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大聖女峠

聖女の結界 魔物と戦う聖女たちの話

作者: 山田 勝

「な、姉弟子よりも優れている妹弟子なんていないんだよ!いちゃーいけないんだよ!!」




 聖女赤毛のアリーシャは、雨の降っている畑で、膝を付き、両手を地面につきうなだれた。




 後ろに立っているおっさん冒険者は、諭すように話しかける。




「これが、お前の実力だぜ」




「ウウウウ、グスン、グスン」




 泣き声は雨でかき消された。














 ☆☆☆二ヶ月前




「聖女点呼!はじめ!」


「1!」「2!」・・・・「10!欠ナシ!」




「アンヌ班、総員10名!事故ナシ!健康状態異常なしなのです!」




「よーし、あんた達、令嬢の舞踏会の準備じゃ無いのよ!さっさと支度をし!」




「「「はい、指導聖女殿!」」」




 私は、アンヌなのです!聖女を目指して、この歴史ある隠者ピエールが開山した。ピエール山修道院で修行中なのです。幼年組なのです。総勢100ほどの聖女の素質ある者がここで日夜修行に励んでいるのです!


 幼年班で一番の年長さんだから、私が班長をやっているのです!




 朝ご飯まで、礼拝堂、修練場のお掃除をするのです。


 朝ご飯を食べたら、型稽古をするのです!




「乙女の祈り、立式!」「「「はっ」」」


「乙女の祈り、膝立式!」「「「はっ」」」




「慈愛の型、慈悲の抱擁!」「「「はっ」」」


「こら!そこ、孤児を抱いて慈しむイメージだよ!そんな抱擁で孤児の心が癒やされるの!気持ちを込めれば型に出る。もう一回!」「「「はい!」」」




 聖女は能力だけではいけないのです。所作も聖女でなくてはいけないのです!それが我が修道院、ピエール山の伝統なのです!












 ☆☆




 午前中は、型稽古で頭と体が覚めたら、女神教典の学習、読み書き、計算、マナー、社会、科学まで勉強するのです。午後から聖魔法、各種魔法、戦闘訓練を行うのです。そして、夜から祈りになるのです。しかし、今日はいつもと違うのです。指導聖女殿に質問するのです!








「アンヌ聖女は質問なのです!」


「許す。言ってよし!」




「午後の予定が、おかしいのです。全員、聖女武闘会場に集合となっているのです。何が行われるのですか!」




「!!!」




 さすがの鬼指導聖女も、一瞬、言葉をためらった。




「そうか、聖女アンヌは、初めてか。今日は、聖女学生主席を決める選考会の日だ。血の雨が降るよ・・赤毛のアリーシャが出るからね」




「そこどきな!」




「「!!!」」




 左手にメイス、右手にガントレットをはめている赤毛の聖女が後ろから声を掛けた。


 そう、彼女は主席聖女の座を狙っている帝国辺境開拓村出身、赤毛のアリーシャ。齢15歳




「オレのことを噂しやがってやがるのか?今年こそあの済ました聖王国から、主席聖女をオレがぶん取る!お前ら、白板に、主席聖女学生は、赤毛のアリーシャ様と書いて飾っとけよ。ハハハハハハ!」




 そう、アフリカのある部族にも、シマウマに乗って、珍走団のように、族長に反抗する者がいる。どこの時代、どこの国、どこの場所にも不良がいるものだ。赤毛のアリーシャはピエール山修道院の不良の番長をしている。












 ☆☆☆聖女武闘会場




 ほぼ全員、風邪で寝込んでいる者以外、聖女武闘会場に集まった。


 普段、娯楽が少ない。皆、熱心に勝負の行方を、固唾を呑み見守っていた。




 拡声魔法で、アナウンスが流れる。




「東ィィーーーー、聖王国、転生聖女―――聖女セイコォーー、転生前は商会で、事務方をやっていたよ!


