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 番外編:ちきんふぁいと

 軍鶏(しゃも)が羽ばたいた。


 軍鶏の頭上から、迫る影。空高く舞い上がった鳥骨鶏(うこっけい)が、軍鶏に襲いかかってきたのだ。


 鳥骨鶏は軍鶏の脳天めがけて、5本の足の爪を振り下ろす。鶏の足の指の数は、4本だ。しかし鳥骨鶏だけは、5本もある。単純計算にして、威力は1.25倍も違うことになるだろう。


 その鋭い蹴撃を、軍鶏は羽ばたきひとつで後ろに翔んで、ひらりとかわす。余裕のある回避だ。


 ダンッ!!


 激しい音を立てて、鳥骨鶏は着地した。砂ぼこりが宙に舞う。鳥骨鶏の爪は軍鶏にかすることもなく、ただ地面にその跡を刻むだけだけだった。


「その程度か、若造」


 軍鶏は言った。しゃがれ声だ。 その顔には、歳の数だけ(しわ)が刻まれている。


「――っ」


 その言葉で鶏冠(とさか)に来た鳥骨鶏は、地団駄を踏んだ。いや、地団駄を踏まされたとでも言うべきか。攻撃が空振りしたせいで、地面には立派な足跡がついているのだから。


 鳥骨鶏は、軍鶏を射殺さんばかりに(にら)みつけると、怒りに任せて飛びかかる。両の翼を大きく広げて、バサバサと羽ばたきながらの全速力だ。


 しかし、これもまた避けられる。その首に食らいこうと黒い(くちばし)を伸ばすも、届かない。


 軍鶏は、片翼で鳥骨鶏の頭を押さえつけるように、横から払いのけて回避した。鍛え上げた翼の筋力と、それを包む羽毛がうまく衝撃を和らげたからこそ、できる芸当だ。


 視界を遮られた上、重心までもが崩れた鳥骨鶏は、たたらを踏んで、地面に倒れた。


 整地されているが、踏み固められたわけではない地面がクッションとなって、肉体的なダメージはあまりないが、軍鶏にいいようにあしらわれている事実が、精神的にダメージを負わせた。あとそれと、ご自慢の艶やか毛並みが、砂まみれになったのも原因である。


 そんな馬鹿な、と鳥骨鶏は思った。


 鶏は「飛べない鳥」の中でも、「飛べる鳥」に限りなく近い存在であるため、エリート扱いされている。その鶏の中でも、希少な存在である鳥骨鶏は、エリート中のエリートな存在だと言える。これは、鶏業界の常識だ。基本だ。当たり前である。


 その、スーパーエリートの自分が闘っているにも関わらず、こうも無様な姿を見せねばならんのだ、と。


 まあ、鳥骨鶏がスーパーエリートならば、軍鶏は武士(もののふ)である。その発祥は江戸時代だと言われており、持ち前の闘争心と武士道が化学反応を起こし、一匹の武士(もののふ)となったのだ。しかも、ある国の天然記念物に指定されているのだから、希少性も負けてはいない。


 そのことを、鳥骨鶏は知らない。軍鶏だけでなく、それ以外の鶏も、飛べない鳥全般は全て自分達の下に位置するのだと、信じて疑わないのだから、知らなくて当然だった。




 軍鶏は、決闘場(リング)に倒れる鳥骨鶏を油断なく見つめながら、考えていた。どうしてこうなったんだ、と。


 普段、何かと突っかかってくる嫌味な鳥骨鶏。それと、またどうして決闘(チキンファイト)をするはめになったのやら。世の中不思議なことだらけである。


 整地した地面に、4本の杭を打ちつけて、その周りを荒縄で囲っただけの、みすぼらしい決闘場(リング)。しかし、自負達にとっては、なによりも神聖な場所。


 その神聖なる場所で、互いの誇りを賭けて闘っていると言えば聞こえはいいが、実際は玄人と素人との私闘(けんか)だ。大人と子供ほど実力に違いがあったのだ。決闘(チキンファイト)をふっかけてきたのはあちらだが、それを受けたのは自分なのだ、本気で闘うべきなのだろうが……こうも実力に開きがあるとは思ってもいなかった軍鶏である。


 いったいどうしたもんか、と軍鶏は小さくため息を吐いた。ついでに作者もため息を吐いた。ああ、本編のコメディ調はいったい何処へ消えたのだ、と。


 鳥骨鶏が、ぴくりと動く。軍鶏のため息が、鳥骨鶏の耳に届いたからだ。


(……な、なめられている……?)


 そのため息が、自分を見下すものだと、鳥骨鶏は思った。実際、地面に倒れている鳥骨鶏と、地面に立っている軍鶏とは視点の高低差があるため、自ずとその視線が見下されてしまうのだが。


 鳥骨鶏のプライドは、そんな事実ですらも受け止められない。馬鹿にされているのだとしか、思えないのだ。プライドが高いのも問題である。


「――れを」


 鳥骨鶏は器用に両翼で支えながら、体中から力を振り絞るように立ち上がる。


「――我を、見下すなぁああああっ!!」


 そして、鋭く尖った己の獲物を軍鶏に向かって突き出した。それは、後先を考えない捨て身の一撃。


 黒光りする(くちばし)が、今まで以上の気迫と力を持って、軍鶏へと差し迫る。このまま何もしなければ、数秒後には、(くちばし)は軍鶏の心臓を貫いただろう。


「――甘いわっ」


 だがしかし、現実は甘くはなかった。


 軍鶏は後ろに飛び退いて、僅かな距離と時間を稼ぐと、タイミングを合わせて飛び上がり、鳥骨鶏の横っ面に回し蹴りを浴びせた。


 勝敗は、決した。


 カンカンカーンッ!!


 審判の(ゴング)決闘場(リング)に鳴り響く。かくして、決闘(チキンファイト)は軍鶏の勝利で幕を閉じるのであった。






なんだか作風がおかしくなってしまった。ただでさえこの作品、普段の文章とは違う句読点や改行の位置なのに、調子が崩れてよくわからなくなっちゃいましてねー。それにもう眠くて眠くて……。


書き直すのも難しいので、もうこのまま出しちゃいましたが。やはり、思いついたその時に書かないと厳しいですねー。おかげで使いたかった鶏ネタ、使えませんでしたし。


ちなみに使えなかったネタは「眼球運動が出来ないので、常に首を前後左右に振っている」「チキンファイトでは足にナイフつけて戦わせることもある」「鶏の頭は見た目がアレで食べられないが、大型動物の餌として利用されている(犬用に頭の水煮缶詰が市販されてる)」あたり。




まあ、本編は今まで書いたの見てテンポを戻しましょう。最終話になりますし。しっかりコメディチックにしなければ!!

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