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10話 魔法道具店

 「美味しかったー!お腹いっぱい!」

メインストリートにあるパスタのお店をでる。

「ほんとにうまかったな。」

「うんうん、今日は予約してくれてありがとね。」

「いーえ、さ、早く謎を解きに行こうか。」

お店の中で私たちはそれぞれが見た夢の話を共有した。

「ええとつまり、私たちは大樹を探すんだよね?」

「そうだね。多分だけどそれってカリナが言ってた命の巡り木が関係してる気がするんだよな。」

「私もそう思う。ねえ、図書館があるんだけど、そこに行かない?もしかしたら手がかりがあるかも。」

この島には世界的に有名な図書館がある。

旅人が多く来訪するこの島には世界から集められた史料があるはず。

もしかしたらその中にヒントがあるかもしれない。

「それはいいね。図書館ってどこにあるんだ?」

「メインストリートをこのまままっすぐ行って、坂を上ったところにあるよ。」

「坂ってあの坂?けっこう急だな。」

「リアムは海軍なんでしょ?これくらい大丈夫でしょ。」

「そうだけど、だからって急な坂を歩きたいなんて思えないよ。」

「ふーん、それなら私だけで行くから。体力がないリアム君はそこらへんで待ってなよ。」

「冗談だって、俺もついてくよ。」

「ねえ、リアム。私たちの役目は大樹を探すこと。でも、それを探して何が起こるのかな?」

「たしかに、結局なにが起こるのかも、そもそもあの小屋をどうしてこちらの世界へ持ってきたのかも

 わからないしな、、。」

「それに大樹ってどんななんだろう?この島だって大樹はたくさんあるし、、。」

「わかんないことだらけだな。ま、図書館に行けばなにかしらわかるはずさ。」

そう話しながら坂をのぼって行くが段々と疲れてくる。

「ね、一旦休憩したい。木陰で休も。」

「賛成だよカリナ。ま、俺には必要ないけどな。」

賛成だって言ったくせに、、。

海軍なのにっていったの根に持ってたりするのかな?

「ネチネチした男はもてないと思いまーす。」

「俺は別にネチネチしてない!なあ、あれなんだ?」

リアムが私の背後を指さす。

そこには道があった。

こんなところに道あったかな?

