4-11
なんて女々しいことを言っているんだとわかりながらも、堰きだす言葉は止まらない。
「なんでそうやって一人で解決しようとするんだ? 下手な嘘なんかついて、なんで相談してくれないんだよ」
(俺は、真っ先にお前の顔が浮かんだのに)
口元までせり上がってきた言葉を飲みこみ、亮は唇を噛んだ。
一眞は目を丸くして目の前の親友を見つめる。
「俺じゃ何の役にも立たないかもしれない。でも俺は、お前の言うことを疑ったりなんか絶対にしないよ。変な嘘をつくような奴じゃないって知ってるし、だから……」
「亮、ありがとう」
優しく言葉を遮り、一眞は照れたように少し笑った。
「隠すつもりはなかったんだ。けど亮の言う通り、信じてもらえないと思ってさ……。
僕自身、さっき起こったことが信じられなくて……」
そうして自分の二の腕をさすりながら、一眞は話し始めた。
空気の渦が生まれる前に自分がしていたこと。なんとかして竜巻を消そうと取った行動と、その結果。
そして、おそらくは風の動きが見えるようになっているという事。
「じゃああの竜巻は、一眞が出したものかもしれないってことか?」
眉を顰めて言う亮に、一眞は思い詰めた表情で弱々しくかぶりを振った。
「たぶん……。確信は持てないけど。
確かめようにも、もう一度試すわけにはいかないし……」
不安が抑えきれなくなったのか自分の爪をがりっと噛む一眞を、亮は労わるように見つめた。
自分の意図せずして突然起こった変化というのは、恐ろしいものだ。それが人を傷つけてしまう可能性のあるものだったら、尚更。
今の彼にはそれが痛いほどわかった。
「風が見えるっていうのは、どんな感じなの? 実体があるわけ?」
少しでも軽めな話題にしようと亮が尋ねると、一眞は難しい顔で髪をかきあげる。
「説明するのは難しいんだけど…
例えばさ、透明人間が出てくる映画、あるでしょ? 『F4』みたいな。あれ、視聴者側には透明人間の動きが見えたりするシーンがあるじゃない。見え方としてはあんな感じなんだ」
わかったような、わからないような複雑な顔で頷く亮。イメージしようと目を瞑った彼を見て、一眞はくつりと頬を緩めた。




