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5話 忘れ物

 馬車の心地のいい揺れが止まったと思ったら扉が開いた。

「お嬢さん、着きましたよ。」

どうやら海軍基地に着いたみたい。

「ああ、ありがとうございます。」

夢から覚めたばっかりで頭が回っていない。

とりあえず荷物を持って馬車から降りる。

「それじゃ、またこの電話番号に連絡してください。

 そしたら迎えに行きますからね、それでは。」

電話番号が書かれた紙を渡されて馬車は行ってしまった。

「なんだか変な夢を見た気がするけど、まいいか。」

まだ眠い目を擦る。

眩しいから目を細めて目の前を見ると立派な門がかまえてある。

「うわあ、立派な場所だなあ。この中に入れるなんて楽しみ。」

少しワクワクして門のところにいる警備員さんに話しかけた。

「あのすみません、忘れ物を届けに来たんですけど。」

「ああ、それならここじゃなくて向こうに見える建物の方へ行ってもらってもいいかな?」

「向こうの建物?それってあれですか?」

ここよりも少々質素な建物がある。

「そうそう、忘れ物とか海軍たちに何か用があるときはあっちに行くんだよ。

 もしかして今日は恋人の忘れ物だったりするのかな。お嬢さん。」

へー、あそこでやり取りするんだ。って、恋人って言った?

「いやいや、違いますバーク大佐って人に忘れ物を届けに行くんです。」

「バーク大佐に?そりゃ、重要な仕事だ。がんばれよ嬢ちゃん。」

「はい、ありがとうございました!」

向こうに見える建物に向かって歩いていく。

たしかにさっきの門よりも質素だけど、けっこう立派な場所だ。

ここにも警備員さんがいた。

「あの、忘れ物を届けに来たんですけど。」

「うん?忘れ物?それならこのまままっすぐ行ったら窓口があるからそこまで行っておいで。」

「わかりました、ありがとうございます。」

このまま真っ直ぐ行けばいいのか。

そういえば今の人警備員って感じでもなかったような、ま、いいか。

「あ、ねえ、君ちょっと待ってくれない?」

さっきの人が呼び止めてきた。

「はい?何ですか?」

「ああ、いや、その、名前って教えてくれない?俺はリアムって言うんだけど。」

「えっと、私はカリナです。それでどうしました?」

「その、可愛いなっておもってよかったら連絡先とか教えてくれないかなって。」

「え、可愛い?」

まさか可愛いなんて言われるなんて。

ああ、そっか今日はおめかしをしてるからか。

でも、可愛いって言われるのはうれしいな。

「ありがとうございます、でも知らない人には連絡先は教えるなって父から言われているんです。

 でも私の家はレストランをやっていてもし時間があればぜひいらしてください。」

「君の家はレストランをやっているのか。」

「はい、あ、そろそろ行きますね。」

「ああ、ってレストランの名前ってなにかな?」

「テトラペンタです!それじゃ!」

すっかり今日来た目的を忘れていた。

このまままっすぐだよね?

