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Dive E  作者: 城塚崇はだいぶいい
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第五話 大事なお知らせ

 目覚め行く貴方へ最後に一つお伝えしておかなければならないことがあります。

 この夢は、目覚ましプログラム『Dive E』によって提供されたものと説明させていただいておりましたが、実はそれ・・・嘘なんです。

 ずっと騙してしまい、申し訳ありません。ですがよく考えてみてください。見たい夢を自由に見られるシステムなんて、まだ発明されていません。目覚ましプログラム『Dive E』なんてまだ作れないんです。

 つまり、貴方は貴方の脳内にある情報をもってして、自力でこの夢を見るに至ったという訳です。

 私は、貴方の脳内が作り出した偶然なんです。貴方が目覚めてしまったら・・・消えてしまうかもしれないし、貴方の脳内のどこかに留まれるかもしれない・・・。

 ただ、脳内に留まれたとしても、次に会えるのはいつになるのか・・・。ひょっとしたらもう会うことはないかもしれない。だって、見たい夢を自力で見るのってとても大変でしょ?貴方がまた、私のことを夢見てくれる保証は、どこにもないのです。

 あ、あ、あのそんなつもりじゃありません。ここまで楽しくやってきたじゃないですか!ちょっと寂しいけど、湿っぽいのは無しにして最後まで楽しくいきましょう!ほんとにあとちょっとだけなんですから。

 それにしても・・・ただの偶然である私から見ても、なかなかいい夢だったんじゃないですか?寝ている間に『頑張る心』と『多角的な視野』と『一握りの勇気』を手に入れる。なんだかすごく前向きな話ですね。貴方の新しい一日がどんなものになるのか、見てみたいです!きっと素晴らしい一日になるんじゃないですかね?

 まぁ、残念ながら私には見ることはできないんですが・・・。でもね、私は貴方の脳内で生まれた存在です。つまり、考えたり想像したりすることは得意なんです!というかそれしかできないんですけどね。その私ナカジマが、貴方の未来を想像してみましょう。


 そうですね・・・貴方は夢に向かって頑張る心を持って多角的な視野で物事を柔軟に見つめ、好奇心に順ずることができるだけの勇気をもっているのですから・・・それらの能力を精一杯発揮して・・・いつか・・・この目覚ましプログラム『Dive E』の発明に成功するんです!人々はこの世紀の大発明を称えますよっ!そして、私達はそこで劇的な再会を果たすんです!なにせ『Dive E』システムさえ完成すれば、貴方は私の夢をもう一度見ることができるんですからね!何年ぶりの再会になるんでしょうかね?あ、ご心配なく。夢の世界では時間の概念はひどく曖昧です。どれだけ待ちくたびれても終わらない刹那もあれば、過ぎ去ったことにさえ気づかないような永遠もあります。私の年齢も貴方次第です。

 再会したら、貴方の世紀の大発明を私がトップニュースとして読み上げるんです。もちろんインタビューもさせてもらいますよ。貴方はちょっと照れながら、それでいてまっすぐにカメラを見据え、しっかりとした口調で質問に答えるんです。

 どうです?なんだかすごく・・・いい未来じゃないですか?

 

 うん・・・。


 いい!だいぶいい!


 ・・・あれ?・・・楽しいことを考えているのに・・・涙が出てくるのは・・・何故でしょうね・・・。

 ここは貴方の夢の中、貴方の思い通りの世界なんですから、私が泣いているのなら・・・早く・・・泣き止ませてくださいよ・・・。貴方の目覚めの瞬間が、もう間もなくやってきてしまいます。最後は笑顔で締めさせてください。私は貴方が目覚めるまでの時間を楽しいものにする為に存在するのですから。


 それでは、本当に最後の時間がやってまいりました。

 ここで、私ナカジマとはしばらくのお別れとなりますが、これだけは忘れないでください。ナカジマは、どんな時でもいつまでも、貴方のことを心の底から応援し続ける存在です!こんな存在、現実世界でもなかなかいないんじゃないですか?


 朝のキャスターが視聴者に向かって言う挨拶は一つです。

 ついに、この言葉を言う時が来てしまったんですね・・・。

 それでは、よい一日を・・・。



「おはようございます」

最後までお付き合いいただけた方へ

本当にありがとうございます。


そのアクセス数が支えになってここまでたどり着けました。

本当にありがとう

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