「どこに続くんだろう。ねえ、休憩がてら行ってみない?」

「え、カリナも知らないのか?」

「うん、でも、私が図書館に来たのって結構前だしもしかしたら新しくできたのかも。」

「なるほどな、いいぜ行ってみよう。」

森の中へ続く道を進むと、なんとも不思議な家?お店?があった。

随分と寂れていて人が出入りしている気配はない。

「随分奥まったところにあるんだな。周りに人はいなさそうだけど。」

リアムが周囲を見渡す。

「ねえ、あそこの扉見て。OPENって書いてあるよ。」

「それじゃ、この店はやってるんだな。」

「そうみたい、ねえ、入ってみようよ。」

「え、お前まじか?!こんな訳わからないところに入ろうとか危機感とかないわけ?」

「なによ、いいわよ私が一人で行くから。」

「はー?俺も行くよ。なにかあったら危ないだろ。」

「そうこなくっちゃ!さっそく入ってみようよ。」

「随分と古い扉だな大丈夫なのかこれ?」

「まあまあ、大丈夫だって!」

ギギギと音を立てながら扉を開く。

その先には本、薬草、カラフルな液体に不思議なお菓子が置いてあった。

「これはなんの店なんだ?」

「さあ、でもなんかワクワクしちゃうね。誰かいませんかー?」

返事はない。もしかしたらここには誰もいないのかな。

でも商品はあるしな、、。

「なあ、なんか気味悪し早く出ようぜ。変なもんしか置いてないし。」

「ええ、もう少しだけ。」

リアムに腕を引っ張られながら粘っていると、コツコツと靴が床を鳴らす音が聞こえる。

階段から誰かが下りてきている。

「なあ、誰かきてるよな?」

「そうだね!店主さんかな?」

「なんでお前はそんなに楽しそうな訳?!」

どんどん音が近づいてくる。

「やあ、いらっしゃい。人間のお客様とは珍しいですね。」

階段を下りてきたのは魔法使いが被るような帽子に黒いマントを羽織った男性?女性?が現れた。

「勝手に入ってすみません。でも、つい気になってしまって。」

「ああ、構わないよ、好きに見ていきな。」

この人の声は落ち着いていてどこか気品を漂わせている。

私の後ろでは警戒心が剝き出しのリアムがいる。

「ほら、大丈夫だったでしょリアム。」

「いやいや、まだわかんないだろ!」

「安心してくださいお客様。ご心配には及びません、危害を加えることはありませんので。」

急に話しかけられたリアムは肩がビクッと震えた。

意外とリアムは怖がり?

「あの、ここってなんのお店なんですか?そのカラフルな液体とかってジュースとか?」

「ああ、これかい?これはポーションだよ。これを飲めばすぐに回復するんだ。」

「ポーション、、結構カラフルなんですね。」

「おや、初めて見るかい?」

「はい、私が飲むような薬にはこんなカラフルな色ないですから。」

「‘薬‘を飲むのか、、。」

店主さん?は私たちの方をじっと見つめて何か考えるような動作をした。

「どうかしましたか?」

「いや、このポーションなんだけど、これは合う合わないがあってね、君たちは飲まない方がいいね。」

「そうなんですね。あ、そういえば人間のお客は久しぶりってどういうことですか?

