表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

弁当屋の朝は忙しい

弁当屋の朝は忙しい。

チェーン店はほとんどの店がまだ開いていないので、こういうところで差別化を計ろうとしている。


もちろん、朝ごはんとして買って行く人のことも考えているし、昼ご飯用に買う人もいる。

だから、朝はおにぎり弁当みたいに朝食用と昼用の人気のメニューをいくつか作って、すぐ買ってすぐ学校や会社に行けるように準備をしているのだ。


朝から油淋鶏、生姜焼き、豚の味噌野菜炒め、のり弁、日替わりなど最低でも10種類の弁当を準備している。

住宅街が近いお店なので、朝と夜が忙しい。


今日も朝5時に起きてたくさんの料理を作った。

小さい時からの日課で、いつから店を手伝っていたのかを覚えていない程だ。


そして、今日は8時前にあの2人が来る。

いつもより気合を入れておかずの種類を増やしてしまった。


「おはようございまーす」

「まーす」


小田さんと、妹の紋楓ちゃんだ。


「おはようございます」


できるだけ、どきどきを悟られないように平静を装ってあいさつした。


「あら、おはよう!こっち来て!厨房のほう!」


母さんが、2人を招き入れる。


「厨房だから、入る時は手を洗ってねぇ」


「あ、はい」


「はーい」


「じゃ、ここら辺に置いてあるやつはどれでも詰めていいから。あ、遠慮だけはしたらダメよ?」


「ははは。ありがとうございます」


すっかり母さんと小田さんの会話になってしまっていて、僕の出番がない。

母さんは、昔、娘も欲しかったと言っていたし、変なスイッチが入っているのかもしれない。


「すごい!山田くん!煮魚もある!」

「あ、それ、僕の自信作。まさか煮魚を選ぶとは」

「家では煮魚作る時間がなくて・・・」

「お弁当だと煮魚はたれが混ざっちゃうから、夕ご飯で持って行ってもいいよ?」

「ありがとうございます。でも、たれが混ざっちゃうのも楽しいかも」

「あ、それはあるね」


小田さんは、楽しそうにおかずとご飯をお弁当箱に詰めていた。


「あの・・・本当にいいんですか?あの・・・お金・・・」

「いーの、いーの、子供はそんなこと気にしなくて!それよりも、健太郎をよろしくね!」

「え、あ、はい」


なに?よろしくされるってなに?


とにかく慌ただしく、それでも楽しく朝の準備が出来、学校に行くことになった。

一緒に家を出た手前、別々に行くのも変だ。


紋楓ちゃんの保育園に行って、紋楓ちゃんを預けてから学校に向かう。

お母さんは朝早く仕事に出てしまうそうだ。


小田さんは、昔からずっとこうやって妹の面倒を見て来たんだ。

甘える相手もいなくて、小さな身体で妹の面倒も見て、不安なこともたくさんあるだろう。

すごい頑張り屋だと思ったら、なんか僕の中の何かが、そのままにしておけなかった。


小田さんともっと仲良くなりたい。

そんなことを考えながら、小田さんと一緒に登校してしまった。


保育園の後は、僕のすぐ後ろを歩いて着いてくる感じ。

ただ、僕のブレザーの裾を少し掴んでる。


なんか変な感じだ。

どうせなら、横を歩いてほしいのだが・・・


そのままの感じで教室に着いたら、また坂本と大和が寄ってきた。

それと同時に小田さんは僕から離れて自分の席に行ってしまった。


「だ、大丈夫なのか?」

「ついに、小田一凛おだいちかの舎弟に!?」

「違うから!ちょうど朝一緒になったからだから!」


そういう感じじゃなくて、もっと色気のある感じで言われたかった・・・


朝6時と夕方18時更新です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なんとっ!裾をつかんでるですって?? そのまま教室まで??? [一言] 裾をつかんで教室に入って「舎弟」ってw すっかり恐怖の対象になってるなぁ(^_^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