第一幕・旅立ちとごめんなさい
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………さて、色々ありまして。大切な歯車を取り戻す冒険に出ることになったココル。
そんな彼は、冒険の準備をしていました。
「えーっと、おやつの果物とぉ、それから………」
「おいココル、まだ支度は終わらんのか?」
階下から、チクタクの呼ぶ声が聞こえて来ました。見下ろすと、チクタクとユースケが下で待っているようです。
「ごめーん、今行くー!」
ココルはぴょんと飛び降りて、時計塔の一番下へ。着地をすると、ユースケが驚いた顔を浮かべました。
「こ、ココル………今の、痛くないの?」
「ん?うん、全然」
「へぇ、妖精って凄いんだね………僕がやったら足が折れるよ」
そんな話をしていると、一足先に外に出ていたチクタクからお呼びがかかりました。
「おい二人とも、ちょっとおいで!」
「あ、はーい!」
「わ、分かりました!」
返事をして二人が外に出ると、そこには。
「………わーっ、凄い!」
「は、羽の生えた馬………これって、いわゆる………」
「うむ、儂の愛馬『ペガサス』じゃ!」
外では、チクタクがペガサスを連れて待っていました。その美しい姿に、二人は瞳を輝かせます。
「聞いた感じじゃと、ユースケ君が出て来た穴は空中にありそうじゃからのう………それに、此奴がおった方が探し回るにも便利じゃろ?」
「うん!じゃあ、早速………」
ココルがペガサスに乗り込もうと手綱を掴んだ、その時でした。
「ちょ、おい、待てよガキンチョ!」
「………ふぇ?」
突然、誰かから声を掛けられました。が、周囲を見回してもココル達三人以外には誰もいません。
「………誰も、いないね?」
「気のせいかなぁ?」
「気のせいじゃねーよ、俺ちゃんだよ俺ちゃん!」
「…………………えっ!?ひょっとして、君!?」
「その通り、高貴なるペガサスのペガ様だよ!」
なんと、喋っていたのはペガサスだったのです。ココルは驚いて、持っていた手綱を離してしまいました。
「ふわわっ、ペガサスって喋るの?」
「あー?いや、俺ちゃん以外に喋るやつは見たことねーなあ………いや、それよりだよガキンチョ!」
「ふぇ?ガキンチョって………僕?」
「そーだよ、お前だよチビガキ!この俺ちゃんになんの挨拶もせず乗ろうってのはどう言う了見だ、おい!」
「………あっ、そっか!ごめんね、ペガ。えっと、これからよろしく!」
ココルがペガに謝ると、ペガは満足気に鼻をブルルンと鳴らしてその場にしゃがみます。
「分かれば良いんだよ、分かれば。さぁ、そんじゃ二人とも俺ちゃんの背中に乗りな!」
「おーっ!」
「よ、よろしくお願いします!」
二人はペガの背中に跨り、飛ぶ準備を整えました。
「そんじゃ飛ぶぜ!二人とも、しっかり………」
「ま、待って!」
そうして飛び立とうとした時、不意に呼び止める声が辺りに響きます。
「おん?誰だ、俺ちゃんの華麗なるフライハイを邪魔する奴は………って、おぉーっ!」
呼び止めたのは、小さな女の子でした。ゼラニウムの花飾りをした少女は、泣きそうな顔で二人を見つめています。
「君、どうかしたの?何か用?」
ココルはペガの背中を降り、少女に声を掛けました。
少女は少しもじもじして、けれど覚悟を決めたようにばっと前を向いて手に持っていたものをココルに差し出します。
「………ご、ごめんなさいっ!」
「これって…………あーっ、歯車!」
なんと、少女が差し出して来たのは持ち去られた歯車の一つだったのです。
「これ………なんで?」
