表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡り巡る 〜漢字の意味が世界を変える世界〜  作者: 暇な鍼灸師


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/22

第19章 初陣の反省と新たな学び



■洋館 リビング(作戦室)



『——現場の谷です。対象「風間」、確保しました』


無線からの報告を聞き、東義昭は満足げに頷いた。


「ご苦労。警察に引き渡し、そのまま身柄を拘束させろ」


通信を切ると、東は即座に手元のメモ帳にペンを走らせた。


(……対象は風と共に「隙間」を抜ける能力。通常の留置場や刑務所では、通気口一つあれば脱走される)


東の脳裏に、以前の国会で協力させた清野議員(一定空間内の能力無効化)の顔が浮かぶ。


(既存の施設では管理不能だ。……ならば、作るしかない。清野議員のような『無効化能力者』を常駐させるか、あるいはその力を科学的に再現した**『覚醒者専用収容施設パノプティコン』**をな)


東はニヤリと笑った。


「風間……。奴は、予算を分捕るための良い『サンプル』になる」


その横で、待機していたサラ・コッホと幸田美咲は、顔を見合わせて安堵のため息をついた。


「よかったぁ……。誰も怪我なくて」


美咲が胸を撫で下ろす。


「ええ。初陣にしては上出来ね」


サラも肩の力を抜いた。


その時、リビングの空間が歪んだ。


シュンッ!


髙橋俊明の転移により、現場に出ていた五人が帰還した。


しかし、その空気は決して「凱旋」と呼べるものではなかった。


「……だーかーら! アレックス、お前の判断は危険すぎるって言ってんだ!」


帰還早々、谷雄一がアレックス・ターナーに食ってかかった。


「令状なしでの突入? 日本じゃそれは違法捜査だ! もしあの中に犯人がいなかったらどうするつもりだったんだ!」


「可能性の話をしている場合じゃない」


アレックスも譲らない。


「犯人は現に逃走しようとしていた。俺たちが議論している間に逃げられていたら、再確保にどれだけのコストがかかると思っている?」


「だからって民家のドアをぶち破るのか!?」


「必要ならな。それが最短の解決策だ」


間に挟まれた髙橋が、困り果てた顔で眼鏡を直した。


「いやぁ、僕としては谷さんに賛成かな……。もしドアを壊して犯人がいなかったら、器物損壊で訴えられるのは僕らかもしれないし……罪もない家主さんに迷惑はかけられないよ」


大人たちが揉める横で、音無賢人は深くフードを被り、沈み込んでいた。


(……俺が、もっとうまくやっていれば)


賢人は自分の手を見つめた。


(家の中に風間が侵入して、あぶり出したまではよかった。でも、そこから確保に繋げられなかった。……奴を空に逃がしてしまった)


「……音無、どうしたの? 暗い顔して」


サラが近づくと、白川真純がそっと耳打ちした。


「……実は、現場での判断で少し揉めまして。音無くん、自分が犯人を逃がしたと思ってるみたいなんです」


白川は事の顛末——突入か待機かの口論、そして音無の攪乱と風間の逃走、髙橋のリカバリー——をサラに伝えた。


「ふむ……なるほどね」


サラが腕を組んだその時、東がパンパンと手を叩いた。


「——全員、そこまでだ」


東の冷徹な声が、加熱した空気を断ち切った。


「報告は聞いている。……全員、耳を貸せ」


東は部屋の中央に立ち、全員を見渡した。


「今回の件で、我々の行動指針における**『ライン』**を明確にする必要がある」


東はホワイトボードに線を引き、説明を始めた。


「我々は法を超越した組織だ。だが、それは『無法者』になっていいという意味ではない。

超えていいラインは、今回の髙橋君のような『緊急避難的な能力行使』や、音無君のような『隠密捜査』だ。これらは結果さえ出れば揉み消せる」


東は赤ペンでバツ印を書いた。


「だが、超えてはいけないラインがある。

それは……**『確証のない状態での、市民社会への物理的被害』**だ」


東の視線が、アレックスに向いた。


「アレックス・ターナー。前へ」


「……イエッサー」


アレックスが神妙な面持ちで進み出る。


「君の『突入』という判断。軍事的には正しい。だが、政治的には0点だ」


東は厳しく叱責した。


「もしドアを破壊し、中に犯人がおらず、ただの一般市民が昼寝をしていたらどうする?

