ふぁ〜すトゲ〜む(2)
カウントダウンが始まる。
3…2…1…スタート
ゲームが始まった。俺は早速開始前10分の間に決めていた人に声をかけようとした。
「すみま……」
「そこの君わたしとやりませんかぁぁぁぁ??
はい、手ぇ出してぇ!!」
なんとも強引な人だ。拒否したとこで引き下がらないだろうな。さっさと終わらせるか。
「分かった。早くしてくれ。」
「素直でよろしぃぃぃ!」
俺とこいつが握手をする。お互いのマイクロチップが光り2人だけの仮想空間に意識だけが飛ばされる。
そして5分のカウントダウンが始まる。
「お前、名前は?」
「安方紗久よぉぉ!君はぁなんていうのかなぁ??」
「神代功八だ。」
「早速だがゲームの説明中、開始前ずっと周囲は困惑していた。だがお前は終始楽しそうだったな。お前はこういう経験があるのか。」
「あっらぁぁぁ!始まる前からわたしを見ててくれたのねぇぇ!てゆーかぁ、私の名前知ってるんだからぁ、名前で読んでよねぇ功八くぅぅぅん!」
「分かった紗久、質問に答えてくれ。」
「いいわよぉぉぉ!ないわぁ!!!」
「そうか、もう1つ質問だ。なぜ俺に声をかけた。見た目である程度能力が分かるやつだって沢山いるだろ。なぜ見た目では能力が分からない俺に声をかけた。」
「決まってるじゃなぁぁぁい!功八くんがぁぁ可愛かったからよぉぉぉぉ!!」
「そうか、もう1つ質問してもいいか。」
「いいわよぉぉぉ!でもその次は私の番ね、なに聞こうかしらぁ!身長?体重?好きなタイプ?」
「今まで生きていて死体を見た回数は何回だ。」
「っ!…………………………」
「何回だ。」
「は?」
「何回だ。」
「なんでいきなり死体の話になったわけ?」
「何回だ。」
「なんで死体の話になったのかっつってんだろ。答えろ。答えたら質問に答えてやる。」
「お前の目が普通じゃなかった。明らかに幾つもの死に直面したやつの目だ。俺は人の命をゴミくらいにしか考えてないようなやつの目を何回も見てきた。俺の目は騙せねぇ。」
「それはあんたも一緒でしょ。」
「かもな。さて、質問に答えてもらおうか。」
「何回か。何回だろうね、もう分かんないな。あんたは私の目が人の命をゴミくらいにしか考えてないような目って言ったわよね。あんたはわざわざ道で見たゴミを数えるわけ?」
「じゃあ質問を変えよう、お前の能力は人の死を利用しなくてはならないもの。だからこそ人を殺したこともある。そして殺していくうちに命に対する価値観が変化した。これであってるな?」
「そうよ、私の能力なんてもうバレたようなものね。」
「人の死を利用する能力なんてひとつじゃないだろ。」
「あんたの目、もう分かってる目。」
「そうだな。勝ちたいならとりあえず体の匂いを消した方がいい。」
「狂気キャラで誤魔化せる相手ではなかったわね。」
「いつもこんなキャラなのか。」
「ええ、悪い?」
「別に。俺の能力、当てなくていいのか?」
「当てようとして当てれるような相手では無いでしょ。」
「そうかもな。最後に1個聞いていいか。」
「なに?」
「なぜ俺に声をかけた。」
「理由なんてない。何となくよ何となく。」
「そこは教えてくれないんだな。死体の囁きに導かれたってことにしとく。」
「死体は喋らないわ。」
「冗談だ。長話は時間の無駄だな。終わるか。」
「そうね。」
俺はアプリに相手の名前と能力を入力した。
入力者:神代功八
対戦相手:安方紗久
対戦相手の能力:死体を操る力
送信すると、紗久も入力が終わっていたらしくお互いのマイクロチップが光り現実世界に意識が戻る。
「ピコッ」
通知が来た。アプリを開くと1ポイントが入っていた。
「あいつはいらないな。」
アプリを閉じ、さっき声を掛けようとしていた人を探そうとすると運良く目の前にいた。俺は声をかける。
「すみません、俺と対戦して貰ってもいいですか?」
「お前、誰や。」
「神代功八です。」
「雑魚そうな見た目しとんなぁ。ええよ、やったるわ。負けても泣くなよ?笑」
「ありがとうございます。」
そして俺は目の前の明らかにチャラいちょっと、いや、かなり調子に乗っている男と握手をし、再び仮想空間に意識が飛ばされる。