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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
二章・脱獄の復讐者
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二人目の転生者

「手当てって応急処置かよ...」


リヴァルは森の中を彷徨っていた。


「新しい生き方か。簡単には見つからないだろうな」


「そうですね」


リヴァルの独り言に答えたのはフードを深く被って顔もわからない背は高校生ぐらいの男だった。


「あ、あんたか...」


「がっかりですよ。貴方を除いて全員やられるなんて」


「あのヴォルールがやられたのか!?」


「ええ。そして貴方だけ生き残った、これは実に許しがたいことです。

よって」


影から一本の黒い剣を取り出す。


「死んでもらいます」


「こんなところで死ねっか!!!」


リヴァルは壊れた殴を構える。


「私だって残念なんですよ?せっかく脱獄の手助けまでしたのにこんなに簡単にやられるなんて。貴方にいたっては敵の情を受けるなど」


「あいつは生まれ変わるチャンスをくれた。俺はそれを守りてえ」


「家族も守れなかった男がいまさら何を守るというのですか。そして今自分の命すらも守れない」


「ウオオオオオッ!!!!」


その後森には血まみれの死体が転がっていたという話だ。








「さて。こいつらどうすっかな」


ハヤトがヴォルールたちの処分に困っていると。


「ハ~ヤトっ!」


後ろから飛びついてきた存在が。

やけに聞き覚えのある声にギギギとなるような固い首を回すと。

背中にはやはりトゥーナがくっついていた。


「うわああああああ!!!!」


驚いたのと恐れからくる絶叫だった。


「うわっ!?私がびっくりした...」


ハヤトはうずくまって膝を抱えて体を震わせている。


「どうしたのよ?」


「ひぃぃぃ!!!」


ハヤトは虫嫌いの女の子がゴキブリをみたような反応で後ろにズサズサと距離をとる。


「なに?」


「さ、さよなら!!」


「待ちなさい」


ハヤトは全速力で逃げようとするがいつもの力が出ないので簡単に捕まってしまった。


「ちょっとどうしたのよ」


「止めて。話してください」


これはもう完全にトゥーなの知るハヤトではなかった。


「どういうこと?これが...あのハヤト?」


『女性恐怖症なんてのになっちまった』


訳がわからずにいるとふと始めてあったときのハヤトの昔話を話していたときの言葉を思い出す。


「これがそうなの...?」


トゥーナは信じられなかった。あのいつも喧嘩腰で自分には敬語なんて一切使わないハヤトが今はこんなになっているなんて。


だから顔も出さなかったんだ。


トゥーナは今やっとハヤトがいつも窓からしか話さない理由を理解した。


「落ち着きなさい。私よトゥーナよ」


「離してくれ!!!」


どこまでも拒絶するハヤト。


「あの~姫様?」


「何よ!今ちょっと取り込み中よ」


「その方。姫様を怖がっているのでは?」


「私を?」


「姫様も女性でしょう?その方女性が怖いのでしたら姫様に怯えているのでは?」


使用人の言葉にはっとする。確かに今自分がやっているのは逆効果だ。

そしてするりと手を離すとハヤトは一瞬にして消え去ってしまった。


「何なのよあいつ」


「姫様。男性の方も難しいのですよ」


「う...わかってるわよ」


トゥーナには婚談は来るが決して恋愛経験があったわけではない。

だからハヤトの扱いがわからないのだ。


「ここはひとつ姫様が一肌脱ぐしかありませんね」


「ちょっとフローラっ!?」


「好きなのでしょう?あの殿方」


「そ、そんなんじゃないわよ」


と言うトゥーナの顔は赤く染まっている。


「あんまり抵抗されるからちょっとムキになっただけよ」


「素直じゃないですね」


「フローラッ!」


「はいはい、黙っておきますよ。もしもしねつあ...」


フローラはどこからともなく無線機を取り出してどこかに密告していた。本人の目の前で報告するのは密告というのか疑問ではあるが。


「それが余計な口だって言うのよ!!」


そうやってじゃれ合う二人はまるで親子だった。








「はぁっ!...はぁ!...はぁ!...なんだったんだ...あいつは...」


どうやらあの状態になるとそのときの記憶まで失うようだ。


「今は...それより..爺さん...勝ったぜ...」


と報告しようと家に帰ると。


口から血を流して倒れるラーマ氏の姿が。


「爺さんっ!!!」


慌てて駆け寄る。


「おう...兄ちゃん...勝ったのか...よかった」


「なんでだよ。勝ったのになんで...」


「あいつらに...やられる...前から....もう...体の...あちこちに...ガタが...来ててな...いつ...死んでも...おかしく...なかった...」


「だったらなんでこんなとこまで来たっ?!」


「ここに...婆さんの...墓が...あるんだよ...兄ちゃん...そこに連れてっちゃ...くれねえか...婆さんの...隣で...死にてえんだよ...」


「馬鹿いうなよ!あんたには聞きたいことが山ほどある!あんたの婆さんの分まで生きなきゃならねえ、そうだろっ!」


「いや...十分...生きたよ。きっと...婆さんも...待ってる...だろう...」


「だから...頼む...爺の...最後の...頼みだ...」


「わかったよ」







「婆さん...いまから...そっちに...いく...からな...」


石碑に寄り添って言葉を垂れるラーマ氏はもう見ていられなかった。


「ありがとな...」


「じゃあな」


「ああ...二人目の転生者...」


ラーマ氏が最後に口にした言葉はハヤトが一番ほしい言葉のひとつだった。


「ちょっと待て爺さんっ!!二人目ってなんだっ!!!一人目は誰なんだよっ!!爺さんっ!!」


ラーマ氏の手がだらんと力なく垂れる。


「くっそ...最後の最後まで言わなかったよ。なんなんだよ転生者って」


そのあとラーマ氏を手厚く葬ったがハヤトの中には新たな謎がはびこった。



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