早過ぎたアプリコット
早すぎたアプリコット
年末年始になると、家族や親せきが集まって沢山の料理や飲み物が出てくる。わたしはお父さんやお兄ちゃんが美味しそうに飲んでいるお酒をいつも物欲しそうに眺めていた。
「杏にはまだ早すぎるな。それを飲むにはもうちっと、成長しないとな」
「だな。わが娘は早くからアルコールに興味津々てなところだが、お兄ちゃんの言う通り、もう少し大人になる必要があるな。今は我慢しなさい。そのうちイヤでも飲むんだから」
2人してわたしを子ども扱いして! 今に見ていなさい! 20歳になったらすぐにバーに行ってカクテルを嗜むんだから。
2年後――
あっという間に成人式を迎え、とうとう待ちに待ったお酒解禁! 別に18の時でも飲めたけど、一応、父や兄の言いつけは守っていた。
成人式に集まった元同じクラスの何人かで、流れで酒を飲みに行くことになった。初めはカラオケに行って、そこでは軽くチューハイとか飲んだけど何だか甘かったし、全然酔わなかった。
なんだ~余裕じゃない! そしてその流れで、人数を減らして男女2対3でバーに行ってみようということになった。軽めのチューハイを数杯飲んですっかりと気分を良くしたわたしは、名前をすっかり忘れた男の子たちとバーへ歩き出した。
『ん? あれは杏か……? まさかあいつ、あの連中とバーに行くのか? しょうのない妹だな』
入ったことも無いバーは、ドラマとは違った雰囲気と作りだった。ここでならいい感じに酔えそうな気がする。そう思いながら、杏の入ったカクテルを頼んでみる。そして――
「杏はだいぶ、変わったよな」
「だな。いい感じに酔ってんじゃん!」
「ほえ~? 全然っっまだまだぁ~イケルもん」
「じゃあ、もっとイイ所に行くか」
「そうするか。杏、俺らと一緒に行くよな?」
「ん~? いく~」
何が何やら分からないまま、顔中が火照り、外へ出たと思ったらどこかへ行くみたいで、ふたりの男子がわたしの手を引っ張っている。
「どこいくのぉ~?」
「いいところだ」
「待ってな。すぐだから」
「はぁ~~い」
なんて気持ちよく返事をしていたら、突然腰の辺りを手で引き寄せられて、よくよく顔を見たらお兄ちゃんだった。
「おい……お前ら、杏をどこへ連れて行こうとしてた?」
「何だお前?」
「っざけんな、こら」
『あ? やんのか……俺の妹に手ぇ出したらお前ら、この辺歩けなくするぞ。いいのか?』
「……く」
「こいつ、何かやべえ」
『へ、ガキが……』
「あれ~? お兄ちゃんだ。どうしたの~?」
「ははっ、だから早すぎって言ったんだよ。杏、お前まだ酒を飲むには早すぎる。放っておけないぞ、全く」
「お兄ちゃん、大好き~えへへ」
「……ったく、しょうがねえな。杏は恋も、お酒も早すぎたんだよ。だから、今は俺の姿を見るだけで我慢しとけ。って、まぁ、俺も妹離れしないと彼女出来ねえよな……」




