雲の上
はい、皆さんおはようございます。それでは今日のホームルームを始めたいと思います。今日はですね、以前話した話の続きと言いますか、別の話をしたいと思います。覚えてますか、半年ほど前に話した話なのですが。
そうですか、嬉しいですね。別にテストに出るでもないと言って話したんですが、それでも覚えててくれるなんて。
それでですね、今日はそのレウレラ・ヒュームという詩人から聞いた別の話をしたいと思います。もちろんですね、今回もテストには出ませんし、うつらうつらしてしまったら眠ってもらっても構いません。ですが、やっぱり聞いて欲しいお話です。というのもですね、案外こういった授業とは関係ない話の方が皆さんの記憶に残りやすいと言うこともありますし、これがこれでやはり結構大事な事だったりするんです。
ああ、すいません。また脱線してますね、それではお話を始めたいと思います。前回はレウレラ・ヒュームが大和国という極東の国へと赴いたときの話をしたのですが、今回はその前、つまり中津国へと行ったときに彼が聞いた話をしたいと思うのです。そうですね、彼が中津国へと行ったのは季節的にはちょうど今ごろの、これからが暑い季節だったとのことです。ただ、彼が言うにはこれはたくさんある逸話の一つの形に過ぎず、聞いた話をまとめると要はこういった話になるというのを彼なりにまとめたものなんです。つまり、もちろん中津国と国語が違うわけですから物語を理解するのに時間がかかったと言うことなんですね。
ああ、すいませんすいません。どうも先生は話が横にそれるくせがるようでして、なかなか本題へと入れませんね。はい、それでは今から始めます。
それは今となってはもう昔の話だとのことです。
ある村に元気な少年と、おとなし目な少女がいました。彼らは皆さんと同じくらいの年の子供たちですから、みんな外で元気よく遊んでいました。ええ、その日もやっぱりみんな外で遊んでいたんです。
少年はあるグループのリーダーでした。大人たちからはいたずらが過ぎると言われていましたが、まあ子供のすることですからと大目に見られていた部分があったそうです。それで少年はいつものようにみんなを連れて走り回っていたわけですが、あるとき同じくらいの年頃なのに家から出てこない子を見つけました。それが最初に紹介した少女なのですが、開いた窓から少年たちが走り回ってるのをただ見ているだけなんです。
「あれは誰だ?」
少年が近くにいた子に訪ねました。
「ほら、こないだ越してきた子だよ。名前は知らないけど、父ちゃんが祈さんと呼んでたよ」
「何で出てこないんだ?」
「そんなこと知らないよ」
「よしお前、ちょっと誘って来い」
少年はリーダーらしく1人を指名しました。何気ないことですが、きっと少年は少女が一緒に遊びたいのだろうと思ったのでしょう。
「えー」
「行けったら行ってこい!」
その1人はしぶしぶとその家へと行きました。それで戸口ごしに誰かと話すと、またとぼとぼと帰ってきたのです。
ぽかっと少年がその1人の頭を叩きました。
「お母さんが出てきて断られた」
「何で?」
「知らないよ」
少年は今度は自分が行くと言って、勇んで戸口へと向かいました。それからとんとんと戸を叩くと、同じようにその少女のお母さんが出てきました。
「はい」
お母さんはとても礼儀正しく、少年に優しく答えました。
「一緒に遊ばないかって、思って」
少年は自分で言いながら結構照れていました。
「わざわざありがとうね、でもうちの子はちょっと、ね」
「何で?」
お母さんは困ったような顔をしました。
「窓からずっとこっち見てたし、きっと一緒に遊びたいんだよ」
「そうね、そうかもしれないわ」
そこでしばらく間をおくと、お母さんは悲しそうな目をしました。
「でも無理なのよ、うちの子は」
結局少年は理由も分からず引き下がらずを得ませんでした。それから一日の遊びはなんとも味気ないものでした。
