第六幕・発見、アルラウネ!
投稿しました!
良ければ評価、感想よろしくお願いします!
………前回、大劇場の結界を開く為にアルラウネの討伐をする事になった三人とハック・シュー公爵。
今回は少し時間を飛ばして、アルラウネが発見されてからのお話。果たして、どんな戦いが展開されるのでしょうか………?
「アルラウネを見つけた」という報告を受けた三人は、フーセン樹の森へと戻って来ていました。
「まさか、アルラウネがフーセン樹の森にいたなんてねー」
「来た時には気づかなかった………ねぇゼラニウム、何か感じ取れたりはしなかったの?」
「は、はい………アルラウネは、親となる妖精以外にとってはただの植物なので………私、役立たずで………本当に、ごめんな、さい………」
「べ、別に責めた訳じゃないから!だから泣かないで、ねっ!?」
「あー、ユースケがゼラニウムを泣かしたー!」
「ちょっ、ふざけてないで助けてよ!」
これから戦いに行くと言うのに、三人の空気はとてもお気楽です。それもその筈、元々臆病で怖がりなゼラニウムと違って、他二人にはアルラウネがそこまで恐るべきものだということが分かっていないのですから。
「………おい、あの子達じゃないか?」
話していると、三人の耳にそんな声が届きました。見ると、少し先で鎧を着た大柄な男三名が怪訝そうな表情を浮かべています。
「初めまして!君達が、ハックの言ってた兵士さん?」
「………ああ、そうだ。早速だが、お前達の言う「アルラウネ」とやらは、アレで間違いないか?」
男のうち一人が指差す先を見ると、そこには。
「うわっ………何、あれ」
「ふわー………あれが、アルラウネかぁ」
奇妙な花が、地面から伸びていました。
ドラゴンの口のような大きな牙の付いた分厚い葉と、蛇のようにしゅるしゅると動く棘だらけの蔦。それらの先端に、青い薔薇の花が咲いています。
「………ま、間違い無い………です。あれが、ローズちゃんの、アルラウネ………です」
「そうか………しかし、驚きだな。まさか、あんな化け物がこの世界に実在していたとは」
「なー。最初指示を受けた時は、ハック様が大好きな音楽が聴けなくなっておかしくなってしまったとばかり」
「俺も思った。異世界とか結界とか、何言ってんだあのおっさんって思ったわ」
「………居ないからって、言いたい放題ですね」
「はは、嫌いだから言ってる訳じゃ無いさ。寧ろ、あの人が俺達みたいな下働きの兵士にも近い距離で接してくれるから、こんな軽口が叩けるんだよ。本当に嫌いだったら、あの人と繋がってる君達の前でこんなことは言えないさ」
「そうそう、親しみだよ親しみ。………っと、無駄口もここまでにしておくか。嬢ちゃん、奴に弱点とかはあるのかい?」
「ぴゃっ………ひゃい!え、えと………アルラウネは植物なので、火をとても嫌がります」
「火か………駄目だな、こんなところで火なんか使ったらフーセン樹が燃えちまう。他には?」
「え、えっと………アルラウネは、根っこを伸ばして刺さった植物の中に自分の根を広げます。そうやって植物を操るんですけど………同時にその植物から栄養を吸い取るので、植物に毒性があると枯れちゃいます」
「………ここにある植物は、フーセン樹くらいだな。フーセン樹は残念ながら無毒だ、それも使えん」
「ここで役立つ弱点は無しか………なら、動きとかを教えてくれるか?」
「は、はい。えと、アルラウネの主な攻撃手段は三つあって………一つは、操った植物の枝を振り回す攻撃。それを掻い潜って来た相手には、自分の蔦を振り回して鞭みたいに攻撃します。それも掻い潜って来たら、最後の手段………噛みつきです。アルラウネの牙は吸血鬼みたいになってるので、噛まれたら体内の水分を吸い尽くされちゃいます………!」
「成程………厄介だな。ちなみに、さっきの弱点以外でも奴は倒せるのかい?」
「は………はい。アルラウネの本体は、土の中にある根っこ………その中心にある「球根」です。たとえ根が残っても、球根さえ引っこ抜いてしまえばもう生えて来ません」
「球根か………え、抜けるのか?上の茎と蔦、葉を全部無視して掘り返すとかできるの?」
「は、はい………えと、あくまで球根が残っていたらまた生えてくるというだけなので、普通の植物と同じでまた育つにはそれなりの時間を要しますから」
「よし、なら大丈夫だな!行くぞ、お前達!」
「「おう!」」
「おーっ!」
確認を終えた兵士達は、剣を握ってアルラウネへと突撃していきました。………それから、何故かココルも。
「ちょっ、ココル!?僕達が戦う必要は無いんじゃ………」
「ピキュアルァルァルァ!」
ユースケはココルを静止しましたが、時既に遅し。アルラウネは突っ込んだ面々に気づき、大きな雄叫びを上げて臨戦体制に入ります。
「オラァ!」
「どっせい!」
「くたばれ!」
「ふぉーーーっ!」
突っ込んだ四人は、同時に攻撃を仕掛けます。しかし、アルラウネも一筋縄では行きません。
「キュアァァァァァ!」
アルラウネが再び雄叫びを上げると同時に、周囲の木々が伸縮する枝を振り回し始めました。
「がっ!」
「うぉ!」
「ぎゃふん!」
「ふわぁ〜!」
枝の攻撃をもろに食らい、四人は吹き飛ばされます。それでも四人はすぐに立ち上がり、再度突撃を開始しました。
「ドラァァァァ!」
「ダラッシャアァ!」
「死ねやゴルァ!」
「うりゃああああ!」
―――ベシッ!
「ぐあっ!」
「どわっ!」
「のぐぉ!」
「ぴゃー!」
突っ込んで、吹っ飛ばされての繰り返し。その光景をしばらく見ていたユースケは、思わずこう零しました。
「………何で四人して、正面突破しか作戦がないのさ。あとなんか一人、殺意高くないかな?」
………とまぁ、猪突猛進な四人に呆れるユースケ。
果たして彼らは、アルラウネを倒すことができるのでしょうか?
それはまた、次回のお話。