 ここら辺には大きな動物は出ないと思うんですけど。」

「ああ、いや最近は小動物ばっかり訪れるからね。人間のお客様は久しぶりっていう冗談というか。」

「ここには小動物が集まるんですね。」

「ああ、色々なお客様がここには集まるねえ。そういえば君たちはどうやってここに来たんだい?」

「どうもなにもそこの道から来ましたけど。それ以外に行き方ってあるんですか?」

「まあ、ためにとんでもないところから来る人もいるからね。

 よかったよ、ちゃんと道を通ったんだね。」

店主さんは満足げに頷いている。

「それで君たちは何か欲しいものとかあるのかな?」

興味本位で入ったけどここはお店だから何か買わなきゃ。

ええとどうしよう。

「あの、俺たち花の図鑑を探しているんですけど。」

そういえば元々はあの花園のピンクの花が載っている図鑑を買いに行く予定だったんだ。

「花の図鑑?なるほど、ちょっと待っていてね。」

店主さんは図鑑を探しに奥へ行ってしまった。

「ありがとうリアム、この後どうするかなんも考えてなかった。」

「お前なあ、、。もしかしたらここに何か手がかりもあるかもな。」

「え、どうして?」

「だって見てみろよあのポストカード。どうみたって普通の生き物の絵じゃないだろ。

 もしかしたらじいさんの言うカプラかもしれないよな。」

リアムが指さしたのは得体のしれない生き物のポストカード。

今まで聞いたどの物語にも登場したことがない初めて見る生き物。

「あれは、シカウサギですね。」

いつのまにか何冊かの図鑑をもった店主さんが立っていた。

「シカウサギって何ですか?ウサギがシカの耳を持ってるみたいな?」

「簡単に言えばそんな感じだね。」

簡単に言えばってことは詳しく見るとまた違うのかな。

「なあもしかしたらカリナの図鑑にシカウサギが載ってるかもしれないな。

 カプラが載ってるんだ、シカウサギだって載ってるかもしれないぞ。」

「カプラが載ってる図鑑?お嬢様はそんな図鑑をお持ちなんですか?」

店主さんが不思議そうに私の方を見る。

「ええ、ある人に頂いた図鑑があってそこには不思議な生き物が載ってるんです。

 よければ見てみてください。」

店主さんが受け取った図鑑を開くと驚いた表情をする。

「驚いた、この図鑑をお嬢さんが持っているとは。」

「そんなに特別なものなんですか?」

「特別ではないけれど、あまりこの本は流通してないからね。

 特定の場所でしか見られないから、少し驚いたよ。」

なんだろう、店主さんは何かを知っている気がする。

「なあ、あんた何か知ってるんじゃないか?」

リアムが口を開く。

「何かって例えばなんでしょう?」

「とぼけるなよ、カプラとかこことは別の世界の生き物を知っているんだろう?」

店主さんは一瞬真顔になった。

「あの、店主さん、私たち大樹を探せって言われてるんです。

 でも手がかりはなくて、どうしたらいいか途方に暮れているんです。」

店主さんは何か考えるように黙ってしまった。

沈黙の時間がしばらく続いた。

「君たちはあの人間たちか、、。」

不意に店主さんが口を開いた。

「あの人間ってなんすか?」

「それはまだ言えないし言ってはいけない。」

「はあ?なんすかそれ!」

「ちょっとリアム落ち着いて!あの、店主さんは何か知っているんですか?」

「ああ、知っているね。君たちがここへ来れたのは君たちが大樹を探しているからか、、。」

「あの、答えられる範囲でいいのでなにか教えてくれませんか?」

「答えられる範囲なら教えてあげよう。ただしあまり多くは教えられないし、僕も知らないんだ。」

「それってどういうことですか?」

「話が長くなりそうだから紅茶でも飲みながら話そうか。こっちへおいで。」

店主さんは店の奥の方へ私たちを呼んだ。

どうやらカウンターの奥は休憩スペースのような場所が広がっているみたいだ。

「そこの机に座って。2人とも紅茶は飲めるかい?」

「はい、飲めます!」

「俺も飲めます、ありがとうございます。」

「わかった、シュガーにミルクはお好みでお願いするね。」

紅茶を淹れ始めると部屋全体にいい香りがふわっと広がった。

「これは、リンゴの香り?」

「ああ、そうだよ。リンゴの葉使ったり独自にブレンドして作ったアップルティーだよ。」

「いい香りだな。」

リアムの顔が少し緩む。

この香りでさっきまで張りつめていた緊張がふっと糸が切れたように和らいだ。

「さあ、お二人さんできたよ。よければこのリンゴジャムのクッキーも召し上がれ。」

「わあ!おいしそう、ありがとうございます!」

「いーえ、それじゃ少し落ち着いたところで自己紹介からしようか。」

「そうですね!私はカリナって言います。

 私の家は、島の西側にあるテトラペンタっていうレストランをやっています。

 もしよければいらしてくださいね。」

「それは素敵だね。僕はルシアンといってこの魔法道具店を経営しているよ。

 アンティークもおいていてもしよかったらあとで見せてあげるよ。」

魔法道具店、、。物語の中でしか聞いたことがない。

「俺はリアム・アントワーヌ。この島の海軍に所属していて、一応、貴族だ。

 ルシアンさん、さっきはすみません、つい警戒してしまって失礼な態度をとってしまいました。」

「いや、いいんだよ。誰だって急にこんな格好をした男が出てきたら警戒するからね。」

魔法道具店といいこの格好、ルシアンさんは魔法使いなのか?