マスコミに叩かれ、新法案は廃案、組織は解体だ。君の焦りが、我々全員を路頭に迷わせるところだったんだぞ」


アレックスは直立不動のまま、深く頭を下げた。


「……申し訳ありません。焦りがありました。日本の法感覚センスを見誤りました」


「分かればいい。……君の腕は買っている。次は冷静になれ」


「はい」


東の説教が終わり、アレックスが解放された。


だが、部屋の空気は重いままだ。


谷はバツが悪そうに視線を逸らし、髙橋は縮こまり、音無はさらに俯いている。


鈴木だけが「腹減ったな」という顔をしていたが、口には出せない雰囲気だ。


「…………」


幸田美咲は、ソワソワと皆の顔を見回した。


(どうしよう……。みんな、仲良くしてほしいのに……)


ギスギスした空気に、美咲の胃がキリキリと痛む。

その時、サラがわざとらしく、盛大なため息をついた。


「はぁ〜〜〜〜〜あ!」


全員がビクッとしてサラを見る。


サラは腰に手を当て、呆れ顔で言った。


「もう、湿っぽい! 反省会は終わりよ!」


サラはパン! と手を叩いた。


「いい? 初めての連携で、誰も怪我せず、犯人も捕まえた。結果オーライじゃない!

アレックスも谷も、熱くなりすぎ! お腹が空いてるからイライラするのよ!」


サラはキリッと指差した。


「——全員、集合!

今すぐ食堂へ移動! 美咲ちゃん、悪いけど何か美味しいもの作って!

甘いもの食べて、脳に糖分回して、それから笑って仲直りよ!」


サラの強引な仕切りに、美咲がパッと顔を輝かせた。


「あ、はい! すぐに用意します! ……パンケーキとか、どうですか?」


「最高! ……ほら、男ども! 移動するわよ!」


サラに背中を叩かれ、谷とアレックスが顔を見合わせる。


「……ま、そうだな。悪かったなアレックス、言い過ぎた」


「いや、俺もだ。……腹が減ったな」


二人は苦笑いをして、握手を交わした。


それを見て、音無も少しだけ顔を上げた。


「……行きましょう、音無くん」


髙橋が肩を抱く。


「失敗は次への糧だよ。パンケーキ、楽しみだね」


「……はい」


重苦しい空気は、サラの一喝と美咲の提案で霧散した。


雨降って地固まる。


不器用なチームは、こうして少しずつ「組織」になっていくのだった。



◾︎午後3時 食堂



テーブルの上には、空になった皿とメイプルシロップの甘い香りが漂っていた。


パンケーキで腹を満たし、少し和やかな空気が流れる中、サラ・コッホがナプキンで口元を拭い、スッと表情を引き締めた。


「さて。お腹もいっぱいになったし……**授業レビュー**を始めましょうか」


サラの瞳から、先ほどまでの陽気さが消え、冷徹な指揮官の色が宿る。


場の空気がピリッと変わった。


「白川。あなたはこの中で一番冷静に全体を見ていたわ。今日の出来事を、感情抜きでもう一度時系列順に説明して」


「は、はい」


指名された白川真純は背筋を伸ばし、手帳を開いた。


「現着後、音無君が対象の侵入を確認。アレックスさんと谷さんの間で突入か待機かの議論が発生。その間に音無君が攪乱を行いましたが、対象が逃走。直後に髙橋さんが空中で確保。その後私たちの所へ風間と共に転移して鈴木さんの『鈴』で能力を無効化して逮捕……以上です」


「Thank you. 完璧な要約ね」


サラは頷くと、隣のアレックス・ターナーに鋭い視線を向けた。


「さて、アレックス。同僚として、元プロとして厳しく言わせてもらうわ」


「……ああ。聞こう」


「あなたのミスは二つ。

一つは、『漢字(Kanji)』への理解不足による思考のラグ。日本での作戦において、敵の能力推測に遅れが出るのは致命的よ。

もう一つは、『日本の法律ルール』への無理解。ここは戦場じゃない。ドアを蹴破れば、私たちが悪者になって組織が潰れる。そのリスク計算ができていなかった」


アレックスは言い訳せず、深く頭を下げた。


「……面目ない。焦りがあった。完全に私の失態だ」


サラは小さく頷くと、次は縮こまっている音無賢人の方を向いた。


その表情は、打って変わって優しげなものになる。


「音無。あなたは自分を責めてるみたいだけど……仕方なかったのよ」


「え……?」


「あなたは『気配を消す』ことは天才的だけど、**『どう動けば敵を追い込めるか』**という戦術タクティクスを知らなかっただけ。要は、経験不足なだけよ」


サラは音無とアレックスを交互に見た。


「だから、提案よ。

音無、あなたはアレックスに『漢字の読み書きとニュアンス』を教えてあげて。

そしてアレックス、あなたは音無に『隠密行動時の立ち回り』や『突入戦術』を叩き込みなさい」


「……!」


二人は顔を見合わせた。


「互いに足りない所を補う。……それがチームでしょ?」


「……なるほど。Win-Winというわけか」


アレックスが納得の声を上げる。


「さて」


サラは最後に、谷雄一の方を向いた。


その視線は、今日一番の鋭さを持っていた。


「谷。……あなたには一番キツく言うわよ」


「うっ……お手柔らかに頼む……」


「現場指揮官はあなたよね?」


サラの声がドスを帯びる。


「あなたの判断ミスで、仲間が死んだり、この組織が瓦解する可能性があったのよ。なのにあなたは、『突入は違法だ』とリスクを説明しただけ。……代案なき批判は、指揮官の仕事じゃないわ」


