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心に咲きし色の花-叶わぬ恋も想い出に-♭  作者: ハルカ カズラ
心に咲きし色の花-叶わぬ恋も想い出に-♭ 完結章
39/40

期待はしないから

                 期待はしないから



 わたしはテレビやネットが調査している統計やなんかの情報をアテにしてない。だって、それが全てではないから。誰かと誰かが想いを寄せること、そんなのはもはや夢と理想を語ることしか出来ないって思ってる。


 どうして簡単に付き合うことが出来るの? どうして人を好きになれるの? わたしには理解出来ないよ。一人でいることがどうして勝手に寂しいと取られるの? そんなのは情報がわたしたちを操作してるだけなのに。わたしはわたしらしく、過ごしていく。何も興味も関心もないわけじゃない。そんなことに期待をしても無駄だから。だから、どうか求めないで。


おきなさん、俺と付き合いませんか?」


「わたしですか? どういう所がいいんですか?」


「え、えっと……風が吹いて、キミの前髪がなびいた時にふと視線を外した時の仕草が、俺の印象に残ってそれで……そ、それだけじゃなくて」


「それだけですか」


「い、いや、惚れたんです。だ、だから、これから新たな一面も見つかるはずだし、俺と君とで……」


「ごめんなさい。わたしは求められても困ります。期待なんて、やめて欲しい。だから、わたしは無理です。あなたのこと、嫌いでは無いです。だけど、好きになるかも分かりません。どうか、放っておいてください」


「……あ」


 落ち込んでいる。わたしなんかの為に。告白されて嬉しくないはずがないわ。でもね、求めない恋もあるんだよ。わたしにとって、今がその時じゃないって思ってるから。だから、わたしじゃない他の誰かにその想いを伝えて欲しい。


 わたしの心には闇が存在している。こんなの、人に……恋人になる人には見せられない。わたしもかつては好きな人がいた。でもそれは世間で言う背信的な恋。後ろめたさが常にわたしと、彼にまとわりついた。


 しょうがないじゃない。好きになったのだもの。それが年が離れていようが、生徒と先生の立場の違いだろうと、好きになったのは変えようのない事実だわ。でもそれも、わたしの一方的な想いで片思い。


 結局、卒業するまでその想いは告げられることの出来なかった想い。恋。わたしも所詮、世間を気にしすぎてその心を強引に突き動かすことが出来なかったんだ。だから決めたの。わたしはもう、何も求めない。誰にも何も告げない。


 恋を失う前に、求めなければいいの。想いも気持ちも、告げられない……これでいいんだ……

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