 しかし、魔力は歴代タイ一位!帰国後は筆頭聖女間違いなしだよ!!」




「「「「ワワワワァァーーー、セイコお姉様、頑張ってーーーー」」」




 黒目黒髪の20代前半の女性が髪をたなびかせて、聖女闘技場の中央に現れて、皆に礼をする。






 そして


「西ィィ―――――、帝国、辺境開拓村出身―――赤毛のアリーシャ!齢8歳で、魔イノシシを単独討伐の実績あり!すごいよ!戦闘能力は随一!武門の誉れ帝国ならではの聖女だよーーーーー」




「「「おおおおお、アリーシャの姉御、天下取っちまおうぜ!」」」




 ガッツポーズをし、メイスをグルグル振り回して、支持者にアピールするアリーシャ。












 ☆☆☆選考会




 ピエール山修道院長ナターシャ、齢60だが、若々しい。魔族との戦争で前線に出たこともあり。彼女が各国の王城に赴くと、王自ら門に出て出迎えるほど、尊敬されている聖女界の最高権威の一人である。




「今年の選考は、結界です。これから、魔アナグマキングを出します。結界で対処して下さい。お題は、[聖女に相応しい結界]です。その意味を考えて張るようにいいですね」




 順番は、聖女セイコから




 聖女武闘会場に置かれているオリから、牛と同じくらいの魔アナグマキングが現れた。頭に一本角、前足には巨大な爪。目の周りは黒毛になっている。




「ヒィ」と聖女たる者。魔物を見ても悲鳴を挙げるべからずとの心構えたたき込まれている聖女でも幼年組から悲鳴があがる。




 聖女セイコは髪をたなびかせて、「乙女の祈り、立式、ホーリーバリア!」




 立ったまま、普段の祈りのように、手を組み。顔をやや下に向け視界には魔アナグマキングを入れている。油断はしない。聖女基本の型の一つである。






 彼女の周りに薄い青色の結界が張られた。




 魔アナグマキングは結界をクンクン嗅いでいるが、興味を示さない。




 セイコは更に、「聖女座礼、女豹の型!」と膝と肘を地面につけ。お尻は上げ、魔アナグマと目線を合わせた。


 聖女虚を穿つ変化へんげの型




 魔アナグマキングは、ビクンと一瞬体を震わせ。オリに自ら入った。




 パチパチパチパチと拍手が鳴り響く。




「へ、お上品を気取りやがって、気にくわねえな!」




「次、赤毛のアリーシャ!」




「おお!」




「鳳凰の型!ホーリバリア!」


 足を肩幅よりもやや広げて立ち、両手を地面に平行に広げた。聖女必殺の構えの一つだ。




 赤毛のアリーシャの周りに赤く薄い結界が張られる。




 その結界を見た途端。魔アナグマキングは、怒り、ガツガツと前足で結界を引っ掻く




「ガオー!」とかみつきもするが、結界は破れない!




