第二話 守られた日常と捨てた日常
僕はいつも通りの日常を過ごした。母親に起こされ、ご飯を食べたら学校へ。つまらない授業を受け、くだらないことを友達と話し合う。放課後はまっすぐ家に帰り、パソコンをカタカタする。
「今日は久しぶりに平和な日だな~。すっきりしたし、何しようかな。」
いつもならクラスのヤンキーの岩田にお金を巻き上げられないように必死だったけど、あいつはもう学校には来れなそうだ。
ピンポーン。
インターホンの音が、僕以外だれもいないこの家に鳴り響いた。
(最近ネットで買ったゲームが来たのかな?)そう思い玄関へむかった。
「本田さーん。お荷物お届けに参りましたー。」
ドア越しに姿を確認し、返事をしながら僕はドアを開けた。
~前日~
「おっさん、あんたは一体だれなんだ?」
言葉を選ぶ余裕もなくおれはその男に言い放った。だが男は質問には答えようとしない。歳は40代半ばに見えるが無愛想過ぎて、もっと老けて見える。モナ・リザぐらいの微笑みを見せたらどうだ!と心の中で叫んだ。
「今は知らなくていい。」
淡々と低い声でそう言うと、その男はおもむろにストッキングたちを差し出した。この絵面を傍から見たら相当理解不能だろう。すぐに受け取りカバンへしまった。その間に、男はどこかへいなくなっていた。
色々疲れてしまった俺は、家へ帰った。明日に備えて今日ははやく寝るとするか…。あの男はいったい誰だったのか。俺の周りでなにかが確実に動き始めている。それがなんなのかは全くわからないが。