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第七幕・死闘、そして解錠!

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良ければ評価、感想よろしくお願いします!

 ………前回、アルラウネと邂逅したココル達三人組。

 猪突猛進なココルと三人の兵士はアルラウネに正面から突っ込み、何度も吹き飛ばされてしまいます。

 さて、彼らはアルラウネを倒すことが出来るのでしょうか………?


 戦い始めてから一時間。アルラウネとの戦いは、ほぼ泥沼と化していました。

「ぐわー!」

「がふっ!」

「うぎゃー!」

「ほわわー!」

 吹き飛ばされる四人。呆れるユースケ、何も言えないゼラニウム。この状態のまま、全く戦況が動きません。

「くそっ………どうすれば奴を倒せるんだ………」

「さ、流石に………俺達も、吹っ飛ばされすぎて体が限界だぜ………」

「殺す………何としても殺す………!」

「うぅ〜………強いなぁ、アルラウネ………」

 考え込む四人。そこに、ユースケが近づいて来ました。

「少しは冷静になりました?いや、一人殺意高いままなのは分かりますけど………」

「あ、ユースケ!どうしよう、アルラウネが倒せないよ!」

「そりゃ、何も考えずに突っ込んだら吹っ飛ばされて終わりに決まってるでしょ………ちょっとは頭使いなよ」

「む、むぅ………そ、それならお前には何か策でもあるのか?」

「まぁ、少なくとも正面衝突よりはまともなものくらいなら幾らでも」

「ぐぬ」

「ねぇ、その作戦って何?」

「あぁ、それは………」

 ユースケは四人に、自分の考えた作戦を説明しました。四人はそれを最後まで聞いて、大きな溜め息を吐き出します。

「そ、そんな作戦があるなら先に言ってくれよ………」

「そうだよ、こんな疲れ果てる前によ!」

「いや、言っても聞く気なかったでしょう。全員、ほぼ狂戦士バーサーカーと化してたじゃないですか」

「うぐ………わ、悪かった」

「凄いねぇユースケ!こんな作戦を考えられるなんて、頭いいんだね!」

「普通だよ、普通。それより、この作戦で良いですか?」

 ちょっと悔しそうな兵士達と、お気楽に感心しているココル。四人は声を揃えて言いました。

「「「「依存無し」」」」

「良し、じゃあ行きましょうか。全員、配置に付いてください」

「おう!」

「了解!」

「やってやるぜぇ!」

「行っくぞー!」

 ユースケの掛け声で、四人はアルラウネの周囲に散らばります。

 ………さて、視点は変わってアルラウネ。アルラウネはさっきまで来ていた変な奴らが来なくなったので、逃げたのかとぼんやりしていました。

 するとそこに、さっきまで来ていた奴らのうち一人が現れます。

「おらっ!」

 そいつは、突然石を投げて来ました。アルラウネは木の枝でそれを弾き返し、臨戦体制に入ります。

「せいっ!」

 しかし今度は、真逆の方向から石が飛んできました。見ると、別の一人が石を投げていたのです。

 そしてそちらに視線を向けると、また後ろの奴が石を投げつけて来ます。

「ピキ…………」

 アルラウネは苛立ちました。周囲の植物に根を伸ばし、二人を同時に攻撃しようとします。

「ピキュアァァァァ!」

 そうして枝を振り回した、その時。

「おらぁぁぁ、くたばれやぁ!」

 突然全く別の方向から、さっきまでいなかった奴が現れました。アルラウネは操っていた植物に意識が行っていて、接近を許してしまいます。

「キュァァアア!」

 しかし、アルラウネも馬鹿ではありません。本体の蔦を振り回し、現れた奴に対応します。

「くっ、厄介な………!」

 アルラウネは一瞬安心しました。しかし、そこで気づきます。

 ―――一人、足りない。

 さっきからしつこく襲って来ていた奴は四人。あと一人は、一体どこに?

「やぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 そう考えたのと、ほぼ同時。その一人の声が、突然聞こえて来たのです。それも………真上から。

「ピキュ!?」

「これで、終わりだぁぁぁあ!」

 相手は剣を構え、降って来ます。しかしアルラウネは落ち着いて、口をがばっと広げました。

「ふわ!?」

 このまま行けば、空から降って来た奴はアルラウネの口の中。アルラウネは、勝利を確信しました。

 ………が、しかし。

「………キュ、ガ!?」

 突然、茎をざっくりと切り付けられた感触。気がつくと、さっきまでいなかった五人目が自分の茎を切り裂いていました。

「ピ、キュ…………ァ、ァ」

 茎を切られたアルラウネは、どさりと音を立てて地面に落ちます。かくして、アルラウネとココル達の勝負はココル達の勝利で幕を下ろしました。


       ◇


 ――カッサイ大劇場前――


 ………さて、アルラウネと決着をつけた三人は大劇場前へと戻って来ました。

「おじさん、ただいまー!」

「だからココル君、おじさんはやめたまえと………いや、それは良いか。どうだい、アルラウネとやらは倒せたのかい?」

「ええ、何とか。これ、アルラウネの球根です」

 ユースケは待ちわびていたハック様に、掘り返して来た球根を手渡します。それから、自分たちがどうやってアルラウネを倒したかも伝えました。

「………ふむ、成程。承知した、執事!」

「はっ、ここに」

「彼らの戦い様を兵士達に伝えたまえ!アルラウネ掃討作戦、開始だ!」

「は、すぐに」

 ハック様からの命令を受け、執事はすぐに動き始めます。その背中を見送りながら、ハック様は言いました。

「ご苦労だった、少年達!褒美として、この私から直々に労いの言葉を与えよう!」

「あ、ありがとうございます………?」

「さっきの情報があれば、討伐はすぐに終わるだろう!それまで、のんびりと………ぐっ」

 突然、ハック様が涙ぐみました。そして、

「………う、うぐぉぉぉぉぉぉ!少年達よ、感動したぞ!君達のような幼子が、命を懸けて怪物と戦い、勝利する………まさにドラマ、最高だっ!皆の者、彼らに惜しみない喝采を!」

 そう、声を上げました。すると周囲から幾人ものメイドが突如として現れ、

 ―――パチパチパチパチ。

 ………拍手を始めました。その光景に、ユースケは少し呆れたような息を吐きます。

「な、何というか………最初も思ったけど、感情表現が大分オーバーな人だよね、ハック様って………」

「そうなの?まぁ良いじゃん、楽しいし!僕も一緒にパチパチパチパチー!」

「あ、あぅぅ………お、落ち着かないです………」

 ………そんな状況が、しばらく続いて。半刻ほど経った頃、一人の兵士がやって来ました。

「報告します。アルラウネ三体、討伐完了しました!」

「うむ、そうか!聞いたな、三人とも!これで扉は開かれた筈だ、劇場の中へ乗り込むぞ!」

「は、はい!」

「おーっ!」

 掛け声と共に、扉が開かれます。そして四人は、劇場の中へと足を踏み入れるのでした。


 ………さて、遂に劇場へと乗り込んだ四人。果たしてそこで待つものとは、一体何なのか。

 それはまた、次回のお話。

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