それで、夜も暗くなり始めてみんなと別れてから、彼はもう一度祈さんの家へと向かいました。
戸口を叩くと、お昼と同様にお母さんが迎えてくれました。
「こんばんは」
「ちょっと上がってくださいな」
お母さんはそう言うと、少年を家の中へと招き入れました。
かたん、かたんと部屋の奥からは琴のように機を打つ音が聞こえていました。少年が案内されたのは、こぢんまりとした食卓でした。そこに用意されていたのは二人分の料理です。
「機女、いらっしゃい」
「はーい」
お母さんの呼びかけに奥から出てきたのは、お昼に窓から外を見ていた少女でした。少女は少年を見るとひどく驚きました。
「どうも」
「そういえば、まだ坊やの名前を聞いてなかったわね」
「犬飼空です」
「あら、でしたら猟もお得意で?」
「父が、代々」
少年は照れてしまって単語だけで会話をしていたそうです。そうこうと話している内に、いつの間にか食卓に三人分の料理が載っていました。どうぞというお母さんの促しに従って、少年は食卓につきました。
「あの、すいません、突然押しかけてしまって」
「そんなことないわ。正直嬉しいのよ、訪ねてきてくれて」
「あの、お父さん、は?」
何を話せばいいのか困った少年は、おそらくその場でしてはいけなかっただろう質問をついしてしまいました。一瞬にして機女の顔が曇ったのも分かりましたし、お母さんも急に小さく見えました。
「夫は、先の戦で」
それだけ言うと、食卓はとても暗くなりました。
「そのせいもあって、こちらに越してきたのです」
少年はなぜ食卓に二人分しか料理が用意されていなかったのか理解しました。少年はなぜ、自分と同じくらいの少女が機を織っていたのかを理解しました。
「それで、遊べないんですね」
途切れ途切れの会話は場を一層暗くしていました。
「いえ、それだけではないんです」
お母さんは機女を見やりました。
「昔から体が弱い子でして、太陽の光をどうしても肌が受け付けないんです」
「私は機を織るの好きだから」
少女は笑って言いました。
その日家に帰ると、当然少年の両親は怒りました。なんといっても夜遅かったわけですから。
「何をやってたんだ!」
そんな怒声が響きました。
「親父、お願いがある」
「あん?」
「明日から俺も働く」
「何を言ってやがるんだ」
父親は突然の少年の言動に、正直面食らいました。
「犬の扱い方を教えてくれ」
「お前、今年でいくつだ?」
「もう12だよ」
父親は母親を一度見ると、思いっきり少年の頭を叩きました。少年は痛さに頭を抑えましたが、それまで怒っていた父が急に上機嫌になったためきっとそれは承諾してくれたのだろうと解釈しました。
犬飼とは、鷹飼と一緒になって鷲を狩るときに鳥を追わせる猟犬を飼いならす一族でした。その村では当時としてはとても重要な一族でした。父はその父から、その父はそのまた父からそれを学んできました。そして、少年も父親からそれを教わろうとしたのです。
「今度の星祭はいつだ?」
父親は母親に聞きました。
「一月後よ」
「よし、それまでにみっちり仕込んでやる。今度の祭りは空が主役だ」
父親のその宣言どおり、少年は次の日から連日のように犬飼の練習をしました。そして夜には傷と筋肉痛とで苦しむのでした。
ですが、いたずらグループのリーダー、この父親の息子ということもあり、上達は目に見えるものでした。それは父親でさえも驚くほどでした。彼のグループもいきなり少年がいなくなり戸惑いがあり、最初は気でも狂ったかと揶揄していましたが、がんばっている少年の姿を見るとさすがに文句をいうものも少なくなりました。
そしてある日、父親と猟へ行ったときのことです。見事犬を操って何羽もの鳥を捕まえていましたがそこに一羽の鳥が舞い降りました。
いえ、舞い降りたというのは正しくありません。羽をどこかでけがしたのか、次第に飛ぶ力を失って墜落したと言うのがその状況を正しく表しているのでしょう。
