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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
一章・戦乱との邂逅
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戦え

「なんなんだよここは・・・俺はどこにきたんだよ・・・」


ハヤトはただ呆然と目の前の血なまぐさい光景を見つめてただ立ち尽くす。しかし世界はそれすらも許さない。

戦況が長引くにつれて戦いは激化し、いくつも矢や砲弾が飛び交い大地を赤く染めていく。

ハヤトのもとにも流れ弾がいくつも飛んでくる。


『俺はこんなとこで死ぬのか・・・』


俺の人生、はっきり言ってくそだった。

好きだったあの子にはフラれて落ち込んで不登校になって社会復帰不可能になって、オマケに女性恐怖症を患うしまつ。


「ホントくそだな」


思わず涙が頬を伝う。

自主的自宅謹慎を始めてから一度も流すことのなかった涙を流した。

ながらく涙も流さなかった自分の人生にさらに泣けてくる。


「死にたくねえな・・・まだ」


『死にたくねえなら戦えハヤト』


脳裏によぎったのは懐かしき幼少に祖父に言われた一言だった。


そういえば爺はこんなこと言ってたな。


それは幼少期、山登りが好きな祖父に連れられて断崖絶壁をわずか5歳にして登ろうとしたときのことだ。


「じいちゃん!俺には無理だよ」


「怖いか?」


「怖いよ!」


「怖いなら戦え!まず自分と自分の置かれてる状況と!じゃなきゃ一生お前は負け犬かそこで死ぬぞ」


当時の俺にはその言葉の意味は半分以上理解していなかったように思う。

だがその半分で俺は断崖絶壁を登りきった。

爺はそのあと安心したかのようにぽっくり逝った。


「爺、また助けられたな」


ハヤトは戦うことを決心する。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


自分を鼓舞するように叫ぶ、もちろん戦場にはただの騒音にしか聞こえなかっただろう。


『おちつけ、俺は忍び、影だ。光りのように(はや)く影のように静かに獲物を狩る』


「推して参る」


覚悟は決まった、あとは敵を狩るだけ。ハヤトは尋常ならざる脚力で戦場へと突っ込んでいく。


「オアッ!」

「ハアッ!」


二人が組み合うところへ。


「どけーーー!!!!」


二人の間に屈み込むように入り込むと同時に両手に持ったクナイを敵の胸に向かって投げつける。

結果は瞬殺。


しかしそれに喜んで手を止めていてはいけない、次の敵に近づき肩から紐でかけた忍刀で横なぎに切り倒す。


「何だあいつは!?」

「まずあいつだ!!」

「クニエ!!!てめえよくも俺のダチを」


数人が憎悪と危機感を感じたのかハヤトに向かって剣を構えて走ってくる。

しかし数など関係ない、ハヤトには必殺武器、宝禄火矢と呼ばれる現代の手榴弾のようなものが忍び道具には存在する。


「死ねえ!!!」


一人が切りかかってくるので手ごろな隙を見つけて宝禄火矢をつけ敵に向かって投げつける。宝禄火矢の有効範囲は約3Mほどだが敵を数人爆死させるには十分だろう。


「グッバイ」


宝禄火矢が爆発。ハヤトは投げた瞬間に飛び退いたので被害を被ることはないだろう。

しかし今ので戦場の兵士たちはハヤトの存在に気づいただろう。

当然標的として認識される。


「全員あの男を討ち取れーーーーー!!!!!」


「オオオオオオ!!!!」


敵味方入り乱れてハヤトを狙いにきた。


「やれやれごくろうなことだ」


余裕綽々といった口ぶりだが顔は引きつっている。


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!どうすんの俺!?


「ウオオオ!!!」


屈強な兵士がそろいもそろってハヤトを狙ってきた。


「あ~もうくっそ~!!!こんなとこで終われるかぁぁぁぁぁぁ!!!」


そこでゲームで忍びなら一度やってみたい技を見つけたのだが黒歴史になりかねないのでしまいこんでいた技を思いつく。

一か八か賭けるしかない。


「水遁・湯渡り!!!」


口から多量の熱湯が濁流のように流れ出す。

はたからみると漫画みたいなよだれにしか見えない。


「あちちちちち!!!」


もう見栄えなんて気にしてはいられない、次の行動に移る。


「氷遁・霜柱」


熱湯の蒸気が氷点下ギリギリまで達したところで散布され、霧へと変化する。


「なんだこれは前が見えないぞ」


これが好機と宝禄火矢残り5発をすべて敵陣に万遍なく投げつける。


深くなった霧のおかげで宝禄火矢はただ何かが飛んできただけにしか見えずに地に落ちて爆発。

敵はあっというまに壊滅に追いやられる。


「全軍撤退!!!」


敵の大将はさすがに戦況がまずいと判断したらしい。

そもそも敵味方関係なくなった戦争にやる意味はない。それを踏まえての撤退だろう。


しかしここで逃がしてはまた戦争の火種になる。そうなる前になんとしても敵の大将の首はとっておきたかったハヤトは馬が馬具を鳴らす音を頼りに接近していく。


「見えた!」


一気に接近、そして首を撥ねんがために跳躍、そこまでは完璧だった。

だが・・・。


「お逃げを!()!!」


「へっ!?姫?」


その馬に乗った大将が仲間の声に気づいて振り返った顔はなんとも美しい、騎士の鎧を纏った少女だった。


「お、おんな・・・かよ」



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