1週間後 地球 地球政府 政府議会 ベイスン大統領
「大統領、惑星コーズの執政官が到着いたしました 、」
電話口にて担当者がそう言うと初老ではあるががっしりとした体格の大統領はゆっくりとした口調で返事をした
「ああ・・・入ってもらってくれたまえ」
電話を切って一間おくと、歴史を感じさせる木製のドアがゆっくりと開き、ひどくやつれながらも強い決意をした目の男が入ってくる。
大統領は椅子から立ち上がり執政官をソファーに迎えると彼は無言で座り大統領を見つめた。
大統領は肩越しに視線を感じながらも自らコーヒーを二人分淹れながら尋ねた
「遠路はるばるご苦労でした。しかし執政官のあなたが何故わざわざ地球まで来られたのです?」
「私が直接来たのは大統領、あなたへ直接お頼みしなければならないからです。」
「一体何を私に?」
「惑星コーズへの支払いをすぐに再開していただきたい」
執政官の強い態度とは裏腹に大統領は合点がいかないといった態度で返事をした
「どういうことだ?惑星運営への介入は私の許可が必要だが現在介入している惑星はないはずだ」
「しらを切らないで頂きたい。我々は既に何度も要請してきました。4度目には大統領へ伝えていただくように産業相に約束までして頂いたのに未だに支払いはほとんどなされておりません!」
執政官は強い口調で一息に言うと、コーヒーに口をつけた。
「私は何も聞かされていない・・・」
大統領は肩を竦めてそう答えると執政官に向きなおった
「この件は後で調べさせる。支払いもすぐに再開させよう、これは大統領命令で行う。執政官、もう少し詳しく教えてくれ」
そう答えた大統領の返事に執政官に満面の笑みが広がった。
三時間後に高速連絡艇へと戻る小型シャトルのタラップの前で見送りに出ていた大統領と執政官が最後の握手を交わした。
「大統領、あなたが大統領であられて本当に良かった。これで住民の不満も解消されるでしょう」
「私も地球政府も、君のような人材を持てて光栄に思う。帰ってからもよろしくやってくれ。」
執政官がタラップを登りシャトルの中に消えシャトルが浮き上がるのを見届けると、大統領は車に向かい、乗り込む前に肩越しにシャトルをもう一度見上げると車に乗り込んだ。
シャトル内の椅子に腰を落ち着けた執政官は一息着くと段々と離れていく地表を眺めた。
(大統領は何も知らなかった、産業相はなぜ嘘をついたんだ?とにかく、一刻も早くクリュチコフへこの朗報を伝えなければ・・・)
疲れと達成感によって思考を妨害されながらも執政官が机の端末を操作しようとした時、視界が白く爆発した。
小型シャトルが成層圏で粉々に四散した時、軌道上の高速連絡艇ではあらかじめ決められたメッセージが星系間連絡船へと送信された。
極秘扱いのメッセージを受け取った連絡船は、すぐさま惑星コーズへとスペースジャンプする準備へと入り、2時間後には太陽系から飛び去っていった。