「待て!」
父親のけん制を無視するかのように、少年はその鳥の元へと駆け寄りました。尾のとても長い真っ白なそれでいて大きな鳥でした。
やがて父親も追いつくと、腕を組んでうーんと唸りました。というのも、そんな鳥を今まで見たことがなかったからです。
「これは食べられるのか?」
「何言ってんだよ、けがしてるじゃないか。手当てをするのが先決だよ」
「おいおい、俺たちはこれを生業としてんだぞ」
「それはそれ、手負いをしとめたって嬉しくないよ」
父親としては少年の優しさを褒めるべきか、甘さを叱るべきか悩む選択でしたが、その日の収穫が充分に上がっていたために見逃すことに決めました。
「好きにしろ。俺は先に帰ってる。遅くなる前に帰ってこいよ」
少年はその白鳥を抱き上げるとどこへ連れて行けばいいかとしばらく悩みました。
それで自然と彼の足は機女がいる家へと向かっていました。理由は分かりません。
「いらっしゃい」
前と同じようにお母さんが迎えてくれました。それは白鳥を見ても同じでしたし、白鳥を一緒に家の中へと導きました。
「最近どうしたの? 機女が遊んでないって言ってるわよ」
「おかーさん!」
その声が聞こえたのか、機女が奥の部屋から出てきました。
「余計なこと言わないでよ」
そんな様子の機女をお母さんは軽く笑いました。
「こんばんは。最近は親父と一緒に犬飼の仕事手伝うようになって」
「あら、偉いわね」
会話をしながら、お母さんに促されるままに少年は白鳥を床に置いた。
「そうだ、今度この村で祭りがあるんだ。星祭っていう、すごい楽しい祭りなんだ」
白鳥のけがを見ていたお母さんが、興味を示して少年を見ました。
「夜の祭りだし、その、よかったら一緒に来ないかな?」
「あらいいじゃない、行ってらっしゃいよ」
お母さんは不安そうに彼女を見ていた娘に優しく言いました。
「うん。楽しみにしてる」
少女は笑いました。
「よし、これでもう大丈夫。3日もすれば元気に羽ばたけるわ」
少年のあわただしい日々は以前変わらず、あっという間に星祭の日になりました。夜、日が落ちると、その日は近年まれに見るほどの晴天でした。突き抜けるほどに高い空には、星たちが無数に散らばっていました。
「こんばんは!」
少年が元気に機女の戸を叩くと、同じくらい元気に少女が出てきました。
「こんばんは」
二人ともいつもより着飾っており、幾分大人に見えました。
「それじゃあ、機女をよろしくね」
「はい」
「行ってきます」
少年は少女の手を取ると、村の中心にある広場へと向かいました。
二人がついたとき、星祭の最初はすでに始まっていました。広場の真ん中に大きな火を焚き、村長の演説が続いています。
「この話がなければ、この祭りは最高なんだよね」
などと少年が言っているうちに、その演説は終わりました。あとは各種の出し物や、踊りやら、楽しいものばかりです。
「すごい人だね」
「村中の人だからね。それに、近くの村から来てる人もいるんだよ」
なぜか少年は自慢げに答えました。その様子が面白かったのか、少女はくすりと笑いました。
「空ー」
懐かしいグループ連中が少年を見つけて駆けつけて来ました。でも、少年と一緒にいる少女を見ると、みんな一瞬立ち止まります。
「機女ちゃん。ほら、祈さんとこの子だよ」
とりあえず少女を紹介すると、今度はグループの1人が二人の手を指差しました。そこはしっかりと握られていたものですから、それは話題の対象となりました。
「あーらま、そういうことだったのね」
「いや、みなまで言わんでいい、俺たちは仲間だ」
「ば、馬鹿なこと言ってんじゃない」
とっさに少年は手を離すと、グループを睨みつけました。
「はいはい」
「とりあえず、親父とかには言うなよ」
「はいはい」
グループ連中との会話も中途半端にして、祭りの人並みに飲まれ彼らは別れました。それから少年はもう一度少女の手を握ると言いました。
