7/76
1-6
「もうカエルの歌の輪唱でもする?」
「あー、いいかもなそれ」
「たしかに。めっちゃ美声で歌えばなんとか」
「俺そんなに歌得意じゃないんだけど」
「じゃあ響は指揮やれよ」
亮の案に思わず笑ってしまった琴子だったが、他の友人達はやる気になったようでとんとん拍子に役割分担がされていく。
ああ、と彼女は物憂げに窓の外を見た。
(地震か何かこないかな。宇宙人や不審者襲来、とか)
突拍子もないことを考え出す琴子の頭。
それくらい、彼女にとって朝の集会の発表というのは憂鬱なものだった。
しかし、この時安易に非日常を夢想したことを、後に琴子はひどく後悔することになる。