「へへへへ、オレが筆頭聖女学生になるための生け贄になれよ~」




 パチンと指を鳴らすと、結界が弾けて、魔アナグマキングは吹っ飛んだ。「ギャ」




 そして、魔アナグマキングは赤毛のアリーシャ眼力に、実力差を悟り、「キュー」と鳴いた。慌ててオリに入ろうとしたが




「ハハハハハ、鼓舞の型、ホーリーアロー!」




 左手でメイスを立て、ガントレットをはめた右手を魔アナグマキングに向ける。


 これも聖女必殺の構えの一つだ。




 オリの手前に、ホーリーアローを絨毯爆撃し、入れなくして、赤毛のアリーシャは、自らオリの前に立った。


「お前はオレにぬっ殺される!美味しく頂いてやるよ。お前達、今日は魔アナグマ鍋だぜ!!」




「キュー、キュー」




「「「ワワワワワァーーーーお肉だ。アッシュの姉御、ぬっ殺せ!」」」




「聖女戦闘の型、メイスの乱れ撃ち!!」




 赤毛のアッシュがメイスを振りかざそうとすると、




 割って入る人物がいた。聖女セイコだ。




「聖女慈愛の型、喧嘩仲裁、対人結界!」


 聖女セイコは、右手の手の平を向け、赤毛のアッシュにかざした。乙女の「やめて!」のポーズを取る。


 聖女慈愛の型の一つである。




 薄く青い膜がアッシュの前に広がる。




 赤毛のアッシュはメイスを結界に乱れ打ちをするが


 ガン!ガン!ガン!ガン!結界は崩れない。




 魔アナグマキングは聖女セイコの後ろで、器用に前足で頭を抱え、うずくまっている。




「テメー、邪魔するな!」




 そこで、ナターシャの声




「聖女威厳の型、魂の声、[選考会は終わりとします。双方活動停止]」




 魂まで響く声だった。












 ☆☆☆修道院長執務室




「何で、邪魔をした聖女セイコが、主席聖女学生なんだよ!納得いかねえよ、納得いきません!」




 ナターシャは右手で額を押さえ、「はあ、貴方の聖女結界は下の下、点数をつけられません・・」ため息を付く。




「もう、一度選考会をやらせてくれよ!頼みますよ!修道院長!」




「わかりました。そこまで言うのなら、もう一度、選考会をしましょう。但し、今の聖女アリーシャでは、聖女セイコの相手になりません。相手は・・・聖女エリザベートです」




「え、妹弟子の、あのかろうじて聖女の素質有りと判定されたお貴族のお嬢様が・・楽勝だぜ!」




「聖女セイコ、それでいいですね」


「はい、修道院長の御心のままに」


 聖女セイコは静かに頷いた。












 ☆☆☆王国冒険者ギルド




 赤毛のアリーシャと聖女エリザベートは、中年の冒険者の元で三ヶ月の実習訓練をするようにナターシャから命じられた。


 選考の判定は、中年の冒険者に委ねられる。




「ピエールのお山から、よく来たね。俺はC級冒険者グループ[畑が荒らされたらフランキー]代表のフランキーだ。三ヶ月よろしく!」




「何だよ。[群狼の牙]とか[希望の五勇者]とか、有名パーティじゃないのかよ!おっさん。選考をするまでもない。オレを選んでくれよ」




「ハハハ若いっていいな。取りあえずうちは誰でも新入りではこれをやるんだよ。ほら、これ持って村を周りな」








 ・・私は、侯爵令嬢エリザベートでございます。聖女の素質があると認定されたばかりに、ピエール山という聖女教育でもっとも厳しい山に入れられ、今日、院長様にいわれて、あの恐ろしい不良と一緒に実習訓練することになりましたの。グスン。




 やることは、[畑を荒らされたらフランキー]と書かれたのぼり旗を背負って、太鼓をならしながら、ドンドン「え~畑が荒らされたら~フランキーまでご相談下さいませ~」と村々を回るのでございます。何故でございましょうか?私は侯爵令嬢でございますよ。何の因果です。




「姉ちゃん。声が小さいぞ、腹から声を出せよ!」「はい、フランキーさん・・」


 ドンドン、「え~畑が荒らされたらフランキーまで、ご相談下さいませ!!」






 ドンドコドンドン!ドンドン!


「おい、お前ら、畑が荒らされたら、フランキーのおっさんまで相談だぜ、ヨロシクな!」




「お、こっちの姉ちゃん威勢がいいな。顔を覚えたよ!」


「お姉ちゃん。その武器は何?」


「ああ、これはメイスって、魔物をぬっ殺す武器だ。お前も大きくなったら魔物はぬっ殺しだぜ!」




 ううう、グスン、赤毛のアリーシャさんは人気者なのです。


 村回りが終わったら、箱ワナの回収でございます。


 畑を荒らす悪い魔物さんが掛かっていることもございます。




「グギャー」「ギャアアー」


 掛かっている罠を回収したら、冒険者ギルドに持って行くのでございます。


 そして、新たに仕掛け。掛かっていない箱ワナのエサを新しくもしたりもするのでございます。




 一月後


「おい、赤毛のアリーシャ、お前に指命依頼だぞ。行ってこい」


「フランキーのおっさん。任せろ!」






「鳳凰の型、ホーリアロー!からのメイスの乱れ打ち!」




「ギャァー」


「ギャ」




「すげー魔アナグマや魔キツネが、一掃された。すげえ聖女様だ。赤毛のアリーシャさん。また来てくれよな」


「おう、また、呼べ。他の村にも宣伝ヨロシクな!」






 グスン、私には、お呼びか掛からないのでございます。


 これでは聖女セイコさんの負けになってしまうのです。どうして、私にこんな重い責任がのしかかるのでございましょう?




