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惑星コーズ 宇宙軍シアー補給基地

執政官の小型シャトルが爆発してから2日後


「[home-blavo-delta]へ、こちら[home-alpha-alpha]です。認証お願いします、どうぞ」

「こちら[blavo-delta]、認証した。また話すのを楽しみにしてたよ。」


[ブラヴォー-デルタ]と呼ばれた部隊は惑星コーズの衛星軌道上から地表の補給基地を高精度カメラで覗き見ながら嬉しそうに返事をした。

コーズの静止軌道上に配備された防衛衛星群ブラヴォーに所属するアルファからインディアまでの9つの

防衛衛星は常に惑星の周囲を監視し、外敵の脅威から惑星を守る武器を満載している。

隕石をくり貫いて作られた防衛衛星内では3人1組の宇宙軍兵士が3交代で任務についている。

認証コード最初の[ホーム]はその星系の主惑星であることを意味していて、[alpha-alpha]はその惑星における宇宙軍基地司令部の使う認証コードだった


「後3日で防衛衛星勤務を交代できるんだ。早く交代して地上に戻りたいね。ホームシックで死にそうなんだ」


防衛衛星デルタのメカニックは認証を終えるや否や基地の女性オペレーターへ話しかけた。

女性オペレーターのシシリアはメカニックの嬉しそうな声を聞き、可憐な小顔に笑みを浮かべつつ話を続けた。


「帰って来たらみんなのお祝いが待ってますから頑張ってくださいね。何か足りなくなりそうな物はありますか?」


メカニックはリストを一度確認すると笑いながら答えた


「2日前の補給コンテナで全て足りているよ、特段急を要するような案件もないし、非常用コンテナまで送ってきてくれたんだからな」

「ふふっ、それはよかったです。残り3日、頑張ってくださいね」


シシリアはメカニックの返事に満足しながらも一つの疑問を感じた。


(非常用コンテナなんてここ最近はまったく送っていないはずだけど・・・シャトルの誰かが私用品を一緒に送ったのかしら・・・?)


衛星勤務になった人の為に基地勤務の誰かが補給物資に私用品を詰めたコンテナを混ぜるのは珍しいことではなかった為、シシリアはメカニックに尋ねることはしなかった。


(そろそろ次の仕事しなくちゃね、司令官が怒ると怖いし・・・)


シシリアは胸中に浮かんだ疑問を拭い去るとメカニックに別れを告げ、通信を切るとそのまま次の防衛衛星へと通信を繋いだ。






彼女が全ての防衛衛星との通信を終えて13分後、突如として彼女の画面に写る全ての防衛衛星のシグナルが消滅した。


「・・・!! 全防衛衛星のシグナルが一斉に消滅!」


シシリアが後部の司令官席に座る基地指令のベイルへと反射的に叫ぶと、彼女はベイルの命令を受ける前に防衛衛星へと呼びかけた。


「すぐに生きている映像を呼び出せ! 基地の光学センサーで衛星を探査させろ!」

「りょ、了解!!」


ベイルが大声でオペレーター達に指示をすると、呆気に取られていた他のオペレーター達もすぐさまそれぞれの画面に向き直った

5秒後に司令部前面に掲げられている大型の画面に軌道上に浮かぶ防衛衛星デルタが映し出された。

一見すると損傷は少ないが、画面が拡大されるごとに衛星が受けた被害が判明していった。

隕石をくり貫いて作られた頑強な衛星は内部からの強烈な爆発によって内部の施設構造はぐしゃぐしゃに破壊され、衛星に埋め込むように取り付けられた対艦ミサイル発射機のあった部分にはぽっかりと大きな孔が空いていた。

シャトルからの補給品を搬入する為の搬入口には頑丈に作られたはずの扉は既に存在せず、内部で起きた強力な爆発は施設内部を破壊し尽くすと搬入口とミサイル発射機を吹き飛ばしながら宇宙空間へ放出されたのだろう、生存者がいようはずもない。

爆発の衝撃で静止軌道を離れていく防衛衛星を、司令部の人間は呆然と見つめるしかなかった。


(敵はおろか防衛衛星を攻撃できるような距離に艦はいなかった・・・。9つの防衛衛星が一度に爆発するなんてありえない。)

(答えは一つだ。補給コンテナに爆弾を仕掛けられた。では一体どこで仕掛けられた?答えは確実、基地の内部だ)

(ならば全ての人間を基地から出すわけにはいかん!)


ベイルは黙って防衛衛星を眺めている間必死に考えを巡らせていたが、基地内部への侵入の可能性へと考えが至った瞬間、大声を張り上げた


「全てのタレット防御システムの警戒レベルを最高まであげろ!基地警備隊に全ての・・・」



シュッと背後のスライドドアが開く音によって指揮官の言葉は途中で遮られ、司令部の人間全員の視線が入ってきた作業服の男二人に注がれた。


(何故この区画に作業員がいるのだ?)


その場にいた全員が感じた疑問は彼等の手に握られている歩兵用ライフルを見た瞬間に氷解した。

「警備は・・・」

そう言いかけたベイルに反応するかのようにガチャリとライフルを構えた男達はすばやく正確にベイルに弾丸を浴びせると、物陰に隠れようとするオペレーター達に向かって次々と弾丸を発射していった。


シシリアは男達から一番遠い位置に居たが、男達の手に握られたライフルから発射された弾丸がベイルの体を引き裂いた瞬間、反射的に体を巡らし彼女の席の隣に設置されたボタンを殴るように押し込んだ。


(ここのシステムをこいつらに使わせるわけには・・)


しかし、彼女にできたのはそれだけで、次の瞬間には彼女の体を二丁のライフルから発射された十数発の弾丸がズタズタに切り裂いた。


殺戮が終わった後、基地機能のほぼ全てのシステムがプロテクトされ休眠状態に入った


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