というか男性なんだ、、。女性と言われても頷けるくらいにはきれいな人だな。

「ルシアンさんは魔法使い何ですか?」

「君たちから見ればそうかもしれないけど、実際は少し違うんだよね。

 でも、大まかに見れば魔法使いって感じで合ってはいるね。」

「色々あるんですね、、。」

「ルシアンさんって本当に魔法使い何ですか?」

リアムが疑わしそうにじっと見つめる。

「本当だよ。でも君たちが信じられないのもわかるから、何か一つ見せてあげるよ。」

そういってルシアンさんは杖を取り出した。

「魔法の杖?」

「そんなところだね。さ、見てて僕のコップにシュガーとミルクを触らずに入れるから。」

ルシアンさんは杖を振りながら聞き取れない呪文を唱えた。

私とリアムは怪訝な顔をしてその様子を見ていると、急にミルクの入った瓶が開いた。

それはそのまま宙に浮いて自らカップにミルクを注いでいる。

シュガーも同じうようにカップに入れている。

「え、どういうこと?」

混乱している私の横でリアムは夢でも見ているのかっていう表情をしている。

ミルクとシュガーを入れ終えるとそれらはお行儀よく元の場所に戻って静止した。

「え、なんで。」

「これが魔法さ。僕が魔法使いって信じられた?」

「ええ、もちろん。十分に、でもにわかに信じがたいみたいな、、。」

いざ目の前で見せられると頭が混乱してうまく言葉が出てこない。

「こんなことがありえるのか、、?」

リアムも混乱真っ只中だ。

「急に見せられたらそりゃ驚くか。」

笑いながらルシアンさんは紅茶を優雅に飲む。

「どうやってやったんですか?」

「それは僕の体内にある魔力をこの杖を通して放出して今みたいにミルクとかを浮かせたんだ。」

「杖を使えば一通りのことができるみたいな?」

「まあそうだね、日常生活で行う程度のことなら。」

「あの、それじゃ私たちも杖を使えば魔法が使えたりは、、!」

「できないね。残念ながら君たちには魔力の欠片も感じられない。

 杖は万能じゃないからねそもそも魔力がないとなにもできないんだよ。」

「そうなんですか、、。」

「まあそう落ち込まないで。

 君たちはここに魔法を見るためじゃなくて探し物をしにきたんでしょ?」

魔法に気を取られてすっかり忘れていた。

ピンクの花の載っている図鑑も欲しいけど今はそれ以上に欲しい情報がたくさんある。

「ルシアンさん、分かることをすべて教えてほしいんです。」

「分かることをすべて、、。

 どこまで答えられるかは分からないけれど一回話してみて。」

それから私たちがみた【夢】の話をして、大樹を見つけなければいけないことまで話した。

「うん、やっぱり君たちは歴史書の人間なんだね。」

「歴史書の人間?それって、」

「それは後々話そう。

 まずは君たちの探す大樹についてだけど、申し訳ないけど僕もどれが君たちが見つける大樹かは

 わからないんだ。」

「わからないんですか、、。」

「ただ僕の持っている蔵書の中にこれに関することが書いてあるものもあるかもしれないから

 探してみるよ。」

「ありがとうございます!」

「いーえ、これも結局は僕たちのためになるからね。」

「ここの世界の人間はそちらの世界の人間を救うんですか?」

「そうだね、正確には世界のすべての生き物を救うんだけどね。

 命の巡り木で人間は召喚されて、君が会ったホゼさんによるとそれはこちらの世界にもあると。」

「はい、まさかこんな風になるとは思ってなくて詳しく聞いていなくてもう少し聞いとけばよかった。」

「それは後になって分かったことだし気にする必要はないさ。

 それじゃ僕は君たちの役に立ちそうな本を探してくるよ。

 だからそれまでは好きにここを見ているといいよ。」

「ありがとうございます!」

「それじゃ何かあったら僕を呼んでね。」

そういってルシアンさんは二階へ消えていった。

「ねえリアム、ルシアンさんいい人だったね。」

「今のところはな。ただ今後何があるのかもわからないから慎重に行こうぜ。」

「でも、ここまでしてくれてるし、、。」

「ああ、でも一応警戒しておくに越したことはないだろ。

 それにあの人は僕たちのためにもなるって呟いていたし、利害が一致してるんだろ。」

「そうなのかな、まどちらにせよなにかヒントが貰えそうでよかったよね。」

「ああそうだな。まさか図書館に着く前にこんな不思議なところに着くなんて思わなかったよ。」

「これも私のおかげだと思わないかい、リアム君?」

「あーはいはい、カリナのおかげですよ、ありがとうございます。

 でも、勝手に一人で知らないところに入ろうとするなよ。

 いくら安全な場所だかっらて警戒しなくていいわけじゃないから。」

「はーい分かったよ。心配してくれてありがとね。」

「ほんとうに分かってるのか?」

「分かってるってば。」

アップルティーを一口飲むと、リンゴの香りが鼻を抜ける。

ちょっと不思議なお店だけど居心地はいい。

「リアム、このお店の中を見てみようよ!」

店が光に照らされて明るくなる。

もしかしたら歓迎してくれているのかななんて思いながら店の中をぐるっと見渡す。

ポストカードのシカウサギと目が合った気がした。

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