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0の刻印【第一部・すべての始り】  作者: やまかわ まよ
第5話【鮮緑の豪腕と共に】
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5-18

「いつからだ……!」


「え……」


「いつからその妙な力を使えるようになった!? 答えろ!!」


少ししわがれた低い声で、永谷は彼の身体を揺さぶり続ける。

喉の奥に指を突っ込まれたかのように、響は言葉に詰まった。乾いた唇を舐め、懸命に声を絞り出す。


「お、俺は……一週間前くらいから……」


愕然とした永谷は、大きく眼鏡の奥の目を見開いた。

予想だにしなかった事実に喘ぐような呼吸を繰り返す。

胸倉を掴んでいた手を離し、冷静さを保とうと自らの髪の毛を引っ張った。

そして何かに気づいたようにはっと顔を上げる。


「おい……『俺は』って言ったな? てことは、お前だけじゃないのか? そうなのか?」


重苦しい沈黙が、辺りを包む。

永谷は全てを悟り、近くの机に拳を叩きつけた。骨が砕けてしまいそうな勢いだったが、痛みなど微塵も感じなかった。


小刻みに震えている大きな背中を、琴子はただ見つめ続ける。

寄り添い、身体を支えるべきなのかもしれない。

だが、今の永谷の顔を見てはいけない気がした。

呼吸すらもままならないような空間で、ポトスたちだけが水分を求め身体をしならせていた。


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