「ごめんな、あいつらいい奴なんだけどさ」
「ううん」
二人は互いに離れ離れにならないようにと、互いをしっかりと握り合っていました。それから少年はうまく人並みを掻き分けるように進むと、高台がある近くまで来ました。
二本の燭台が立ち、そこに今司会している少年の父親が立っていました。
「見ててな、ここから俺主役だから」
少年は言うと、少女の手を離して高台を駆け上りました。
「おっと、遅い到着になりましたが紹介させていただきます」
少年の頭を鷲づかみにすると、父親はくるりと少年の向きを変えて村人に紹介を始めました。
「うちの馬鹿せがれ、空です。今日の鳥取りの儀はうちの息子にやってもらうことになります」
盛大な拍手が起こりました。さすがに少年の顔が緊張します。
「まあ、失敗するだろうが大目に見てやってくれ」
などと隣りで冷やかす父親を睨みあげると、少年は燃え上がる火を見ました。
鳥取りの儀とは、一年の収穫を願う儀式のことです。代々犬飼家のものが、祭りの最中に犬を使って鳥を捕らえるのが慣わしでして、昔は外で本当の鳥を捕まえに行ったのですが、今では広場で行うことになっています。
事前に捕らえた鳥を一羽、足に長い紐を結び付けて広場に放すのです。それを祭りの最中に捕まえること、それができれば今年一年の猟は安泰と言うわけでして、ただ、今までに失敗したことがない儀式でもありました。
会場はすごい熱気に覆われていました。
「いつもどおりやって来い」
父親は少年の肩に手を置くと、少年にだけ聞こえるほどの声で言いました。
「行くぞ!」
少年が叫んで高台から飛び降りると、どこからともなく彼の犬が現れました。息も呼吸もぴったりの、この一ヶ月ずっと一緒に走り回った犬です。
燃え盛る火の元に一羽の鳥が放たれました。
と、同時に数十頭の犬が群衆の間から現れました。
「え?」
少年が驚いていると、犬たちはいきなり暴れ始めます。何事か理解しようとすると、少年と目が合ったのは彼のグループの仲間たちでした。
犬の鳴き声に鳥が強く羽ばたきました。
あとは散々な状況でした。
少年と、その父親は事態を収拾しようと犬をなだめて回りましたが、一頭をなだめている間に別の一頭が暴れると言う始末です。
ようやく落ち着いてきた頃、少年の犬が目的の鳥を捕らえました。別に少年が意図したわけではないが、とりあえずそれを見届けると少年は高台側へと走りました。
機女が心配だったからです。
ですが高台の側に少女の姿はありませんでした。
少年は辺りをとにかく走りましたが、どこにも少女を見つけられません。
それでも少年は走り続けました。
そんな中、少年はあることに気がつきました。彼のいたずらグループの連中もまた見つけられないのです。悪い予感がしました。
少年がいたずらグループのリーダーだった頃、よく言っていました。本当の目的のために、別の騒ぎを起すのが面白いんだと。
少女を連れ出すために、犬を暴れさせるのが面白い。
悪い考えばかりが少年を襲います。
少年の焦りとは無関係のところで、祭りは終わりを告げました。全ての儀が終わり、結果的に成功し、あとは夜が更けるのを待つだけとなりました。
「はぁはぁ」
少年がさすがに疲れて休もうと思い、群集から離れた木立の側に立ちました。
そのとき、少年の目が空を羽ばたく白い鳥を捉えました。
長い尾をした、おそらく彼が以前助けた白鳥です。その鳥は、まっすぐ少年の目の前に来ると、すぐにきびすをかえして再び羽ばたきました。
なぜか少年は、その白鳥が少女の下へ導いてくれると思いました。
いえ、実際そうだったのです。
白鳥は少女の下へと飛びました。
そこは村はずれの、川の反対岸でした。
流れは速くないですが、少年はその川の深さを知っていました。そして、少年が泳いで渡れる距離じゃないことも。
「俺たちのいたずらはどうだった?」
