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古エルフのアイラが仲間になる

「私の名前はアイラ・イーガン……ドワーフが言うように古エルフだ」


 女エルフは僕達に先に名乗って自己紹介をする。


「儂はガラド・バウサ……」

「おいらはニルス……ハーフリングだよ」

「僕はアベル・オランドです。人間で魔力解除士をやっています」


 2人が名乗ったので僕も続けて言うが、アイラと名乗った彼女は僕の目や髪をじっと見る。

 そして、少し考え事をする仕草をしてから口を開く。


「アベル、その瞳、髪色……君は本当に人間か?」

「え……ええ」


 戸惑いながら答えると彼女は僕の顔をマジマジと見てから言う。


「瞳が赤かったり色々な色をした髪……人間とは思えないが」

「僕は人間ですよ!」

「まあ、いい……。それより、助けてくれてありがとう……見ての通り武芸者だ」


 僕が強く否定すると彼女は割り切り改めて感謝する。そして、今度は彼女が質問してくるのであった……。


「しかし、君達は何故こんな森の中にやって来た?」

「それは……この森を抜けた先にある町に向かう為に……」

「町か……」


 彼女は、そう聞くと何やら考える仕草をする。そして何か思い立ったのか独り言を呟き始める。


「……ふ~む……そうした方がいいかもな」

「あの……アイラさん?」


 僕が不安気に呟くと彼女がギロリと睨むのでビクッとしてしまう。

 すると彼女が先に口を開くのである。


「暫く君達について行っていいか?」

「え!?」

「いや、面倒はかけない。別に君達の邪魔をする訳でもない」


 僕が驚きの声を上げると彼女は慌てて弁解するように言う。そして更に続けて言う。


「実は……私は今、困っているんだ」

「え? それは一体……?」


 アイラは真面目な顔で語り出す。その口調に僕も真剣な態度で耳を傾ける。

 そして彼女が話し出した内容とは……?


「実は路銀が尽きて……宿に泊まれず野宿する羽目に……」

「え? お金が尽きた?」

「ああ……すまないが君等の用心棒をするから旅の間は一緒に宿に泊まらせて貰えないだろうか?」


 彼女はそう言うと深い溜め息を吐く。僕はアイラの事情を聞いて考えてみる。


「えっと……僕は別に構わないですよ」

「……本当か?」

「ええ、ガラドさんもニルスも構いませんよね?」

「うん!いいよ!」

「む~う……ドワーフとエルフは種族的に敵対までは無くとも不仲なのじゃ……」


 2人に確認すると、ニルスは了解するがガラドは渋い表情をするのであった。


「ガラドさんとアイラさんには特に遺恨やしこりはないでしょう?」

「……そうだな。儂はアイラを歓迎しよう」


 その質問にガラドが最初は険しい表情をしていたが少しして笑顔になり言う。

 僕も笑顔を返すと、ニルスも笑顔で言うのであった。


「じゃあ、アイラさん……一緒に旅をしようか!」

「かたじけない……」


 アイラは神妙に畏まると僕とニルスでお互い笑い合う。僕は改めて思うのである。


(この出会いは偶然か運命なのか?)

『偶然じゃないわよ、多分……』


 彼女との出会いについて考えているとアジェが唐突に話し掛けてくる。


『後々わかるんじゃない』

「どういう事?」


 僕は思わず声に出してしまう。すると、その声を聞きつけニルスが反応する。


「ん? アベル、何を言ってるの?」

「え!? あ……いや……」

「それも独り言?」


 ニルスはそう言うと僕の様子をジロジロと見てくるので慌てて弁明をする。


「……ち、違うよ! いやね……ちょっと考え事をしていただけなんだよ」

「そう? ならいいけど……1人でブツブツ呟いていると頭がおかしいと思われるよ」


 彼はそう忠告するが、それ以上は追及してこないでいた。そして、僕はアジェに心の中で言うのであった。


(ねえ……さっき言ってた事ってどういう意味なの?)