「……っ」


谷は言葉を失った。


「私ならこうするわ」


サラはテーブルの上の調味料を駒に見立てて動かした。


「犯人が家に入ったと分かった段階で、髙橋さんに連絡。

鈴木、アレックス、音無をまとめて**『玄関と裏口の前』に転移**させて、即座に包囲網を張る。

その後、髙橋さんだけまた高所に戻ってもらう」


サラは駒で家を囲んでみせた。


「こうすれば、突入しなくても犯人は逃げられない。出てきたところを袋叩きよ。……髙橋さんの機動力と、鈴木の制圧力を活かすなら、これが最適解だったはずよ」


シーンと静まり返る食堂。


全員が、その鮮やかな戦術プランに舌を巻いていた。


「……なるほど」


髙橋が眼鏡を直した。


「確かに、僕が何往復かすれば可能でしたね。……思いつかなかった」


「すごい……。完璧な采配だ」


鈴木も腕組みをして感心する。


白川は尊敬の眼差しを向けた。


「サラさん、すごいです。現場の刑事顔負けですね……」


賞賛の声に対し、サラはいつもの明るい笑顔に戻り、髪をファサッとかき上げた。


「ふふん♪ ま、やる時はやるのよ? 頼りにしてよね!」


その横で、アレックスが立ち上がり、音無の席まで歩み寄った。


「……音無。サラの言う通りだ。俺は日本の文化に疎い。頼む、俺に漢字を教えてくれ」


「あ、はい! もちろんです」


音無も慌てて立ち上がり、頭を下げた。


「俺の方こそ……。戦い方を、教えてください。俺、もっと役に立ちたいんです」


「ああ。俺が持っている技術、全て叩き込んでやる」


ガシッ。


大柄な元スパイと、小柄な日本の青年。二人の手が固く握られた。


その光景を見て、部屋の隅でコーヒーを飲んでいた東義昭は、カップの縁で口元を隠しながら、静かに口角を上げた。


(……戦術の共有、相互補完、そして指揮系統の確立。……悪くない)


バラバラだった歯車が、噛み合い始めた音がした。

このチームは、化ける。


東は確信と共に、冷めたコーヒーを飲み干した。



◾︎夕暮れ 洋館リビング



窓から差し込む茜色の光の中で、アレックス・ターナーと音無賢人の熱心な問答が続いていた。


「いいか音無。状況設定だ。

対象は部屋の中に一人。武装の有無は不明。ドアは閉まっている。……さあ、どうやって突入する?」


賢人は少し考え、真面目な顔で答えた。


「えっと……『無』で気配を消して、ドアを静かに開けて……中を確認してから入ります」


「ブブー。不正解だ」


アレックスは指を振った。


「それだと、ドアを開けた瞬間に視界が限定される。もしドアの影に敵がいたら、気配を消していても物理的に鉢合わせるぞ。

正解は……まずドアの蝶番ちょうつがいを確認。隙間から中の光源や空気の流れを読む。そして突入時は『カッティング・パイ(円を描くように徐々に視界を広げる)』だ。体を晒さずに、部屋のコーナーをクリアリングしろ」


「なるほど……! 『見えない』ことにかまけて、物理的な死角を忘れていました」


「そうだ。能力はあくまでツールだ。基本戦術ベーシックがおろそかだと死ぬぞ。……じゃあ次の問題だ」


賢人は目を輝かせながら頷く。


「はい! お願いします!」


その様子を少し離れたソファから、鈴木浩三と谷雄一が眺めていた。


「……いいよなぁ。熱心で」


谷が缶コーヒーを啜りながら目を細める。


「ああ。青春だよなぁ。俺にもあんな時期があったかねぇ」


鈴木もあぐらをかいて頷く。


まるで孫を見る好々爺のような二人だったが、そこへ台風のような足音が近づいてきた。


「——あら、何サボってるのよ、刑事さん?」


「げっ」


谷が振り返ると、仁王立ちしたサラ・コッホが彼を見下ろしていた。


「さ、ら……?」


「アレックスたちは真面目にやってるわよ? 谷、あんたも今回は現場指揮でやらかしたんだから、少しは反省しなさいよ」


サラはニッコリと、しかし有無を言わせぬ笑顔を向けた。


「私が特別に『現場指揮官フィールド・コマンダー』の授業をしてあげるわ。……来なさい」


「え、ちょ、待て! 俺は今休憩中で……」


「問答無用!」


ガシッ!


