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空想配達便  作者: 月蜜慈雨


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8/11

人気者になりたい話




 こんな都市伝説がある。もし検索サイトに、空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。





 人気者になってみたい、例えば学校のカースト上位に立ちたい。上司や同僚、後輩から好かれてたい。はたまた芸能人にさえなって、世間からチヤホヤされたい。

 現実は友達はいるが、人気者とは言えない。大学では何か話題の中心になるようなことは何もなく、日々は過ぎていく。






 そんなときだ。このサイトを知ったのは、空想だけでも人気者になってみたい。そんな欲求が、名前と配達日を打たせた。





 配達日になった。

 ピンポーン、チャイムが鳴る。

 ドアスコープで覗くと、黒装束の怪しげな男とも女ともつかない人が立っていた。

 怪しい人物に、一瞬警察に電話しようと思ったが、今日が空想の配達日なことを思い出した。

 もしかしたら、配達人なのかもしれない。なぜなら、手に小さな箱を持っていたからだ。





 ドアを開けると、宮本孝さんですか?と尋ねられた。

 黒装束の姿に似合わず、若い声だった。

 おれは、はい、と返事をした。

 黒装束の怪しい人は小さな箱を差し出した。

 その箱を開けると、自分が最も望む空想が見られるという。

 人によって相場は違うが、概ね30分くらいらしい。

 言葉少なく、黒装束の人はそう説明して、去って行った。





 おれは小さな箱を訝しんで眺めた。そのまま数分が立つ。もっとVRチャットみたいな機械を想像していたので、どうにも騙されているような気がしないでもない。

 でも騙されたとしてもタダだからいいか。

 そう思いながら、おれは箱を空けた。




 おれはレッドカーペットを歩いていた。周囲には眩しいばかりにカメラのフラッシュが焚かれる。人々がおれに熱狂して、少しでも触れようと腕を伸ばす。

 それをガードマンが押さえていた。

 おれは手を振りながら、良い気分で、レッドカーペットの中央に立つ。

 そして、何かを言った。周囲はそれにどよめいた。そして歓声を上げた。

 おれは腕を振りながらそれに応えて、苦労しながら建物の中に入っていった。

 空想はそこで終わった。






 大衆が自分に注目しているのは正直気持ち良かった。やっぱり人気者には憧れてしまう。

 でも現実でこんなに人に囲まれたら、動きづらくてしょうがないだろうな。

 その事実に少しだけ、今の自分の日常を好きになれそうな気がした。





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― 新着の感想 ―
人気者への憧れをもちつつ、実際に空想を経験してみて、改めて今の日常を好きになるところが印象的で、心に残りました。読ませていただき、ありがとうございます。
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