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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
二章・脱獄の復讐者
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最悪との遭遇

「ここもダメか...」


ハヤトはあれからすでに十国目に訪れていた。

どの国もいまでは血の鼻を劈くような刺激臭と死体の腐廃臭しかしなかった。

そしてここも・・・。


「犯人は無差別に国を潰して回ってるのかのぅ」


「可能性はあるな」


「むっ?」


「どうした」


「そこの者。まだ息がある」


「なにっ!?」


急いで駆け寄り治療を始める。

こういうこともあろうかと救助用具のようなもの、ゲームでいう回復アイテムは多めにもってきてあるのだ。


「おいあんた!大丈夫かっ!何があった!?」


「ああ...すまない...六人の...男たちが...やった...見たことも...ない...武器を...使って...街は...壊滅...させられた...俺の...家族も...ちくしょう...」


途切れ途切れに言葉をつなげながら助けられた男は悲し泣きと悔し泣きが混ざったように泣きながら話していた。


「そいつらは?」


「どこかへ...いった...レクス...という...男を...捜していた」


そこで男の手がだらんと力なく垂れる。


「おいっ!死ぬんじゃねえ!しっかりしろ!」


「やめろ主。そやつはすでに死んでおる。虚しいだけじゃ」


男はもはや手遅れだったのだ。


「くそっ!」


助けられなかった命にハヤトは罪悪感を覚え、後悔の念がよぎる。もっとはやく来ていれば犯人を見つけられたかも止められたかも助けられたかもそんな後悔がハヤトの中をぐるぐるを駆け巡る。


「主よ。わしにはお主がなにを考えているかわかるぞ

そんなことはエゴじゃ切り捨てろ」


「違う!もっと早くきていたら...」


「来ていたらなんじゃ?助けられたか?無理じゃ。現にこの男は死んでおる。お前が治療したのにもかかわらず。どの道助からん命じゃ割り切って今やらねばならぬことをやれ」


とっさに反論してしまったが烏に一喝されてしまった。

やりきれない気持ちのはけ口を失ってハヤトはどうにかなりそうだった。


とそのとき。


「あっれ~?まだ生きてるやついるじゃん」


「生存者一名。これより殲滅に入る」


「俺の鎌の餌食になりたいか~い?」


「わしの新しい敵はどこだ~!!!!!」


「遊ぼうぜ~!」


背後から五つの声が聞こえてきた。


「なんだてめえら...酔狂や野次馬できたなら帰れ殺すぞ」


ハヤトの目にはいらだちからくる殺気がみなぎっていた。


「怖え~殺すだって僕たちを?ぎゃはっはは笑えねえよ」


「戦闘に入る」


「俺の鎌が泣き叫ぶ。お前の血がほしいっていってるよ」


「お前かわしの新しい敵は。わしの心を躍らせてみろ」


「遊んでくれんのか?嬉しいねぇ~」


それぞれの声には狂気の色が見える。


「主よ。あれが犯人ではないか?」


「なにっ!?」


「その烏しゃべるの?すげえ~!そうだよこれやったの俺たち。すごいっしょ」


なんと犯人が自らやってきたのだ。こんな幸運であり不幸なことはない。

ハヤトは心のなかで喜びながら怒り狂っていた。


「らあっ!!」


「主っ!」


気づけば体は勝手に走り出していた。

ハヤトは最初の標的として口の軽そうな男を選んだ。

そして肩口からの抜刀。渾身の力で振り抜いた。

だが軽々と受け止められる。


「怖いな~いきなり斬りかかってくるなんて。十年早えんだよ。ピイェ!」


「承知」


一人に斬りかかる間に背後に回られたらしくハヤトは挟み撃ちに遭う。


「ちっ!」


「ここはわしが!『烏隠れの術』」


ピイェと呼ばれた男の視界に無数の烏の尾羽が散らばる。


「なんだこれは」


「烏千本!」


無数の尾羽がピイェに向かって弾幕のように飛んでいく。


「なんだとっ!?」


ピイェの体に深々と尾羽が突き刺さる。


だが現実ではピイェが刺さったと錯覚して動きを止められていた。

これは俗に幻術と呼ばれる幻を見せる催眠術にも似た忍びの技のひとつである。


「ピイェ!何してやがる!」


「もらった!」


仲間の心配をして叫ぶなどというワンアクションをしてしまったのが仇となり隙を作った。

その隙をただ愚直に攻撃する。

ハヤトは刀を滑らせて脇腹から胴をなめるような軌道で振り抜こうとした。

だが相手もただではやられない。

ギリギリで体をのけぞらせてかする程度に抑える。


「ぐっ・・・!」


「ちっ!」


「てめえ...許さない」


男の目つきが急に変わる。さらにはその身に纏った雰囲気までもが濃密な殺気を纏う。


「そこまでだラトロ」


後ろから声がかかるとラトロの動きがピタリと止まる。


「なんで止めんだよヴォルール!」


ヴォルールと呼ばれたのはまだ年若い青年だった。

顔は整っているにもかかわらずその表情はどこか憎しみにあふれている。


「今はそんなことをしている場合じゃない。早くレクスを探さなくては」


「わかったよ...おいお前名前は?」


「ハヤト」


「俺はラトロ。こいつは灼刀・焔、シュベールト・ラーマの変刀のうちの一本だ。

次ぎあったら殺すから待ってろ」


「お互い様にな」


「ラトロばかり自己紹介したようだな。俺はヴォルール。得物は撃刀・(だん)

そこにいるのはピイェ。得物は折刀・(ほふり)


「わしはリヴァル。得物は拳刀・殴」


「俺はウルティオ。こいつは死刀・断」


「俺はコンルー。得物は呪刀・(むし)遊ぼうぜ~」


「俺たちはレクスという男を殺す。そのために動いている。邪魔はするな容赦はしない」


「待て!ここまでやっといて逃がすわけねえだろ」


「逃げられないとでも?リヴァル!」


「いくぜおらぁ!」


リヴァルが地面を殴ると地面が放射線状にひび割れて壊れていく。


「うおっ!?」


「ではさらばだ」


「待てこのやろう!」


次に一団をみたときには一団の姿などどこにもなかった。


「くっそおおおおおおおお!!!!!」


ハヤトの叫びが街に虚しくこだました。












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