『さあね~、わかんない』


 彼女は素っ気なく答えると、それっきり黙ってしまうのである。


「では……私は君達の護衛をするから宜しく頼む」


 アイラは改めて僕に言うのであった。


「じゃあ、一緒に旅をしようよ!」


 ニルスがそう言うと彼女も硬い表情から少し笑顔になり言う。


「こちらこそ、よろしく頼む」


 2人はそう言うと交互に握手するのであった……。

 ニルスとガラドが先頭を歩き始める。その後ろを僕とアイラが歩くのである。


「ねえ、アイラさん?」


 僕は暫く歩いてから彼女に話し掛ける。彼女は僕と身長が同じぐらいの為、見詰める形になる。


「……ん? なんだ?」


 彼女は振り返ると僕に答える。そして、僕は質問を続ける。


「何故、お金が尽きたんですか?」

「うむ、それは……古エルフの世界では人間社会と違って通貨の概念がない。そして、お金を稼ぐ手段に対して無知だった……だから金が尽きてしまった」


 アイラはそう言うと肩を竦めるのであった。僕はその仕草を見て納得する。


「なるほど……それは大変でしたね」

「しかし、君等に出会えて良かった。君達の旅の目的は何なんだ?」

「僕は元仲間達から無能として馬鹿にされパーティを追い出されてました……だから彼等を見返す為に仲間を集める旅に出ているのです。ガラドさんやニルスも旅の途中で仲間になってくれたんです」

「そうか……君等は仲間を募っているのだな」


 彼女はそう言うと、少し考える仕草をする。そして、何か思い付いたのか口を開く。


「……よし! 私も君の仲間として元仲間を見返してやろうではないか!」

「え? いや、それは……」


 僕は突然の彼女の申し出に驚き断ろうとすると彼女が言う。


「私はこう見えても武術の腕は立つし精霊魔法も使えるぞ?」


 そう言って彼女は突きを連打し半身になると後ろ廻し蹴りを放つ動作をする。そして、僕に言うのであった。


「私も君達の仲間にしてくれ!」

「わ……わかりました」


 慌てて、そう言うと彼女は心なしか表情が明るくなったような気がする。

 僕がアワアワとしていると、前方で歩いているニルスの声が聞こえてくるのである。


「おーい! 2人共早く~! もう町が見えてきたよ~!」


 その言葉に僕とアイラは顔を見合わせて笑うのであった……。




 それから僕達は町の門までやって来たのだが、門番達に止められていた。


「ラギドの町に何の用だ?」

「えっと……宿を求めに……」


 門番にそう答えると、彼等は口角を上げながらニヤニヤして 説明してくる。


「ここは交易都市ラギドだ。通行料は1人銀貨3枚払うんだ」

「え!? 通行料が銀貨3枚もするの?」


 僕は思わず驚いてしまう。すると、門番達はニヤニヤしながら言う。


「ああ……そうだ。だから、早く払え!」

「この町は入るのにお金が掛かるなんて酷いよ……」


 ニルスがそう答えると彼等は更に顔をニタニタさせて言うのである。


「なら、町には入れないな! まあ、町に入りたいなら通行料を払うしかないぞ」


 僕は銀貨が入った小袋の中を見る。旅の仲間は今や4人である。

 ここで銀貨12枚払えば今日泊まる宿の代金が足らなくなってしまう。


「どうしようか?」


 ガラド、ニルスに聞くも彼等も困った表情をする。


「う~ん……お金が足らなくなるね……」

「むう……仕方ないな」


 彼等も僕と同じ考えの様で、アイラも腕を組みながら難しい顔をしていた。

 余裕の表情でニヤついている門番を目にして僕達は歯を軋ませるのである。

 そんな時である。ラギドの門の前に豪華な馬車が停まるのである。


 その馬車から1人の商人風の男が降りてくる。彼の風貌は太っている脂ぎった中年で豪華な装飾品を身に着けている。

 彼は僕とアイラの顔をジロジロと見詰め、ガラドとニルスにはチラッと見るだけであった。


「おやおや、こんな美しいお嬢さん達を困らせちゃいけないよ……私が通行料を払おうか?」


 商人はそう言うと、懐から袋を出し中から銀貨を取り出すと門番に手渡すのであった。


「こいつ等の代金をポンぺオ様が払うってことでいいですかい?」

「ああ、構わない。私は美人の困り事が見過ごせないからね」


 門番と商人がそう話すと僕達は門を潜る事になる。そして、僕等に近付くと彼は笑顔で言うのである。


「さあ……乗りなさい。これも何かの縁です、私の館に招きましょう」

「え!? いいんですか?」

「親切な人が居て良かったね!」


 僕は思わず聞き返しニルスは無条件で喜ぶ。すると彼は笑顔で言う。


「もちろんですよ! あ……申し遅れましたな、私はポンぺオという商人です」


 そう言うと彼は右手を差し出し握手を求めてくるのである。


「あ……ありがとうございます!」


 慌てて彼の手を握り締めると彼はニッコリと微笑むのであった。

 だが、彼の顔はアベル達から見えないように目を細めニヤリと笑うのである。

 そして、彼等を中に入れると馬車は走り出すのであった……。

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