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女体化を古エルフと竜人族にバラされる

 魔王城の中に戻り浴場があるかどうか聞くと、地下にあるらしく案内された。

 案内され浴場に着くと男女別々になっている。


 この状況を見てニルスは無念な表情をし僕を羨ましそうな目で見詰めてくる。

 そんな彼を他所にアイラとバルバラは意気揚々と女湯の中へと入っていくのである。


 残された僕は女性用の脱衣所に入り、服を脱いでいく。

 そんな中、入り口から誰か入ってくるのであった。


「?」


 不思議に思って振り返ってみると、そこには女性のダークエルフがいたのである。


「ナイアさん!?」

「そんなに驚かなくても……私も風呂に入りにきたんだけど……」

「いや……その……すいません」

「別に謝る必要はないわ」


 僕は謝罪の言葉を口にし取り乱している間に彼女は一糸纏わぬ姿になっていた。

 ナイアの裸身は肌がダークエルフなので褐色で、形の良い上をツンと向いた胸をしている。


 武術家でもあるので全身は引き締まった体である。尻も筋肉質であるが女性特有の丸みを帯びた形になっている。

 そんな彼女をジロジロ見ないように顔を伏せてチラチラ見るようにしていると、それに気付いて声を掛ける。


「何よ……そんなに何度もチラ見しちゃって」

「い……いや!別に……」


 僕は慌てて視線を外し、そそくさと浴場に入るのである。

 そんな僕を見て彼女はクスッと笑い、その後を追ってくるのであった。


 そして、浴室に入ると大きな湯船があり湯気が立ち上っている。

 魔王城の浴場は白い大理石の造りになっていた。天井には魔法の光を放つ鉱石が埋め込まれている。


 浴場の壁や柱には魔獣や幻獣などの彫刻が施されており壮大な景色である。

 湯船は5~6人は入れる大きさであり、小さな銭湯ぐらいの規模であった。


「あら?……もう既に入っている人達がいるわね」


 ナイアが先に入っていたアイラとバルバラを確認すると、バルバラがこちらに気付いて手を振ってくる。


「アベル……こっちだ!」

「むっ……」


 だが、アイラはダークエルフの姿を認めると嫌そうな顔をして、そっぽを向く。


「まったく……アイラは……」


 バルバラは呆れたように言うと、ナイアが答える。


「仕方ないわよ……エルフとダークエルフのわだかまりは、そう簡単には埋まらないわ」


 ナイアの言葉を聞いたバルバラも溜息をつく。

 僕は2人の会話を聞きながら体を洗い湯船に入っていくのである。


「はぁ~……やっぱり気持ちいい……」


 そんな僕の感想にダークエルフも同意する。


「本当ね……今日の疲れが取れるわね」

「それにしても、今日は色々あったな……」


 バルバラは湯船に浸かりながらしみじみと言い、ナイアは僕の顔を見詰め訊いてくる。


「そうね……魔王になった気分はどう?」

「え~と、まだ実感が湧かないというか……」

「でも、これでアベルは魔王になったんだ。これからは堂々と胸を張っていいんだぞ!」


 バルバラは僕の背中を叩きながら言うのであった。

 そんな会話を続けていると、顔を背けていたアイラが振り向く。

 そして、ナイアの対して露骨に嫌な顔をして嫌味を言う。


「まだ居るつもりか?……ダークエルフ」

「ふん!……別に居たっていいじゃない!」

「まあまあ、風呂場で喧嘩は止めましょうよ……」


 2人の間に不穏な空気が流れ、お互いに睨み合い一発触発の状態になる。

 僕はそんな彼女達の間に割って入り宥めるも、ナイアは溜息を吐く。


「はぁ、これだから古エルフは……頭が固いのね」


 そんな様子を見ていたバルバラも困った様に溜息を吐いて言う。


「まったく……アイラも、もう少し大人になりなよ」

「なんだと!……これでも私は200年生きているぞ!」


 そんなバルバラの言葉にアイラは怒りを露わにする。

 険悪な2人を見て僕も溜息を漏らしてしまう。


「はぁ~……」


 そんなやり取りが続き、入浴タイムが終わると気疲れしてしまっていた。

 疲れを取る為に風呂に入ったのに却って疲れてしまうのであった……。




 風呂から上がり脱衣所で着替えた僕は、神経をすり減らした様子で浴場の外に出る。

 アイラとナイアの間の重苦しい雰囲気に心身共に疲れ切ってゲッソリした表情をしていた。