「あれ、フランキーさん。赤毛のアリーシャさんは?もう、討伐に出た。何だーじゃこっちの姉ちゃんでいいや」




「おい、エリザベート行ってこい」




「はい、グスン」


 私は赤毛のアリーシャさんの代りなのでございます!






 二ヶ月後




「な、何故だ、何故、オレが、指命0件で、エリザベートがひっぱり凧だと!おっさん。えこひいきしてないか?」




「してねえって。なあ、お前、オレと一緒に見に行こうぜ」




「!!!何だ、あれは?」






「えい、えい、それ、それ、悪い魔物さんはあっちに行け、私の聖魔法を食らいなさい!」




 ビビーと、緩く青い光線が、作物に注がれると、魔アナグマが「ギャ」と出てくる。


 そこを村の若衆が現れて、そりゃーとクワで一撃を加える。「ギャ」




「エリザベートさん。腕を上げたな」


「ああ、魔物の逃走経路を予想して、聖魔法を放てるようになったな。すごいな」






「お、お前ら、何故、オレを選ばない!」




「!!!!」




「あ、赤毛の姉ちゃんか・・ちょっとな」


「おい、はっきり言ってやれよ」とフランキーは村人を促す。




「最初はすげえと思ったけど。畑が荒らされてダメだ。あんたのせいで、畑が無茶苦茶だ。いや。文句は言わねえよ。俺たちが依頼したからよ」




「!!エリザベートがお貴族様だからって、えこひいきしてねえか?」




 パチン!とフランキーが赤毛のアリーシャの頬をはたいた。




「お前、こっちに来い。実際に見る方が早い!」




 遙かに、フランキーよりも実力がある赤毛のアリーシャであるが、彼女は、迫力に押され付いていくしかなかった。








 ☆☆☆


「!!畑が、畑がダメになってるじゃない」




 そこには、作物が枯れ、畑がボコボコになっていた。




「お前の聖魔法が強すぎる。作物が育成過剰で死ぬ。それにメイスで土がボコボコだぜ。耕した下の土まで掘り起こしている」




 雨が降ってきた。




「それじゃ」「ああ、お前の負けだ」




「そ・・そんなのエリザベートの聖魔法が弱すぎるだけじゃーないか?運だぜ。これは?」




「はん。そうかもな。だけど、冒険者は結果が全てよ、そして、俺は冒険者だ。エリザベートの勝ちを判定するしかないのさ」






「な、姉弟子よりも優れている妹弟子なんていないんだよ!いちゃーいけないんだよ!!」




 聖女赤毛のはアリーシャ、雨の降っている畑で、膝を付き、両手を地面につきうなだれた。






「これが、お前の実力だぜ」




「ウウウウ、グスン、グスン」




 泣き声は雨でかき消された。










 ☆☆☆回想、赤毛のアリーシャ4歳帝国辺境開拓村




「ウワーーン。父ちゃんが折角、作った畑が、魔物に荒らされている!」


「もういい。危ないから逃げるぞ、アリーシャ!」


「アリーシャこっちに来るのよ!」




「ガオーガオー!」


「ギャギャ!」


「コン!コーン!」




 魔アナグマや魔キツネ、魔熊までもが、アリーシャの家の畑を荒らしている。


 アリーシャは棒で、魔物を退治しようとするが、父親と母親に止められた。




「ウエーーーン」




 ヒュンヒュン


 その時、矢が飛んできた。




「ほら、ほら、ほら、魔物ども、森へ帰れ!」


 ヒュンヒュン


「ギャ」


「グヘ」




「ルドルフ兄ちゃん!」


「ルドルフさん!」




「ルドルフ君!矢持って来たよ!」「おう、ソフィありがとうな!」




「「「おう、皆、ルドルフさんに続け!ワアアアアー」」」




 ・・・


「みなちゃま、ありがとうございまちた」


「「有難うございます。全滅は免れました」」




