桃太郎
短編です。
桃太郎を使ってますが一応オリジナル作品ってことで。
僕がこれまで読んだ色々な鬼の設定が含まれています。
ちょっとグロとアンチがある気がするので注意してください。
桃太郎
少女は小さな島にいた。鬼と呼ばれる呪われた存在が幽閉される小さな孤島にーー
私は昔は人口数百人の小規模な村で暮らしていた。
その村で私は男の子数人から悪口や、ける、叩くなどの虐めを受けていた。
まあよくある性別の違いで女の子を虐めるようなあれである。
だが、その頃はわたしもすごく嫌だった。
しばらく耐えてはいたが、やがて耐えられなくなったときなにかが私の中で『ナニカ』が破裂した。
ーーその瞬間赤い肉塊のような『ナニカ』が少年達の身体に突き刺さったーー
その『ナニカ』が私自身から出ていることに気がついたのは自分の足元に視線を送ったときであった。
自らの足元から異形がうごめいてあの少年達を突き刺したのだ。
私は怖くなり、その場から逃げた。一目散に逃げた。私の中の『ナニカ』、昔母から教えられた『オニ』という存在が自分の中にいることを認めたくなかった。
日が沈んだ頃、私は村の人に捕らえられた。
私の『オニ』が彼等を殺していたところを誰かが目撃していたようであった。
私はその後すぐ牢獄に監禁され、身に余る罰を受け続けた。
「鬼がのうのうと生きているな」
そういつも言われていた。自殺しようにも、殺されようにも死ぬことができないこの身体により罰を受け続けるという選択肢しか存在していなかった。
何年も何年も罰を与えられる生活に私の心は耐えられなかった。自らの心を守るために私は『オニ』を解放してしまった。
赤い肉塊に飲まれ消えていく村を見て私の心は踊った。人を喰らい、自然を喰らい、村を喰らう。大嫌いだったものを喰らい尽くし続けるーー
村の全てが消えたあと、どこかから来た兵士に私の『オニ』は突然封印された。どんなに抵抗しても私の『オニ』を解放することはできなかった。
私は鬼が幽閉されている鬼専用の監獄
“鬼ヶ島”に送られた。
数百年前のお話である。
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むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、
ドンブラコ、ドンブラコと、川上から大きな桃が流れてきました。
おばあさんは喜び、大きな桃をひろいあげて家に持ち帰りました。
そして、おじいさんとおばあさんが桃を食べようと桃を切ってみると、なんと中から元気な男の赤ちゃんが飛び出してきました。
「これはきっと、神さまがくださったにちがいない」
子どものいなかったおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
桃から生まれた男の子を、桃太郎と名付けました。
桃太郎はスクスク育って、やがて強い男の子になりました。
そしてある日、桃太郎が言いました。
「僕鬼ヶ島へ行って、悪い鬼を退治します」
おばあさんにきび団子を作ってもらうと、鬼ヶ島へ出かけました。
旅の途中で、イヌに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
イヌはきび団子をもらい、桃太郎のおともになりました。
そして、こんどはサルに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
そしてこんどは、キジに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
こうして、イヌ、サル、キジの仲間を手に入れた桃太郎は、ついに鬼ヶ島へやってきました。
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「ここが鬼ヶ島か」
鬼ヶ島についた桃太郎は鬼を退治するために覚悟を決めた。
心には僕を送り出してくれたおじいさん、
おばあさん、村、王様、そして王都の人々。
後ろにはこれまでの険しい旅をついて来てくれた大切な仲間達。
「この戦い絶対に負けるわけにはいかない。勝ってみんなで生きて帰るんだ」
桃太郎がそう意気込んで鬼ヶ島に乗り込んだが、そこには腐った肉片とそれに伴う腐臭で充満していた。
構わないように肉片を超えて進むとどこからか少女のような声が聞こえた。
「あなたはここに何をしにきたのですか」
「僕は悪い鬼を退治しにきた」
桃太郎は少し恐怖を感じながらも力強く答えた。
「退治、、、もしかしてあなたは私を殺してくれるというのですか?」
その言葉と同時にその少女は姿を現した。
少女はとても鬼という存在とは思えないほど可憐で美しかったが悲惨なほどの血の跡が残っていた。
桃太郎は彼女やここで死んでいる鬼たちにどんなことがあったのかを聞いた。
話を聞いた桃太郎は言い様のない怒りと悲しみが込み上げていた。小さな頃から忌み子として罰を与えられ蔑まれてきた鬼は自分が聞いていたような鬼とはまるで別物であった。
「そしてここにはもう私しかいません。鬼同士ならその存在を殺すことができます。だから私は生きていけなくて、死を願った他の鬼を殺していった。それから彼等の救いになるのならと思って殺し続けた。そしたら私だけが生き残って1人で死ねないままこの鬼ヶ島で数百年過ごしていた」
「あなたの刀は昔の鬼を封じ込めることのできる刀よね?それなら私を殺すことができるかもしれない」
彼女は泣きながら桃太郎に懇願した。
「どうかお願いします。どうか私をその刀で殺してください。私を生の呪縛から解放してください」
桃太郎は泣いている彼女を見ながら考えた。彼女を殺すことが救うことにつながるのなら殺すべきではないのか?と。
「私を殺せば、王都に蔓延るみえない恐怖も無くなるはずです。お願いします。私を殺してください。あなたの手で、あなたの住む場所にも、私にも平和をください」
桃太郎は泣きながら
「ああ、僕が君を殺す。君が受けてきた苦しみから君を解放したいんだ」
そう言って彼女の心臓に刀を突き立てた。
「本当にいいんだね」
「はい。嬉しいです。あなたに、、あなたに殺してもらえるなんて」
彼女は世界一可愛らしい笑顔で幸せそうにこの世を去った。
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帰ってきた桃太郎はみんなの祝福を受けながらも、どこか悲しそうな顔をしていた。
「あの少女は幸せになれたのだろうか。今後このような悲劇を起こさないためにはどうしたらいいか」
桃太郎は考えに考えた。
それでも答えは出なかった。
それもそうだろう。今でも忌まれ不当な差別をされる人がいるのだから...
読んでくれてありがとうございます。
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