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心に咲きし色の花-叶わぬ恋も想い出に-♭  作者: ハルカ カズラ
失恋の章
2/40

耐える愛

               耐える程に愛しい



 夏を感じさせる季節が近づいて来ている。ワタシはしばらくの間、地元の大学を休学していた。好きだったヒトに振られたからだ。休学の届けを出した以上、地元で自由に出歩くことはしたくなかった。


 この機会に、ワタシは日本の大学に行ってみたいと思った。貯めていたお金を日本旅行に使って、日本の大学で学んでみたい。そう思ったのだ。ワタシはかねてより、日本のサムライに興味があった。


 日本語はそこから学んだ。これなら、日本男児もワタシに夢中になるだろう。そう信じて、出発した。


 とある大学――


 2週間限定で体験入学をさせてもらい、すでに他の学生と同じように講義を受けている。しかし、理解出来ないことが多すぎる。ナゼ、ワタシに誰も声をかけて来ないのか? 異国人など珍しくもなかろう。ここはワタシから行かねばならぬようだ。


 ワタシは1人の男子に的を絞り、講義を受けていたカレに声をかけた。


「そこの者、名は何と申す? ワタシはアルビナじゃ」


「はい? あ、アルビナさん……ですか? えっと、何ですか?」


「ウム。ワタシの友となってくれぬか?」


「へ? な、何で俺ですか?」


「惚れたからじゃ! 答えを聞こう。さぁ……」


「よくわかんないんすけど、茶くらいなら付き合いますよ。暇だし」


「おぉ! では、私とカモミールティでも飲もうではないか!」


「カモミール? ず、ずいぶんシャレてますね……飲んだトキないな」


「カモミールを知らぬのか? 我が祖国ロシアの花ぞ」


「ロシアから来たんですね~あ、俺はミツルっす! じゃ、行きますか、アルビナさん」


 ミツル……しかと覚えたぞ。あわよくばこの者と燃え滾る様な恋をしてみたいものじゃな。


「で、何で俺なんすか? 他にもいっぱい男いますよ」


「勘じゃ」


「勘ですか……てか、その変な言葉はなんすか?」


「貴様はジャパニーズだろう? ナゼ侍言葉を知らぬのか」


「い、いや、普通は使わないんで。ま、何か面白いっすけど」


 そう言うとミツルは笑顔を見せた。これは脈アリという奴なのか?


「して、ミツル、ワタシと付き合ってはくれないか?」


「急っすね! いや、無理っす!! ロシアに帰るんすよね?」


「ウム。長くは居れぬのでな……それでは駄目なのか? 善は急げと言うではないか」


「何か意味が違うような……あのですね、俺、すでにいるんすよ彼女。なので、俺では無理っす」


「な、なんと! せっかくこうして触れ合いを持てたというに……最初から負けていたというのか」


 くっ……すでに勝負は決していたということか。じゃが、ワタシはその逆境を乗り越えてカレシを得てみたい。そして祖国へ来てほしいものだ。


「いやーカモミールって案外、美味しいもんなんすね。彼女にも勧めてみます! じゃ、俺は行きますね」


「あ、あぁ……さらばじゃ、ミツル」


 嗚呼……日本男児よ。ワタシに一つの光を魅せてくれたナ。よかろう……かくなる上は、祖国を脱して日本で耐え忍び、愛しの男を得て見せようぞ……サムライ――我が愛しの男に出逢うその日まで

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