「困った時はお互い様だ。お嬢さんの笑顔がご褒美だ。なあ、ソフィよ」


「ルドルフ君の言うとおりだよ。アリーシャちゃん。怪我なくて良かったね」ナデナデ




「あたちも、大きくなったら、魔物をぬっ殺す!ちょちて、皆を笑顔にちゅる!」




「「「ハハハハハ、頼もしいお嬢ちゃんだ」」」




 あの時、近所のルドルフ兄ちゃんと村長の娘のソフィ姉ちゃんが先頭で、村の皆が助けてくれた・・そうだ。オレは、皆の笑顔が見たくて聖女になると決めたんだ。








 その後




「はい、フランキーさん。掛かった箱ワナ持って来たぜ!聖女エリザベート、オレがお茶いれてやるから、お前、少し休め」




「おう、そこ置いておいてくれ」




「え、グスン、いいです。自分で」




「はん。オレが入れた茶飲めねえってか?」




「ウへ、グスン、頂きます~」「そうか、ヨシ」




 ・・何の因果で、赤毛のアリーシャさん変ったのかしら。後で仕返しされないかしら




「ハハハッハ、泣くほど美味いか!」






 [畑を荒らされたらフランキー]のパーティハウスでのやり取りを、ドアを少し開けて、見ている聖女セイコがいた。




(私が、入ると無粋ね・・フフフフフ)












 ☆☆☆ピエール山修道院長執務室




「二人とも、よく実習訓練をしましたね。フランキーさんから二人ともよくやったと聞いています」




「おう」


「はい」




「それで、主席聖女学生ですが、赤毛のアリーシャ、貴方にやってもらいます!」




「院長、オレ、そういうのは、もうこだわるのはやめた。オレの負けだ。聖女エリザベートに負けたんだぜ!」




「聖女セイコは修行を終え、聖王国に帰ります。その代りは貴方にしか出来ないのです」




「しかし、でもよ。オレの聖女結界はダメってわかったよ」




「ええ、もし、貴方が国中に聖女結界を張ったとしたら、その結界がなくなった途端魔物が国中に襲いかかるでしょう。一方、聖女セイコの結界は、結界が張られていることすら、魔物に悟られないのです。それがわかればいいのです。人には得て不得手があります。貴女は戦闘向きです。それだけのことです。それがわかっている貴女なら安心して主席聖女学生を任せられます。院長の決定に不服ですか?」




「そ、そんな、ことはないです。オレ引受けます。聖女エリザベート、協力してくれよな」




「赤毛のアリーシャさん。私、貴女のことを誤解してたわ。乱暴で粗野で恐ろしい不良だと。今の貴女なら、ええ、喜んで協力いたしますわ!」




「なんだよ、そりゃひでぇ評価だな」




 ビクン「すいません。グスン」「泣くなって。冗談だよ。そう思われても仕方ねえよ」




「フフフフフフ、赤毛のアリーシャさん。私の後を宜しくお願いします」




「おう」




 三人は手を合わせ、友情を確かめ合った










 ☆☆☆その後




「おい、幼年組アンヌ班長!」




 ビクン「主席聖女赤毛のアリーシャ、聖女アンヌ班長なのです。何なのですか?」




「お前は、魔法が得意だから、メイスよりも魔法杖の方がいいぞ!いや、強制はしないがな」




「はい、試してみるのです!」




 赤毛のアリーシャは慕われる主席聖女学生になった。




 後年


 聖女セイコは聖王国の主席聖女に、聖王国の聖女と言えば、セイコと言われるほどになった。


 侯爵令嬢エリザベートは王族に嫁入り王妃になり。


 赤毛のアリーシャは帝国へ戦闘聖女として召還され、辺境の各村を回ることを好んだと伝えられる。



最後までお読み頂き有難うございます。

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