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0の刻印【第一部・すべての始り】  作者: やまかわ まよ
第2話【私以外に、誰が】
16/76

2-9

「あ……先生、藤先生は?」


その名前を聞いた途端、さっと永谷の顔が曇る。琴子はその変化に最悪の事態を想像し、ぎゅっと担任の服を掴んだ。


「まさか……」


「いや、息はある。意識もある。今のところはな。一応止血はしたが、あれじゃ間に合わない……意識が残ってるのが不思議なくらいなんだ。

すごい人だよ、本当に。でも……」


厳しい顔と低い声で続ける永谷。


「覚悟をしたほうがいいかもしれない」


その言葉をちょうど言い終わる頃、2人は体育館の前に到着した。

永谷はそっと琴子のことをおろし、まだふらつく彼女の身体を支えた。琴子は床を踏みしめ、脚の筋肉がなんとか思うように動くことを確認する。


「みんな中にいるはずだ。疲れているなら無理にここにいなくてもいいんだぞ」


「ううん、大丈夫。1人でいたくないんです」


そう呟くように言う彼女の横顔を見つめ、永谷はぎゅっと唇を引き結び体育館のドアに手をかけた。ギイィ、と蝶番が音を立てる。

受け入れたくない現実に泣き出しそうになった琴子はそれを堪え、中へと足を踏み入れた。


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