表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

泣き空

作者: 椿零兎
掲載日:2025/11/03


空が泣いている。

君がいなくなった日も、たしか、こんな雨だった。


傘を持たずに歩いた。

わざとだ。

濡れた方が、少しだけ格好がつくような気がしたから。

本当は、ただ、誰にも見られたくなかった。

濡れているのが涙なのか雨なのか……

そんなことを誤魔化せるだけで、もう救いだった。


君は最後まで静かだったね。

まるで、僕の愚かさを全部知っていたみたいに。


「あなたは、いつも空を見てばかりいる人ね」


と君は言った。


あのときの声が、今も耳に残っている。

いや、もう残っているというより、焼き付いて離れない。

心の奥で、ゆっくりと、痛みに変わってしまって。


ああ、空が泣いている。

僕のかわりに。

泣くことを忘れた僕の代わりに。


それでも君は戻らない。

どれほど空が泣こうと、君の笑い声は降ってこない。

ただ、街が濡れるだけ。

僕だけが、時間の外で立ち尽くしている。


ああ……

もし……

もう一度だけ会えるなら……

僕はきっと何も言わない。


「愛していた」


なんて。

そんな陳腐な言葉は、君の手を心を汚すだけだ。


だからせめて、今日くらいは、空と一緒に泣かせてほしい。

君を忘れられない僕のために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