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ゲーマー忍者の異世界無双   作者: 世捨て人
二章・脱獄の復讐者
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最悪への秒読み

「あの女いつか覚えてろよ」


ハヤトはトゥーナの命で近隣諸国の見回りに出ていた。

本来なら貴重な戦力であるハヤトを行かせるのは心苦しいが現在ウィリアナ公国は近隣諸国と冷戦体制にあるため領域にはいった途端に戦闘を仕掛けられることもなくはないのだ。


「はぁ~めんどくせぇ~」


そこでこの男のような戦闘力で逃げ切ることが重要なのである。


「あっそうだあれ試そう」


何かを思い出して手をつくと自分の親指を嚙み切って手のひらに塗って地面に押し当てると白煙が上がる。


「口寄せの術」


古来忍者が使ったとか迷信だとかさまざまな憶測が流れる有名召喚忍術、口寄せの術。

血の契約を交わしたものを瞬時に呼び出せる術である。


そして煙のなかから現れたのは一匹のカラスだった。


「口寄せ成功」


「なんじゃお前か。わしの主は」


「しゃべるのか!?まあ都合いいけど俺はハヤトよろしくな。え~と...」


「われはかの有名な神、夜刀神に仕えし烏、八咫(やた)(がらす)である」


「お前の名前は...」


「おいっ!聞けよっ!」


烏流ツッコミが入る。


「これからは烏って呼んだらお前のことだと思え」


「八咫烏はお前の管理化に三千羽居るぞ」


「そんなにかっ!?」


「わしはその頂点に君臨する八咫大烏にあたる」


「じゃあいまから十羽呼びたいんだが」


「もういちどやればよい」


こいつ偉そうだないちいちと。俺主って自分で言ったくせに。


正直烏の態度にいらいらしながらも言われたとおりにもう一度口寄せする。


『八咫烏衆見参 (つかまつ)る』


ほんとに十羽出てきた。


「そなたが念じれば三千の中から好きなだけ呼べる」


「口寄せ便利だな。自分に使われるの腹立つが」


ここでトゥーナの鈴のことを思い出して頭に血がいくらか上る。


「それでわれらを呼んだ用はなんじゃ」


「伝令役を頼みたい」


「わしらに豆鉄砲を食らえば動きが止まるような雛の真似事をせよと申すかっ!」


「ああ、頼む」


「・・・むぅ。仕方ない引き受けてやる」


ハヤトの目を見て真剣な事情を察したのか一つ返事で承諾してくれた。


「ありがとう」


「主が礼など言うなみっともない」


「主がどうとかは知らないけど請け負ってくれたことには感謝する」


「変わったやつじゃ」


烏はハヤトの肩に留まっていっしょに来てくれるようだ。


「ではゆくぞ」


「なんで仕切ってんだよ」









「なんだこりゃ...」


「ひどい跡じゃのう」


ハヤトが最初に訪れたのはエキラという国で小さい国土ながらもかなり豊かな生活をしている国だったはずなのだが今は生きる人はだれもいない。


「気味わるいぜ」


「主よそこの死体を見よ」


そこにはいくつも切りつけられた死体が。ミイラ化していないことからごく最近のものであることがわかる。


「こいつがなんだよ」


「見たな。では次に隣の死体を見ろ」


隣に並んでいるなら同じ死因じゃないのかという当たり前の概念を持ってみると

隣は切り口が焼け焦げていた。


「なんだ?」


「犯人は明らかに違う方法で殺害していることになる。さらには単独犯でないことがわかる」


「なんでわかるんだよ」


「この至近距離で武器の換装がどれだけ困難なことかわからんか?」


武器の換装とは武器や鎧を戦いのさなかに変える戦闘技術のひとつで、戦況に応じて武器の性質を変えたり、武器自体を変えて戦い方を変えるなど用途はいろいろある。

が、換装するには人によって個人差はあるにしてもおよそ5秒以内。

しかしそれだけならなんら脅威にはならない。

問題は一人を殺してもう一人が逃げるか攻撃するアクションをとる前に武器を持ち替えたことになる。

隣にいたのであればたとえ攻撃が見えてなかろうと動きは止まっているので隙だらけといえる。

それでも別々の殺害方法で殺しているのだこの犯人は。

死体に返り血がないことから無傷であると断定できる。



さらにはこの町中皆殺しにしていることから察するに計画的殺人者ではなく猟奇的殺人者であり、到底殺した遺体を並べたなどということはないのだろう。


「なるほどな」


「さらにはまだ殺害方法が存在する」


「まだあんのかよ」


「匂いだ」


「は?」


あまりに的外れな答えにハヤトの目が点になる。


匂い?てか烏って鼻あんの?俺的にゴミ箱つっついて全然はなんか気にしないイメージなんだけど。


「今お前失礼なこと考えていたじゃろう」


「い、いや別に~!...」


あさっての方向を向いて口笛を吹くとかいう明らかにばれる要素を盛り込んだ行動でごまかした(ハヤトはそのつもり)。


「で、匂いってなんの匂いだよ」


「あまり吸うなよ。毒の匂いだ、とてもきつい毒。これは蟲毒か」


「蟲毒ってあれ呪の類じゃなかったか?」


「実際は毒を振りまいておるだけじゃよ」


やはり神に仕えただけあってよく知っている。


「これで殺害方法は三つ。最低三人がいると見ていいんだな」


「そうじゃのう。わしの勘では倍は居るんではないかの」


「六人?」


「三人でこの数の人間を殺すことは不可能だ。たとえば夜刀神が三人いれば話はべつだがの」


夜刀神級の武神が三人分でこの惨状を創れるというのだ。となればやはり三人以上で行動しているのだろうか。


「とりあえず主の主に報告するんじゃろう?八咫烏の一体を使え」


「ああ」


八咫烏の足に報告用の紙をくくりつけてトゥーナの元に飛ばす。


【エキラ国。国民全員死亡により壊滅。犯人は逃亡した模様

次の国へと向かう。追って報告】



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