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「話したらすっきりしたよ。
ありがとう、僕の言うこと信じてくれて」
最初の偽りの微笑みとは明らかに違う表情の親友に亮はほっと胸をなでおろし、そしてわずかに耳を赤くしてこう言った。
「今度からはちゃんと、相談しろよな」
こくりと嬉しそうに頷き、お菓子でも出すねと戸棚に手を伸ばす一眞。そして自室へ亮のことを促した。
床に腰を下ろし、亮は早速スナック菓子に手を伸ばす。
「じゃあ次は亮の番だね」
「えっ?」
ぱりっと音を立ててかじられたスナック菓子が、亮の口から零れ落ちた。
あーもう、とティッシュペーパーで一眞がそれを拾う。
「僕に何か話したいことがあるんじゃなかったの? それも、勉強とかそういういつもの感じじゃない話」
「そう、だけど……なんで……」
不思議そうな顔で聞く亮に、自分もお菓子をぱりぱりと食べながら一眞はこともなげに言った。
「だって、僕の家に来ようとした途中で竜巻を見たんでしょ? てことは用事があったってことだ。そしてそのあと亮は『お前にまで何かあったんじゃないかって思って』って言った。
『お前にまで』ってことは、ここに来る前に亮になにか変なことが起こったんじゃないか思ったんだ。
いきなり家に竜巻が現れるレベルの、おかしなことがね。それを話したかったんだと思ったけど、ちがう?」
いつの間にかぽかんとあいていた口に気が付き、あわてて亮はそれを閉じた。
あんなに不安げな顔をしていながらそこまで考えていたのかと、彼の頭の回転の速さに舌を巻いた。
(そうだ……俺、一眞に相談したくて……)
本来の目的を思い出すも、鏡に映った自分の姿が頭をよぎり言葉にすることを躊躇させる。
一眞なら自分の言葉を疑わないでいてくれるだろう。
だが、あの異様な姿を見ても、彼は自分を見る目を変えずにいてくれるのだろうか。