歩いていたら小さな小屋が何個かあって、そのうちの一番大きいところに行った。

「あの、すみません、忘れ物を届けに来たんですけど、窓口ってここで合っていますか?」

窓口には数人女性がいてみんな美人だ。

「ええ、合ってますよ。遠かったでしょう、お疲れ様です。」

「ありがとうございます、えっとバーク大佐に届けてほしいんですけど。」

「ああ、もしかしてあなたがカリナさんかしら?」

「え?そうですけど、、。」

「ああやっぱりね!実はバーク大佐から今日あなたが来るって伝えられていたの。

 言われた通り、随分かわいらしい女の子が来たわね。」

「あ、ありがとうございます。」

きれいなお姉さんに言われると照れてしまう。

「その、これって届けてもらえますか?」

カバンからバーク大佐の手帳を取り出す。

「ええ、届けられるわ。それじゃ、この紙に記入してもらえるかしら?」

名前や住所などを記入する紙を渡された。

「はい、わかりました。」

「もしわからないところがあったら私に聞きに来てね。それとそこの椅子に座って書いていいから。」

「わかりました!」

とりあえず椅子に座って紙に記入する。

しばらくその紙を書いていると子供を2人引き連れた女の人が入ってきた。

たぶんあの人も忘れ物を届けに来たのかな。

そう思ってちらっと見ると、男の子がじっとこっちを向いてきた。

もう一人は女の子?は私よりも私を見ている男の子の方を怪訝そうに見ている。

何となく手を振ると、男の子はこっちへやってきた。

「ねえ、お姉さんは何してるの?」

年は5歳くらいかな、昔いた弟のことを思い出す。

「今日は忘れ物を届けに来たの。君はどうしてここにいるの?」

「お兄ちゃんに会うため!今日はここでお昼ご飯を食べるんだ!」

もしかして今日はこの子たちは海軍にいるお兄さんに会いに来たのかな。

というかここでお昼ご飯を食べれるんだ。

「へえ、お昼ごはん?ここで?」

「うん!向こうにお店があってここに来るときはいつもここでたお兄ちゃんと食べるんだ!」

「ここにレストランとかあるんだ。」

ここって意外といろんなものがあるのかなちょっと気になるかも、、少し探検しよ。

紙も記入し終えたし、提出しようとおもって立ち上がろうとすると女の子が近づいてきた。

「ねえ、だめだよアシュウィン、お姉さん困ってるよ。」

「えー別に困ってないよノア。そうでしょ、お姉さん。」

「困ってないよ、でも知らない人に話しかけるのは危なかったりするから気を付けてね。」

「ほら、困ってないじゃんノア、お前は心配しすぎなんだよ。」

「でも、お姉さんが言う通り危ないかもしれなじゃん。

 それに僕が心配しすぎじゃなくて、アシュウィンが能天気すぎるんだよ!」

ん?今僕って言った?

「ねえ、君ってもしかして男の子?」

「やっぱりお姉さんもノアは女の子みたいに見えるよね?」

「な、僕は女の子じゃない!」

「ごめんね、そのかわいらしい顔立ちだから。どっちかわかんなくて。

 でも、言われれば確かに男の子だなってわかるよ。」

「ほんと?!みんなそういわれても女の子にしか見えないって意地悪言うんだよ。」

「意地悪じゃなくてほんとのことじゃん。」

「ひどい!アシュウィンのばか!」

「ばかっていう方がばかなんですよー」

なんとも小さな子たちらしい喧嘩が繰り広げられる。

とりあえず書類をだす。

「あの、これでいいですか?」

「ええ、ありがとうございます。忘れ物はしっかりと届けておきますね。」

「はい、ありがとうございます。」

とりあえず用事は終わったし、ここら辺を探検してみよう。

「あの、子供たちがすみません。」

隣にいた二人のお母さんらしき女性が話しかけ来た。

きれいなひとだな。おとぎ話の精霊みたい。ノア君は子に人に似てるんだな。

「いや、大丈夫ですよ、私も話せて楽しいですし。」

「すみません、ありがとうございました。

 ノア、アシュウィンご飯食べに行くよ。」

「「はーい」」

二人の元気な声が重なる。

「あ、ねえお姉さんもここでご飯食べるの?」

ご飯か、たしかにもうお昼時だし、食べて行ってもいいかも。

「そうだね、食べようかな。」

「ほんと?それならお姉さんも食べていこうよ!」

「ちょっとアシュウィンお姉さんの邪魔をしないの。」

「でも、母さんお姉さんともっと話したい!」

そういってアシュウィン?が駄々をこねる。

「ねえ、お母さん僕もお姉さんとお話ししたいな。」

「ノアまで、、。」

お母さんは困った顔をして、申し訳なさそうな顔をしている。

「あの、私は大丈夫ですよ。」

「でも、迷惑じゃないですか?」

「結局同じお店で食べるみたいですし、全く迷惑じゃないですよ?

 というか、むしろ私の方が迷惑じゃないですか?」

もしかしたら、お母さんは私と一緒じゃない方がいいかもしれない。

「あの、もちろん席は別々ですし、お母さんが嫌なら、、」

しどろもどろに言い訳じゃないけど言葉を並べる。

「いや、まったく迷惑じゃないです!むしろ私たちの方がいいんですかって感じですので。」

「私もまったく迷惑じゃないので、よければ一緒にどうですか?」

「ありがとうございます!よかったわね優しいお姉さんで。」

「「うん!」」

「ねえお姉さん早く行こ!」

「ねえ、待ってよアシュウィン!お姉さんが困ってるよ!」

「別に困ってないし!足が遅いからノアはそういってるんでしょ?」

「別にそうじゃないもん!」

やっぱり男の子たちはすぐに喧嘩が始まるみたいね。

「ねえ、ノア君も一緒に行こう?」

アシュウィンに引かれている手とは反対の手でノア君に手を差し出す。

ノア君は嬉しそうにその手を握る。

「それじゃみんなで行こっか!」

最初は気乗りしなかった用事だけど、今はとってもいい気分。

今日きてよかったな。

そういえばレストランってどんなのが売ってるんだろう、楽しみ!

二人の男の子に連れられながらレストランまで駆ける。

新しい出会いができたから、バーク大佐の手帳に感謝だね。

遠くの方で海の音が聞こえてきた。


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