サラは谷の首根っこを猫のように掴むと、ズルズルと廊下の方へ引き摺り始めた。


「うわぁぁぁ! 鈴木さぁーん! 助けてくれぇぇ!」


「おう、頑張れよ刑事さん。勉強は大事だぞー」


鈴木は他人事のように手を振って見送った。


「……はは。谷さん、災難ですね」


鈴木の背後から、苦笑い混じりの声がした。髙橋俊明だ。


彼は引き摺られていく谷の姿を見ながら、ふと真剣な表情になった。


「……でも、笑い事じゃないんですよね」


「あん?」


髙橋は自分の手を見つめた。


「俺……自分の不甲斐なさを感じてるんです」


「不甲斐なさ?」


「ええ。前の仕事じゃ部下に『指示待ち人間になるな』『能動的に動け』なんて偉そうに言ってるのに……。

いざ現場に出ると、どうしても谷さんや白川さん、アレックスさんの指示を待ってしまう自分がいました」


髙橋は悔しそうに唇を噛んだ。


「あの時、ビルの屋上にいて一番全体を観測できていたのは僕だ。もっと早く、自分の判断で動くべきだったんです」


鈴木はポンと髙橋の肩を叩いた。


「……仕方ねぇよ、髙橋さん。俺たちはついこの前まで一般人だったんだ。普通の仕事には慣れてても、人間相手の戦いなんて知らなくて当然だろ?」


「いいえ。……それを『仕方がない』で片付けてちゃ、次は家族を守れません」


髙橋は眼鏡の位置を直し、キッと顔を上げた。


「俺も……サラさんの授業、受けに行きます。空間把握と指揮能力は、僕の能力にこそ必要なスキルだ」


「お、おい髙橋さん?」


髙橋は小走りで廊下へ向かい、サラたちの背中に声をかけた。


「サラさん! 待ってください! 俺も……俺もその授業、受けさせてください! お願いします!」


サラは足を止め、振り返った。そして、パッと花が咲くように笑った。


「Bravo! 向上心のある生徒は大歓迎よ! ……ほら谷、同期ができたわよ?」


「マジかよ髙橋さん……物好きだなぁ……」


三人が別室へと消えていく。


広いリビングに残されたのは、熱心に議論するアレックスと音無、そして一人取り残された鈴木。


「……ちぇっ。なんか俺だけ置いてけぼりかよ」


鈴木はポリポリと頭をかいた。


別にサボりたいわけじゃない。ただ、何をすればいいか分からなかっただけだ。


だが、みんなが必死に強くなろうとしている姿を見て、じっとしていられる性分でもなかった。


「……しゃあねぇな」


鈴木は立ち上がると、アレックスたちのテーブルへと歩み寄った。


「よう。……アレックスさんよ。俺にも教えてくれねぇか?」


「鈴木さん?」


「俺は頭は良くねぇが、身体の使い方は知っときてぇ。……混ぜてくれよ」


鈴木はそう言うと、ドカっと音無の隣に座り込んだ。


「……Of courseもちろん。歓迎するよ、鈴木さん」


アレックスは嬉しそうに頷き、新たな「生徒」のために図面を広げた。



◾︎二階 廊下



白川真純は、自分の部屋に入ろうとしていた。


「あ、白川さん」


階段を上がってきた幸田美咲が、白川に気づいて声をかけた。


「どちらに行かれるんですか? 夕食までまだ時間ありますけど……」


「ああ、幸田さん」


白川は少し疲れたような、しかしプロの顔つきで答えた。


「私は、少し仮眠を取ります」


「仮眠、ですか?」


「ええ。今夜は私が、アレックスさんと一緒に夜間警備の当番なんです。……私、サラさんみたいに三徹できる体力はないので」


白川は苦笑いした。


「自分の体力の限界は把握しておかないと、いざという時に足手まといになりますから。……先に休ませてもらいますね」


「あ……はい! ゆっくり休んでください!」


白川が部屋に入り、ドアが閉まる。


廊下に残された美咲は、静かになった洋館の空気を感じ取った。


リビングからは戦術論を交わす男たちの声。


別室からはサラの厳しい指導の声。


そして、夜のために休息を取る白川。


(……すごいな。みんな、頑張ってる)


自分を守るために、そして日本を守るために、誰もが必死に自分を磨いている。


なら、自分はどうする? ただ守られて、震えているだけでいいの?


(ううん。……私にも、できることがあるはず)


美咲は自分の両頬をパン! と叩いて気合を入れた。


「よしっ! ……美味しい晩ごはん、作るぞ!」


みんなの疲れを吹き飛ばすような、最高のご飯を作ろう。


それが、今の自分にできる「戦い」だ。


美咲はエプロンの紐を締め直し、決意に満ちた足取りでキッチンへと向かった。


それぞれの夜が、静かに、しかし熱く更けていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