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0の刻印【第一部・すべての始り】  作者: やまかわ まよ
第2話【私以外に、誰が】
9/76

2-2

恐怖が抑えきれず声をあげそうになるが、琴子は必死でそれを堪えた。

存在があやふやなもののために周りを惑わせたくなかったし、また彼女自身自分の目に自信を持てていなかったのだ。

『それ』の中で何かが蠢いた。

目を逸らしたいと願うが、彼女の頭は誰かが押さえつけているかのように動いてくれない。

黒い板からにゅっと何かが飛び出す。

人の足のように見えた。


声にならない叫びをあげる琴子。


「どうした?酷いようだったら保健室に行って寝てきてもいいぞ?」


心配気に声をかける担任に、彼女は震える手で窓の外を指差す。

もう既に半身が覗いていた。


「ん?なんだあれ……?」


永谷が不審気に眉をひそめ、『それ』のある場所を見る。

のぞいている身体は彼にも見えるらしく、琴子は場違いとわかりながらも少しほっとした。


ついに、その人のようなものが校庭に全身を曝け出した。

永谷の様子に、亮や一眞たちも窓から外を覗く。


「誰だろう……不審者かな」


「まじで?やばいじゃん」


「さっきまで誰もいなかったのに……」


永谷だけではなくその姿は全員に見えているようで、他の教室からもざわめきが聞こえてきた。

姿は人間と同じ様に見える。

かなり大柄な、男のようだ。

しかしその存在はどこか異様で。



***


男が巨体をうーんと空へ伸ばす。

ごき、と太い首と、岩のように盛り上がった肩を鳴らした。


「あー、狭かった……」


さて、と満足気に辺りを見渡す男。


「ウォーミングアップといきますか」


口周りを覆う真っ黒な髭から大きな歯をぞろりとのぞかせ、男は唇の両端をつりあげた。


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