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4話 お子様はいつまで?

   

 ポーと遠くで船の汽笛の音が聞こえる。いや、もっと近いところかも。

「うーん、眩しい、、。」

朝日が私の顔尾を照らす。

まだ眠たい目を擦りながら欠伸をする。

珍しく今日は少しだけ目覚めが悪い。

このままだと確実に二度寝してしまう、窓を開けて目を覚まさないと。

「今日はやけに船が多いな。」

潮風を浴びながらもう一度欠伸する。

今日もここから見える景色は素晴らしい。そういえば、私が昔いたところでは海は見えなかったな。

昔いたところがふと思い浮かんできたけどこのまま感傷に浸っていると時間はあっという間に過ぎる

ことは今までの経験からよくわかっているからこのくらいで辞めておこう。

「とりあえず身支度しよう。」

眠りの魔法を落とように冷たい水で顔を洗えばいつものカリナちゃんの出来上がり!

マリンはその様子をありえないって言うけど、私からすればマリンの化粧水やら何やらを塗る方が

ありえないんだよなあ。

マリン曰くこれが美意識の差よって言ってたけど、私にはよくわかんないわ。

顔も洗ったし、軽やかなステップを踏みながら下へおりるといい匂いがする。

もしかしたら今日はお父さんが作ったのかも。

連日飲み歩いてたりしてたからそのお詫びも込めて作っている気がする。

お父さんはこういうことがあると必ず家族サービス?をするようにしてるらしい。

あ、ビンゴだ!何かを作っているお父さんの背中が見える。

「おはよう。お父さん!何作っているの?」

お父さんの肩が少し跳ねる。

「おお、おはようカリナ。急に声をかけられてびっくりしたよ。」

「ああ、ごめん、でもおいしそうな匂いがしたから、つい。」

「ははっ、それならしょうがないか。ただ、料理中は驚かせない方法で声をかけて。」

「はーい!あ、もしかしてそれって卵スープ?」

「そうだよ、カリナが前、飲みたがっているのを思い出してね。一口飲むかい?」

「いいの?やった!お父さんの作る卵スープ大好き!」

「そりゃよかったよ。そろそろ朝食ができるから母さんたちを呼んできてくれないか?」

「いいよ!でも、マリンって昨日ずっと寝てたけどもう大丈夫なの?」

「ああ、昨日は久しぶりに夕飯を母さんとマリンの3人で食べたんだよ。」

「そういえば昨日、夜ご飯食べてない。」

「夕食を忘れてぐっすり寝ていたからな。どうしたんだ昨日何かあったのか?」

「え、何かって何だろう。」

嫌なことを思い出した、適当にごまかしてそそくさと階段をのぼる。

まずはお母さんの部屋をノックする。

「お母さん朝食できたって!」

「ああ、カリナね。おはよう、すぐ行くわってお父さんに伝えて~。」

「はーい、あとおはようお母さん。」

「ふふっ、あいさつできていい子ね。」

「もう、子ども扱いしないでよ。」

「あなたはいつまでもお子様よ、さ、マリンも起こしてきてあげて。」

もう私もお子様は卒業したと思うんだけどなあ。

「おはよう、マリン!朝だよ。」

「おはようカリナ、すぐ行くわ。」

「もう調子はいいの?」

「まあね、おかげさまで。」

「それはよかった!今日はお父さんの朝食だよ!早く来てね!」

お腹空いたな~、早く食べたい!

