断捨離(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「古本」です。
律子は私生活でもスチャラカなOLである。
今日は有給休暇をとり、恋人の藤崎とデートに行く事になっている。
「毎日が有給休暇と同じくせに」
同僚の香が強烈な嫌味を言ったが、律子は全然動じなかった。
そんじょそこらのスチャラカOLとは違うのである。
律子は身支度を整えて藤崎を待った。
その時、彼女は整理した古本を束ねてあるのに気づき、ゴミ集積所に持って行った。
「断捨離もいいものね」
清々しい気分の律子である。何故かとてもいい事をしたと思った。
やがて、藤崎がやって来た。
「そう言えば、この前貸した小説、もう読み終わった?」
あっと小さく叫ぶ律子。
古本に紛れて挟んだような気がしたのだ。
大慌てで集積所に行ったが、すでに回収された後だった。
「どうしたの、りったん?」
追いかけて来た藤崎が不思議そうな顔で律子を見ている。
「あはは、何でもないよ」
笑って誤魔化す律子であった。でも、背中には嫌な汗をたっぷり掻いているのは内緒だ。
お粗末なのは言うまでもありませんね。