第一話 目覚ましプログラム Dive E
こんにちは！こんばんは！目覚ましプログラム『Dive E』のキャスターを務めさせていただいておりますナカジマです！
はい、たしかに現在は朝です。しかし、おはようと挨拶できないのには理由があります。韓国語だったら、『おはよう』も、『こんにちは』も、『こんばんは』も『アニョハセヨ』でいけるんですけどね。日本語にはそんな便利な言葉は無いようです。
おっとすいません。話がそれてしまいましたね。おはようと挨拶できない理由ですが・・・貴方はまだ目覚めておりません。つまりここは貴方の夢の中という事になりますね。貴方は昨晩、目覚ましプログラム『Dive Emotion』システムをセットして就寝されましたね。お目覚めの直前の時間帯の夢をお借りして、貴方の新しい一日を始めるにあたっての準備をお手伝いさせていただきます。
はい、具体的に申し上げますと、新しい一日に使える便利な情報や、朝から元気になれる楽しい時間の提供をさせていただきます。
あ、いえ、申し訳ありません。ここは貴方の夢の中ですので、私が貴方に提供できる情報は、『貴方の知っていること』に限定されます。情報の真偽につきましても貴方次第、ということになります。
・・・そうですか？役に立たないかどうかは、貴方次第だと思いますよ。貴方は、『貴方の知っていること』を全て覚えていますか？貴方が忘れていること、思い出せるかもしれません。
それは新しい一日を戦うにあたって、とても心強いものになるかもしれない。
それに、私が提供するのは情報だけではありません。楽しい時間、つまり貴方は今から目覚めるまでの時間において、絶対に悪夢を見ることはありません。貴方が昨日見た夢はたしか・・・『仲間達と歩いていると、不良に絡まれてカツアゲされそうになり、仲間達を置きざりにして一人逃げ出して自分だけ助かる。』というものでしたね。う～～ん・・・最悪ですねぇ。仲間達と一緒にカツアゲされた方がまだいくらかましなくらい寝覚めが悪い。ここで目が覚めたからよかったものの、続きを想像すると恐ろしい。仲間達から卑怯者とののしられ、孤立していく貴方が目に浮かびます。本当に夢でよかったですねぇ。
・・・おっと、申し訳ありません。お気になさらずに。本日は絶対にそのようなことは起こりません。目覚めの瞬間まで楽しい時間をこのナカジマが約束させていただきます。
あ、既にお気づきかと思いますが、私の見た目は貴方の一番大好きな異性の姿を使わせていただいています。どうですか？これだけでも既に楽しい時間になっているのではないですか？ご要望とあらば、声や性格などもそちらへ寄せることも可能ですよ。
そうですか、ではこのままキャスターとしてのキャラクタで進行させていただきます。
それでは、お待たせしました。 最初のコーナーです。