「あ、あの………私、ゼラニウムって言います。そのあの、私、皆を止められなくって………それどころか流されて、一緒になって盗っちゃって………でも、やっぱりダメだって思ったから、私………ごめんなさい、ごめんなさい………!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、ゼラニウムは謝罪の言葉を口にし続けます。ココルはゼラニウムから歯車を受け取り、言いました。
「………偉いよ、君は。やっちゃったことをちゃんと反省して、ごめんなさいって言えるんだから」
「ぁ……………」
「そうだぜ、かわい子ちゃん!本当にダメなのは悪いことをしても反省しない奴で、謝れるのは良い子の証だ!」
さも自分が言ったことのようにココルの言葉に被せて格好つけたペガの事は置いておいて、ココルは歯車をチクタクに手渡しました。
「はい、爺ちゃん」
「うむ、確かに」
「………ねぇ爺ちゃん、ゼラニウムのこと………」
「分かっとるよ、怒ったりせん。それより、この歯車をはめ直してくれるかい?」
「うん、分かった!」
ココルは急ぎ足に最上階まで登り、一際大きな扉の中に入りました。そして、その部屋の中にある小さな時計の一つへ歯車を戻すと―――
「………あっ、動いた!」
「うむ、歯車が戻ったお陰じゃな。これで恐らく、ほんの少し世界が動き始めた筈じゃ」
「やっ………たー!ねぇねぇ、どこが動いたのかな!?」
「ほっほ、そう急くな。そうじゃのう………この感じだと、動き出したのは『カッサイ公国』の辺りじゃな」
「カッサイ公国!?ねぇねぇユースケ、そこってどんな国!?」
「えーっと、詳しくは無いけど………演劇と音楽が盛んな国、だったかな?確か、世界一有名な劇場があるんだ」
「ふむ………やみくもに探すより、まずはそこに行くのが良さそうじゃな。妖精は向こうでは目立つから、動いている場所で目撃者を探す方が効率的じゃろう」
「そっか………なら、最初の目的地は『カッサイ公国』だね!それじゃ、早速………!」
「………あ、あの!」
今度こそ旅立とうと、ココルがペガの背中に乗ったその時。再び、ゼラニウムが彼らを呼び止めます。
「ゼラニウム、どうかしたの?」
「え、えっと………あの、わ、私、も………っ」
ビクビクと怯えるように、しかし強い意志で、ゼラニウムは自分の気持ちを口にします。
「………わ、わたっ、し、も………一緒に行っても、良いですか!?」
「………ゼラニウム?」
「え、えっと!やっぱり、こういうのって、ダメなことで!でも、友達なのに、私、言って、あげられなくて………だ、だから、その………注意、してあげたいなって………ですから、その………」
しどろもどろになりながらも、友達として諌めてあげたい気持ちを吐露するゼラニウム。そんな彼女に、ココルは笑って言いました。
「良いよ、一緒に行こう!」
「………!はいっ!」
ゼラニウムが乗り込み、準備は万全です。さぁ、遂に………!
「よぉーし、しゅっぱぁーつ!」
「お、おーっ!」
「………ぉー」
「ヒヒィーン!そんじゃあ行くぜぇ、振り落とされないようしっかり掴まってろよぉ!」
バサリと、大きく翼をはためかせて。遂にペガは、大空へと羽ばたきました。
「あそこだ、世界の穴!」
「現世界、どんな所なんだろう………!ぅーっ、ワクワクする〜!」
「うぅ、不安だ………でも、頑張らなきゃ………!」
「あぅぅ、皆、ごめんなさい………!」
「さぁ、突っ込むぞぉ!」
「行っけー、ペガー!」
掛け声と共に、ペガが穴を抜けまして………
「出っ…………たーーーーー!」
………さて、遂に夢世界を飛び出した三人と一匹。
彼らが最初に向かうは音楽と演劇の国、カッサイ公国………果たして、ここではどんな出会いが待っているのでしょうか。
続きは次回、お楽しみに………♪
皆様どうも、作者の紅月です。
第一話、読んでいただき感謝です。
いかがでしたか?楽しんでいただけていれば幸いです。
続きはまた明日、大体同じ時間に投稿ですのでよろしくお願いします。