SS ハクア・メリアの生い立ち
僕は生みの親が分からない子供だ。
捨てられていた子供を、今の親が拾って育ててくれたのだ。
生まれた当初はかなり虚弱だったため、お医者さんには、何度か心臓が止まっていた事があるかもしれないと言われた。
けれど想定していたよりは健康に育ったはずだ。
治療のために、運よく手に入った薬を使った影響で見た目が変わってしまった代わりに、虚弱体質は治ったらしい。
僕はそれから、今の親の元でそこそこ元気に育った。
同年代の子供達と比べて大人しく、体力もないほうだけれど、頭は回る方だと自負していたから、大人達には可愛がられた。
親戚の八百屋のおじさんの仕事を手伝ったり、家の家計簿をつけたり、現金の管理を任されるくらいには。
だから一般的で、平穏な暮らしを遅れていたのではないだろうか。
物心がつく頃には、妹や弟たちも生まれて、賑やかな生活を送れるようになった。
しかし、僕が住んでいた町で、雨が降らなくなり作物が育たなくなった。
そのため、町は飢えに飢えていった。
そんな中、育ち盛りの僕がいるのは、家の負担でしかない。
隠れて魔法使いのお爺さんに弟子入りして、水の魔法を修行してみたけどうまくいかないから、力になれそうにないし。
本当は生まれてすぐに死ぬはずだったのに、拾って育ててくれた家族のためにも、この状況を何とかしたかった。
それで、国が募集している探索隊のメンバーに目を付けた。
僕は、知り合いの行商の馬車に乗せてもらい、旅立つ事にしたのだ。
お別れの日、もの言いたげな両親の表情を見て、これで良かったのだと思った。
心配半分、安堵半分といった彼らの顔を見た僕の判断は間違っていなかった。
百パーセント完全に要らない子扱いされる前に決断出来て幸いだっただろう。
しかし、メンバーとして試験に合格しないと始まらない。
とんぼ帰りだけはする事がないように、気を付けなければならないな。