「わあ、いい香り!」

お父さんが丁度みんなの分の飲み物を入れていた。

「ねえ、今日もお父さんは甘いコーヒーなの?」

「ああ、お父さんは甘くないと飲めないからね。」

「それってコーヒーを飲む意味あるの?」

「大人の尊厳ってやつだよ。」

「ふーん、大人って大変だねえ。」

「まあ、お子様のカリナちゃんには少し難しいかもね。」

「私はもうお子様じゃないよ!なんてった、もうすぐで成人なんだから!」

「成人ねえ、年がたつのは早いねえ。」

「そう、だから私もあっという間に大人になって素敵なレディになっちゃうからね!」

「ふふっ、それは楽しみねえカリナちゃん。」

いわゆるレディのお母さんが笑いながら降りてきた。

「カリナにはまだ10年くらい早いんじゃないの?」

馬鹿にしたことをいいながらマリンも降りてきた。

「もう、みんなまでお子様って!」

「まあ、仕方ないでしょ。カリナだし。」

「ねえ、知ってる?実は私の方があんたより年上なのよ?」

「へー知らなかったわ。ねえ、お父さんたべてもいい?」

「ああ、もちろんさ!早く食べよう。」

「もう、話はまだ終わっていない、っっっ!これ美味しい!」

「それはよかったよ。」

目玉焼きとハムをパンの上にのせて黒コショウをかける。

それだけなのにとっても美味しい。

「実はそのハムはこの前いらっしゃった海軍の大佐からいただいた塩で一晩漬けておいたんだ。」

「だからこんなに美味しいんだ!」

食べるのがとまらない!海軍でしかも大佐のお土産の塩ってなんだかいいやつな気がする。

パンをほおばっているとお母さんが私の方を向いてお使いを頼んできた。

「ねえカリナ、昨日きた海軍さんの忘れものを海軍基地まで届けてほしいの。」

「え?!」

つい身を乗り出してテーブルが揺れる。

「ちょっとカリナ、危ないよ。」

マリンはいつものことでもいう風に優雅に紅茶を飲んでいる。

「今日は私とマリンは日用品の買い出しに行こうと思ってて、お父さんは市場に用事があるしで、

 あなたにしか頼めないのよ。」

「じ、じゃあ、私がマリンの代わりに買い出しに行って、マリンが海軍のとこへ行けばいいじゃん。」

「それはダメよ。」

「え、何でよマリン、お願い、一生のお願いだから!」

「ダメったダメなの。今日は叔母さんと前から裁縫道具を見に行くって約束していたの。」

「そうなのよカリナ、前からマリンとは約束していてね。ごめんね。」

約束をしてたのか、、。それは仕方がない、、。

「わかったよ、、。それで何を届ければいいの?」

「ありがとねカリナ。これをバーク大佐に届けてほしいのよ。」

そういって差し出されたのは小さな茶色のいかにも年季が入った手帳だった。

「バーク大佐って昨日来てた人?」

「そうそう、その人に届けてほしいの。」

「ふーんわかった、それじゃ早く身支度して出発するね。」

残りの卵スープを一気に飲んで朝食を終える。

早くいって早く帰ってこよう、長居は禁物だよね。

帽子の下から除く誰かの上がった口角が思い浮かぶ。

「ああ、やだやだ。はやく準備して、さっさと帰ってこよ。」

部屋で着ていく服を適当に決める。

動きやすい服でいいよね、別にそんな聞かざる必要はないだろうし。

「カリナ、入るわよ。」

「え、お母さん?ない?」

お母さんが部屋に入ってきた。

「あなたが着る服は私が選ぼうと思ってね。

 どうせあなた、動きやすい服にしようとか考えているんでしょ。」

図星過ぎて何とも言えない。

「今日はワンピースを着てもらうわよ、さあ、さっさとそのズボンを脱ぎなさい。」

そういってお母さんによる着せ替えショーが始まり、私の今日のコーデが決まった。

「あら、可愛いじゃない!」

今日の服はいつもと全く違う。

白のレースがあつられてある緑色のワンピースに、髪はお団子にまとめて、

カチューシャまでつけてある。

耳にはいつの日かにつけたパールのイアリング、唇はリップが塗られてほんのりと色づいている。

「なんだか私じゃないみたい、、。」

「そんなにげんなりした顔しないで頂戴。」

「だって、こんなの逃げるときに邪魔じゃん!」

「逃げるって何から逃げるのよ。馬鹿なこと言ってないでさっさと行ってらっしゃい。」

「はーい、行ってきます。」

お父さんたちにも可愛いって褒められたけど、あんまりうれしくない。

「こんなのいつもの私じゃないよお。」

家を出たら目の前に馬車が止まっていた。

「ああ、テトラさんとこのお嬢さんだね?噂通り別嬪なお嬢さんだ、マリンさんかね?」

「いや、カリナですおじさん。」

まさかマリンに間違えられるなんて、別嬪って言われるのはうれしいけど、ちょっと変えるだけで

こんな風に言われるなんて、、。

いつもの私ってどんななんだ?

とりあえず荷物を確認して馬車に乗る。

私が乗ったことをおじさんが確認すると馬車は動き出した。

ここから海軍基地までどのくらいだろう、早く着くといいな。

馬車に揺られて海を見ているとウトウトしてきて瞼が重たくなってきた。

「着くまで寝てよ。」

壁にもたれて目を閉じる。

馬車が揺れる音を聞きながら夢の世界へ入っていった。


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