは自分の体勢について思考を始める。


あれ...俺の頭はなにかに乗っかっていただろうか。そもそもなぜこんなところで寝たのだろうか。そしてこのほのかに甘い香りはなんだろうか。


まさかと思ってグギギと首を上に向ける。すると案の定トゥーナの寝顔があった。

その瞬間、ハヤトがあのモードに入る。


「ぎゃあああああああああ!!!!!!」


絶叫にも似た悲鳴を上げてハヤトは飛び退く。


「貴女だれですか。なぜ僕の近くに...」


ハヤトは刀をトゥーナに向けるがその手はカタカタと震えていた。


「あっおはよう。よく眠れた?」


そして起きたトゥーナはもはや見てもいなかった。


「貴女誰ですか...」


こんどのモードは記憶喪失タイプでまともな会話はできるようだ。

かなり無愛想だが。


「はぁ...貴女もいい加減その症状治したほうがいいわよ。私の名前はトゥーナよ」


呆れながらも名前を告げたトゥーナに対して。


「貴女にうるさく言われる筋合いはありませんね」


と、売り言葉に買い言葉ではないが好戦的ではある。


「自己紹介までしたんだから名前で呼びなさいよ」


「貴女を名前を呼ぶ筋合いもありません。それでは」


そういうとちゃっちゃと飛び出していってしまった。


「あっちょっと!」


トゥーナの止める声は聞こえていなかったようですでに姿はなかった。


「逃がした...」


そんなちょっと前進したのかしてないのかわからないトゥーナの様子をドアの隙間から。


「その調子です」


とかいいながら覗くフローラの姿があったことはトゥーナは気づいていない。

ある意味フローラのほうが忍び向きかもしれなかった。








「あの方なんだったのでしょう...」


森に帰る途中で思考しながら人格が入れ替わる。


「あれ?俺なんでこんなとこ走ってんだ?」


記憶が引き継げないのは面倒この上ない。


「烏なんか知ってる?」


「わしは知らん。さっさと寝るといい」


烏はもう答えるのも面倒になったようだ。


「?なんだよケチくせえ烏だな」


「ケチくさいとはなんじゃ!これでも由緒正しき烏だぞ」


由緒ただしき烏な。烏祭ってる神社なんかあったかな」


ハヤトは行ったことがないから知らないが熊野神社には烏が午王宝印と呼ばれる護符として祭られているのだ。


烏とは結構神の使いとしても有名な鳥なのだ。


とまあそんな由緒正しい烏は必死にハヤトに向かって抗議の声をピーチクピーチクと叫んでいるわけだが。


「しかし腹減ったよな~...」


実はというとハヤトは一週間戦い続きでまともに食事をとっていない。

取った食事は兵糧丸と呼ばれる忍びの携帯食のようなもので栄養価は限りなくゼロだが滋養強壮効果が期待できる。

しかしそれも先ほど効力が切れて、ハヤトの胃にキリキリという痛みを生み出す。


と、そのとき。


「BUOOOOOOOOOOOOOOOOO」


聞き覚えのあるご馳走(ハヤト限定)の声がする。


「ラッキー!!」


一週間という長さは伊達じゃない。もはやどんな食材でさえご馳走だ。

空腹は最高のスパイスとかいった奴はおそらくこんな状態に陥ったのだろう。


そしてギガントヴォッカを拳ひとつで沈めると目の色を変えて肉を焼き始めた。

おそらくしばらくするとこれがハヤトの主食になるだろう。


そしてハヤトは一週間ぶりの食事に舌鼓を打った。








その頃...


「疲れますね、ドラゴン百体は」


その男の周りには百体ものドラゴンが群れを作っていた。


「さすがにここまでしなきゃいけないのかと思うとどれだけの化け物なんでしょうねぇハヤトくんは。あはははっははは!!!!」


ドラゴンの咆哮に混じって男の高笑いが響いた。



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