少女の脇に、いたずらグループの新しいリーダーが立っていました。
「デビューにしては上出来だっただろ!」
「まあまあかな。さあ、もういいだろ、彼女を返してくれ」
少女ががくがくと震えているのは、少年の目からも分かりました。おそらく水につかったせいだと思われます。
「そんなことはこっちの岸に来てから言えよな」
リーダーはそう怒鳴ると、自分は犬にまたがって悠然とその川を渡りました。
「犬飼も俺のが似合うんじゃないか」
少年の肩に手を置くと、リーダーはそう呟きました。
「お前がやめなくても、俺はこの祭りの日に俺の実力を見せ付ける気だったんだ。でも、充分に俺のすごさが分かったろ。俺たちのグループは不滅だよ、先輩」
少年は何も言えませんでした。それは今まで自分がリーダーであり、同様のことをしてきたからでもありました。
「犬飼をいたずらに使うな」
怖い怖いとリーダーは肩をすくめると、夜の闇に消えていきました。
とにかく、今はそんなことを気にしている場合ではありません。目の前で少女が倒れてしまったのです。もともと病弱だったわけですから、これは体にこたえたのでしょう。
「機女!」
少年は叫びましたが、返事はありません。もう一度川を見ました。流れは速くなく、川面には無数の星が映っていました。
晴れていたから、なんとか川を見ることができました。
ですが、もし曇っていたとしたら、真っ暗だったでしょう。川面には何も映らなかったでしょう。
そして白鳥も少年を見つけることはできなかったでしょう。少女の居場所を見つけることもできなかったでしょう。
白鳥が少年の肩に舞い降りました。
両の足がしっかりと少年の肩を掴んでいます。
少年は驚きました。
声も出せませんでした。
ええ、それは信じられないような光景でした。
白鳥が少年を抱えて川を渡ったのです。
ああ、残念ですね。ホームルームの時間がもう終わってしまいます。みなさん、この続きは想像してください。何か質問はありますか?
「先生」
はい。
「信じられない光景でしたと言ってますけど、そのシーンを一体誰が見たんですか?」
はっはっは。そうですね。その場に居合わせたのは犬飼くんと機女ちゃんと白鳥だけでしたからね。ずっと伝わってきた話を、ですからレウレラ・ヒュームがまとめただけなんです。それも、この話自体いくつもの逸話が残っていますから。もしかしたらみなさんは違う話をよく知っているかもしれません。
「他の話ってどういう話ですか?」
それを話し出しましたら、また一時間経ってしまいますよ。そうですね、星祭とその村では呼んでいましたが、この出来事が起きてからは銀河祭とも棚機祭とも呼ばれるようになりました。そして、このお話は星座にもなったんですよ。皆さんよくご存知でしょう、七夕のお話です。
織姫と彦星のお話です。織姫とは機女のことですし、彦星とは犬飼のことなんです。晴れていないと出会えないなんて哀しいですよね。ですが、晴れているから二人は出会うことができるんですよ。
他に何か質問はありますか?
はい、では最後にこのお話についてレウレラ・ヒュームが詠んだ詩があります。最後にこちらを紹介して今日のホームルームを終わろうと思います。
雲の上
空分かつ星の道
無数の光が織り成す流れ
それが天の川
二人を分ける空の川
機織る乙女は青く輝く
琴をかき鳴らす様に機を織り
犬飼う少年は白く輝く
鷲を追って走り回る
二人を結ぶ星は白鳥
天に巨大な三角を描き
七夕の夜を彩る
二人を結ぶ星は白鳥
空澄み渡る晴れた日に
星祭の夜に
二人は白鳥に導かれ
二人は出会う
雲覆う日は暗く
天の川はその光を失い見えず。
されど
雲の上はいつも晴れ
おしまい。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「よかった」
「ありがとう」
「ほんとに」
「ねえ」
「何?」
「星祭って楽しいね」




