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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
三章・狂乱の竜王
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賑わう町並み

「ああ。あの方たちは使い物になりませんでしたね

ですから次は貴方たちですよ」


その湿ったような声はヴォルールたちの脱走を手助けし、リヴァルを殺した男の声だった。

なにかを前にして言葉を発している。


「太古の王者たちよ」


____GYUOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!。


____GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!。


耳を劈くようないくつもの咆哮が大地を揺るがす。


「世界を混沌へ、破滅へ誘え」


これが新たな事件の火種となる。







「爺さん。婆さんと仲良くな」


ハヤトはあれからラーマ氏の遺体を埋葬し、婆さんの墓の隣に墓を作った。

そして墓標のかわりに影虎を突き刺す。


「じゃあな」


別れを告げるがまったくといっていいほど悲しみはなかった。

なぜなら過ごした時間はちゃんとあるのだから忘れない限りはその人は記憶の中にあり続ける。決して悲しむことではないとハヤトは持論として自覚しているのだ。

それがいつしか当たり前になり人の死に涙を流すことなどなくなってしまった。


「爺にはさよならも言わなかったな...」


それはハヤトの唯一の後悔と言える。

ハヤトの知る祖父の思い出などたった五年、それよりも短いかも知れないぐらいの時間しか存在していないのだ。


「後悔先に立たずとはよく言ったもんだな」


ハヤトは刀を見やる。これもハヤトの後悔の一つだ。

あのとき自分が下手を打たなければ刀が折れることもなかったのにという。


「くそっ」


仕方なく鍛冶師と元を訪ねることにした。







「なんだこりゃ...」


ハヤトが街に入ると、いままで戦争をしていたとは思えないほどの人がいるではないか。

明らかに国の居住定員数を超えているだろう。


「どうなってんだ?」


「お~い!」


人混みの中から手を振って現れたのはハヤトを同志と呼ぶロッツだった。


「お前よく俺見つけられるな」


「どんなもんだよ」


「今の皮肉だって気づいたか?」


ロッツは初めて会ったときも変装していたはずのハヤトを探し出して捕まえたのだ。


「細かいことは気にすんな」


「お前がいいならいいけどな」


皮肉も気にしないマイペースな性格だったようだ。

あまり会わないので人柄に触れなくて気づかなかったが人はいいようだ。


「ところでこれなんの騒ぎだ?」


「それがよ...」


ロッツによればウィリアナの誰かがあの六人を倒したことは世界中に広まっており「ウィリアナには強大な兵器がいる」だの「圧倒的戦力の国だ」とかこのように特に戦力も持っていない小国は次々とウィリアナに降伏していき、そこに加えてトゥーナの言葉。

「私たちはいまや同じウィリアナの民。同じ民が領地に来てはいけない道理はないわ。国民は自由な出入りを保障するわ!」


とこれによって各国の国民がウィリアナ本土に来ていて完全に祭り状態なのだ。


「というわけだ」


「あいつアホだろ」


「ロッツ!何してる!」


ロッツを叱りながらきたのはロッツの相方フランツだ。


「あっロリコン」


そう。フランツはロリコン趣味なのだ。


「誰がロリコンだ!幼女趣味と言ってもらおう」


「いっしょだよ性犯罪者」


「まあまあこんな幼女趣味は放っておいていいから。こんなとこでどうしたよ」


「やっとそこに行き着くのかよ」


ハヤトはすでに気力とかを持っていかれそうだった。


「鍛冶屋知らねえか」


「鍛冶屋?なら行きつけのとこ教えてやるよ」


「バーにいくんじゃねえけどな」


という訳でとりあえず鍛冶屋のほうはどうにかなりそうだ。


「お前ところで女に弱いってホントか?」


「なんだよ急に...」


「いやちょっと噂というか姫様の独り言を聞いてな」


「噂じゃねえねぇか。完全な伝聞だろ」


ロッツはもしかして真性のアホなのではないかとつくづく思う。


「どうなんだよ」


「弱いっちゃ弱いかな」


「もったいねえな。お前なら自分から女が寄ってきそうなもんだろ」


普通なら喜ぶべきだろうが、ハヤトにしてみれば恐怖が自分から寄ってくるのだ。精神崩壊の元になりかねない。


「そ、それは困るな…」


「見ろよあそこ」


ロッツが指差したのはマジマジとハヤトを見つめる頬を赤らめたハヤトと同い年ぐらいの女の子だった。


「ずっとお前を見てるぞ。あっこっち来た」


「すまん逃げる!!」


ハヤトは煙玉っで逃げようとするが


「どこ行く気だ」


「ロッツ頼む離してくれ!」


もうハヤトは逃げようと必死だった。


「お前女を前ににげるなんて無粋もいいとこだぞ」


「マジで嫌だ...」


しかし腕はがっちりホールドされているので逃げられない。

そして女の子はどんどん近づいてくる。

ハヤトの心臓の鼓動が早くなる、別の意味で。


「あの...よかったら...その...」


「さよなら!!!」


今度こそ煙玉を打って逃げる。


「あっ逃げられたっ!」


「確かに女に弱いな。かなり怯えてるから違う意味でだが」


フランツだけはハヤトの状況を冷静に分析していた。


「すみません姫様逃げられました」


どうやらトゥーナの差し金らしい。女の子も仕掛け人だったようだ。


「お~い!ハヤト~?降りて来~い」


ハヤトは怯えた猫状態でこのあと二時間は民家の屋根から降りては来なかったという








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