 しんどい状態でアイラとバルバラと一緒に歩いていくと、既に出て来たニルスが少し驚いたように見てきた。

 彼が、ヘトヘトな様子の僕を心配する様に声を掛けてくる。


「どうしたのアベル?」

「いや……ちょっと色々あって……」


 そう答える僕を、ハーフリングは怪訝そうに見詰める。

 そして何を思ったのか思いもよらぬ言葉を小声で呟くのであった。


「アベルってば……元男なのに女性達と一緒に入れて良かったね……」

「!?」


 ニルスの恨み言に思わず僕は硬直してしまう。

 そんな彼の呟きをアイラは聞き逃さずジト目で睨み付ける。


「ほう……ニルスよ、今の言葉は聞き捨てならんぞ?」

「い……いや!別に……」

「アベルは実は男だったというのか?」


 アイラに睨まれニルスは自分が口を滑らせたことにアタフタとし口を手で覆うが時既に遅かった。

 バルバラも、ニルスの言葉が出まかせでないか僕をジロジロ見詰め怪訝な表情をする。


「アベル、どういう事だ?……」

「返答次第では済まされぬぞ!」


 そんな2人の追及を躱す事が出来ずに僕は頭の中が白くなり、呆然と立ち尽くしていた。

 そんな僕をニルスが申し訳なさそうに見詰め謝ってくる。


「ご……ごめんなさい……」


 そんな彼に対して僕は、バツの悪い顔をし硬直するのである。

 固まった僕に対して2人は詰め寄り問い詰めてくる。


「アベル……ちゃんと説明しろ!」

「そうだ!……場合によっては半殺しも覚悟しろ!」


 僕は2人に詰め寄られ、しどろもどろになりながら説明するのであった。

 2人に責められた僕は、女体化した理由を洗いざらい話す。ただ、アジェの事は未だ秘密にしていた。

 話を聞いた彼女達は驚きと共に呆れた表情をする。


「まったく……お前っていう奴は、そんなに私達の裸が見たかったのか?」

「いえ……僕の体が女なので男風呂に入る訳にはいかないので……」


 バルバラにジト目で睨まれた僕は、萎縮しながら謝罪をする。

 だが、アイラは今までの事を思い出し顔から火が出るほど、恥ずかしくなってくる。


「ま、まさか……貴様は一緒に入った時も私の体をジロジロ見ていたな……」

「え?……いや、御2人の体は素晴らしいなと思っただけで……」

「問答無用だ!……そこになおれ! 鉄拳制裁してやる!!」


 アイラに問い詰められ、テンパっている僕に対して彼女は顔を真っ赤にして怒り出す。

 そんな古エルフの反応を見てニルスが慌てて口を開く。


「アベルだって好きで女になったんじゃないから許してあげたら……」

「う~む……アクシデントで女体化したなら仕方ないか……許してやる」


 ニルスの言葉にアイラは渋々納得するが顔には不信感が見て取れた。

 そして、更にジト目で僕を見て言う。


「アベル……今度、風呂に入る時は別々に入るぞ」

「は、はい……」


 そんな彼女達の追求を何とか乗り切ったが、僕は一段と疲れ切ってヘトヘトになってしまう。

 そして、これから自分の部屋になる魔王の自室に戻るとベットに倒れ込むのである。


「あぁ~……疲れたなぁ~」


 ベットに横になりながら高い天井を見詰めて呟き翌日の事を考える。

 疲れてはいるが頭の中は、まだ睡眠モードにはならず目は冴えていた。


 眠たいのに眠れない……神経が高ぶって寝れないのである。

 そんな時、ふとアジェの声が聞こえてくるのであった。


『アベル……眠れないの?』

「うん……これからの事を考えると頭が冴えちゃって……」

『そっか……これから、魔王の役目を負うから大変だね』

「う~ん……まだ実感が乏しいですけど」


 そう言って僕は苦笑いをする。そして、アジェに質問を投げかける。


「ねぇ、アジェ……これからの事なんだけど……」

『うん?何?』

「神がいずれ僕やアジェを排除してくるんだよね?」

『当然……あたし達を抹殺しようと企てるでしょうね』

「え?やっぱり、そうなるの?」


 アジェの返答に僕は身震いし、これからの展望に不安がよぎる。

 そんな僕の感情を他所に彼女は笑いながら言ってくる。


『だけど、アベルは心配しなくてもいいよ……あたしが必ず守ってあげるから』


 そう話すとアジェは、僕を安心させる様に優しい声で言う。


『だから安心して』

「うん……ありがとう……」


 彼女の返答を聞き、少し気が楽になると眠りに就くのであった……。

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